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井川遥の運転手だった「松尾諭」ハチャメチャ喜劇をやりたいよ

エンタメ・アイドル 投稿日:2019.11.19 06:00FLASH編集部

井川遥の運転手だった「松尾諭」ハチャメチャ喜劇をやりたいよ

 

ラグビーがこんなに注目されるようになるなんて……。日本代表には、W杯優勝と同じくらいの功績がありますよ!」

 

 興奮気味に話すのは、俳優松尾諭(43)。高校時代は、強豪校だった兵庫県立西宮南高校のラグビー部に所属。フォワードのロックだった。

 

 

「体は小さくなかったし、ラグビーをやってた兄への対抗心みたいなものもあったんかな。練習はしんどかったですが、当時では珍しく、一日2時間と決められていました。僕は集中力がないから、3時間だったら、たぶんやめてましたね(笑)」

 

 大学ではラグビーの同好会に所属。大晦日は朝まで大阪・ミナミで過ごし、そのまま花園へ行き、高校ラグビーの試合を観るのが恒例だった。W杯も、神戸でイングランド対アメリカ戦を観戦した。

 

「勝敗よりも、たとえばリーチ マイケルのキャプテンシーとか、みんな精神的なところも含めて応援してるのが、すごく嬉しかったです」

 

 今回のラグビーブームの口火を切ったのが、松尾も出演した池井戸潤原作のドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS系、2019年)だ。

 

 成績不振のラグビーチーム「アストロズ」の再建を描いた大ヒットドラマで、松尾はアストロズの宿敵・サイクロンズのGMを演じた。

 

「監督を務めたTBSの福澤克雄さんは、慶應大学で日本一になった元ラガーマン。福澤さんなら、W杯前にラグビーを題材にしたドラマを制作するはずだと予想してました(笑)。ぜったいに出たいと思ったし、本作でラグビーの楽しさを知ったという人が多くて、それがいちばんよかったです」

 

 そう話す松尾が役者を目指したのは、ラグビー漬けだった高校生のころ。

 

「文化鑑賞行事で、劇団の上演をナマで観たんです。カーテンコールで僕たちの拍手を浴びている役者さんたちがすごいキラキラしていて、それを見てビビッときました(笑)」

 

“役者で食っていこう” という決意はあったものの、どうしていいかわからない。大学は3回生で中退し、フリーター生活を満喫する。2000年、24歳にしてようやく東京へ。

 

大阪から上京した24歳のころ

 

 ある日、住んでいたアパートの近くで、封筒に入った航空券を拾う。落とし主はモデル事務所の社長だった。それが縁で、事務所でモデルと一緒にウオーキングレッスンなどを受けながら、オーディションに通う日々が始まった。 

 

 レンタルビデオ店やタイル貼りなどのバイトをしながら、事務所の先輩女優・井川遥の運転手をしていたのもこのころだ。

 

 転機となったのはドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』(フジテレビ系、2007年)だった。

 

「たいていはオーディションの最初に自己紹介をするんですが、僕は滑舌が悪くて、自分の名前がうまく言えないんです。でも『SP』のオーディションは、最初にエチュード(即興芝居)がありました。

 

“芝居の反射神経を見たい” という本広(克行)監督の意向で、それが結果的によかったんですね。体も舌も温まっていて、後にも先にも、あんなにきっちり名前を言えたことはありません(笑)」

 

 格闘家を目指す七三分けの巡査部長という特異なキャラは話題になり、ドラマも高視聴率をマークした。

 

「これで仕事が来るだろうと、バイトは辞めました。でも、仕事も収入もいっこうに増えない。じつは、給料制でもないのに、事務所から毎月前借りをしていたんですが、あるとき『ヤバいことになってるよ』と。確認したら、エラい金額になってました(笑)」

 

 一時バイトを再開し、少しずつ仕事も増えて、ついに数年前に借金ゼロに。その陰の功労者が、ビデオ店のバイトで出会った愛妻だった。

 

「いまは月3万円の小遣い制で、妻がきっちりやってくれてるので感謝しています。でも、僕は耳たぶがペラッペラだから、お金は貯まらないんですよ(笑)」 

 

 そんな松尾も妻も大好きな店が「HASHIYA(ハシヤ)幡ヶ谷分店」。幡ヶ谷で暮らした新婚時代に通った、スパゲッティ専門店だ。

 

「尼崎に住んでいた子供のころ、初めて専門店で食べたのがナスとベーコンのスパゲッティ。一人暮らしをしているころは、僕のソウルフードみたいなものでよく作りました。それをハシヤさんのメニューで見つけて、食べたら『もうこれや!』って味でしたね」

 

 順番を待って並んでいるあいだ、メニューを見ながら今日は何にしようと悩むが、結局頼むのは「ナスとベーコンのスパゲッティ」だと笑う。

 

「マスターが具材を切ったり、調味料を入れる姿がまたカッコいい。通いはじめた当初はお金もなかったので、ハシヤに来るのは、新しくドラマが決まったときなどスペシャルなときでした。僕にとってはご褒美のようなお店で、世界一の味です。

 

 ちなみに、妻も悩んだ末に頼むのは、毎回同じ『辛いタラコとネギとイカ』なんですよ(笑)」

 

 今後、いちばんやりたいのは喜劇だと話す。

 

「体が動く40代前半に、全盛期の渥美清さんやフランキー堺さん、藤田まことさんのような、ハチャメチャで躍動するような喜劇がやりたい。みんなが呆気にとられるような演技をしてみたいですね」

 

 そんな作品への出演が決まったときには、ハシヤで “ご褒美” を頼む松尾の姿があるはずだ。

 

●まつおさとる
 1975年12月7日生まれ 兵庫県出身 2000年、映画『忘れられぬ人々』(篠崎誠監督)で俳優デビュー。『シン・ゴジラ』(庵野秀明総監督、2016年)、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』『わろてんか』など出演多数。現在、文春オンラインで自伝風エッセイ「拾われた男」を連載中。舞台『アルトゥロ・ウイの興隆』(白井晃演出・2020年1月11日~2月2日・KAAT神奈川芸術劇場)に出演予定

 

●HASHIYA 幡ヶ谷分店 
(住)渋谷区幡ヶ谷2-5-9
(営)11:30~21:30(LO) 
(休)水曜

 

(週刊FLASH 2019年11月12日号)

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