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住所不定だった男が名脇役に…利重剛が語る映画、母、そして横浜

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2019.11.02 06:00 最終更新日:2019.11.02 06:00

住所不定だった男が名脇役に…利重剛が語る映画、母、そして横浜

脚本家である母・小山内美江子氏と

 

 そして2002年、横浜に拠点を移す。2014年から2019年にかけては、横浜を舞台にした連作短編映画『ライフワークス』(現在24作品)を監督・プロデュースした。

 

「僕は、初期の12本を監督しました。市内の映画館で、本編の “おまけ” として、1年間365日、毎日自分の映画が上映されたんです。嬉しかったですね」

 

 横浜で暮らし、映画を撮る利重にとって、この街の魅力とはなんなのか。

 

「街ごとに、いろいろなカラーや顔があるのがいいですね。中華街、港、みなとみらい、飲み屋街も高級住宅地もある。狭い地域に、さまざまな街がひしめき合っていて、あらゆるドラマが撮れるんです」

 

 かつての「住所不定監督」も、50歳を過ぎて、『半沢直樹』(TBS系、2013年)での電機メーカーの経理課長役や、『サイン―法医学者 柚木貴志の事件―』(テレビ朝日系、2019年)の警視庁・捜査一課長役など、「ネクタイ姿の役」が増えている。

 

「昔は、住む家もなくて、路上で警察官によく職質を受けていたのにね(笑)。年齢によって演じる役が変化することは楽しいです」

 

 役者として、「リアルでありたい」と利重は言う。

 

「観た人が『こういう人いるな』と感じられる人を演じたいです。ドラマでは主役の視点から物語が描かれているので、脇役は一瞬しか登場しません。でも、人生では誰もが主役として生きているわけですから。脇役でも、記号的に演じずに、リアリティを持たせる。それをいつも考えて演じています」

 

 初期の監督作品では、「怒り」を登場人物に託していた部分もあったと振り返る。

 

「でも、怒りでは世界は変わらないとわかった。50代になって、『なるべく柔らかでいたい』という思いがあります。ゆるやかに効果のあることをして、へなちょこな言葉で世界を変えていきたい。年をとって自分の考え方がこのように変化していくことを、自分で楽しんでいます」

 

 10月の横浜は爽やかな陽気だ。こんな日に、テラスから眺める海のパノラマが、利重を “柔らか” にしてきたのだろう。

 


りじゅうごう
1962年7月31日生まれ 神奈川県出身 1981年、高校時代に監督した映画『教訓I』がぴあフィルムフェスティバル入選。19歳で岡本喜八監督の『近頃なぜかチャールストン』で主演・共同脚本・助監督を務める。以後、俳優、監督として活動。おもな監督作品に『ZAZIE』、『BeRLiN』など。出演作に『孤高のメス』(WOWOW)、『インハンド』(TBS系)など多数

 

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・住所:横浜市中区海岸通1丁目
・営業時間:10:00~18:00
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(週刊FLASH 2019年11月5日号)

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