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テレ東・佐久間宣行、仕事哲学を語る「信頼はwin-winから」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2019.10.14 06:00 最終更新日:2019.10.14 06:00
テレビ東京の社員でありながら、ニッポン放送の『オールナイトニッポン0』に、レギュラーとして抜擢された男・佐久間宣行氏。毎日がとても楽しそうな43歳サラリーマンを、徹底解剖する!
毎週月曜から金曜までの夕方5時半。他局がニュース番組を流している時間に、テレビ東京ではちょっと変わった番組を放送している。『青春高校3年C組』。“理想のクラス” を作ることを目指し、オーディションで「入学する生徒」を決める番組だ。
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カメラよりさらに前の “最前線” で、カンペ片手に大爆笑しているのが、佐久間氏だ。同番組の立ち上げ時から関わっている、テレ東のエースプロデューサーにして、副参事という肩書の管理職である。
「番組のコンセプトを決めているのは、秋元康さんです。秋元さんとは、それまではお会いしたことがなく、勝手に “芸能界の黒幕” みたいなイメージを持っていて、『苦手なタイプだな』と思っていました(笑)。
実際の秋元さんって、とにかく自分で考えて、すごいアイデアをむちゃくちゃ出してくる。そして、先のことをあまり決めないんです。ポップコーンのように、おもしろそうな素材を入れて火にかけて、弾けはじめてから考えるんです。だから、『青春高校』も最終的な出口は決めていません」
番組開始から1年半たち、弾けはじめたのが「青春高校 アイドル部」だ。生徒たちによる「部活」という名のとおり、ほかのアイドルグループとは違った「ゆるさ」が魅力。そんな彼ら・彼女らが、8月にメジャーデビューを決め、ライブでは豊洲の大型ライブハウスを満員にした。
「最初はアイドル部なんて作るつもりもなく、僕がおもしろいと思う生徒を入れて、バラエティを作ろうと思っていただけなんです。それが、毎日女装で出たいっていう男のコが出てきたり、7年間ひきこもりだった女のコがお笑いに目覚めたり。いまの時代っぽいなって思っています」
佐久間氏は、業界やお笑いファンから熱い支持を受ける同局の看板バラエティ『ゴッドタン』を指揮してきた。『青春高校』は、そんな佐久間氏の集大成ともいえる。
「夕方の帯番組だけとなると、なかなかスターは作れません。だから、視聴率は気にしすぎず、『視聴率以外の大事なものもあるよ』っていうことですね」
番組には三四郎、千鳥などのMCが「担任」役で出演する。佐久間氏の立場はさしずめ “父親” か。先日は「体育祭」というロケイベントがあり、「もし誰かが怪我したりしたら大変だから」と、佐久間氏は朝から晩まで立ち会った。
一方、おぎやはぎや劇団ひとりなど、出演者らにイジられつつ、信頼を集めているのも佐久間氏の特徴。起用法にも、独自のこだわりがある。
「『番組も出演者も得する関係になる人』をキャスティングします。win-winにならなそうなときは、事務所や本人と相談しますね。
グラドルの真島なおみさんは、『ゴッドタン』で “趣味はAV鑑賞” と公言。収録ではサービス精神を発揮し、ほかにもヤバいことを発言されていましたが、本人のためにならないので、すべてカットしました(笑)」
三四郎のように、『ゴッドタン』がきっかけでブレイクした芸人も多い。
「『ゴッドタン』っていう番組は、『めちゃくちゃ売れている人が出る番組じゃないな』って思っています。自分の番組を立ち上げて、好きなことができる芸人さんが来る番組じゃない。その途中にいる人たちの、好きなものとか生きざまが見えてくるのがおもしろいなと思っています」
実際、芸人たちがアドリブ演技をしつつ、セクシー美女のキスの誘惑に耐える「キス我慢選手権」や、歌に自信のある芸人たちが自作ソングを歌いまくる「マジ歌選手権」など、芸人の本性が垣間見られる名企画が多数生まれた。
「『ゴッドタン』でも、視聴率のことはまったく考えていないですね。リアルタイムで観ている人が4割、配信とか録画で観ている人が6割くらいだと思います。オンエア放送でバズらせて、『見逃せない』と思わせたほうが得だと思っています」
その結果、「キス我慢~」は映画化され、DVDも大ヒット。「マジ歌~」ライブは恒例イベントとなり、2018年は横浜 アリーナを満員にした。そのノウハウが、先日ライブを成功させた『青春高校』にも受け継がれているのだ。
さくまのぶゆき
1975年生まれ 福島県出身 早稲田大学卒業後、1999年にテレビ東京入社。現在、制作局CP制作チーム 副参事
(週刊FLASH 2019年10月22・29日号)