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ナイツに学ぶ「お笑い処世術」オウム返しすれば聞き上手

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2019.11.18 16:00 最終更新日:2019.11.18 16:00

ナイツに学ぶ「お笑い処世術」オウム返しすれば聞き上手

 

 日本一の漫才コンビ・ナイツ。とにかくボケまくる塙宣之と、丁寧にそれを訂正するツッコミの土屋伸之。先輩や師匠をイジりつつも、愛される彼らの人間関係のノウハウは、職場でも活用できるはず――。

 

 そこで、彼らの処世術を「お笑い力」と設定し、具体的なテクニックを本人たちに聞いた。

 

 

【お笑い力】聞き上手になる

 

塙「年配の人って、『話を聞いてもらいたがっている人』が多いんですよ。だから基本的に、聞き役に徹することが大切で。独特のテンポがあるから、乱さないように気をつけて、聞いてあげるんです。

 

 ここがポイントなんですけど、知らないことがあっても、『オウム返し』をするだけでいいんです。もし知っていても、『それって○○ですよね』って言わないほうがいい。無理にツッコんだり、広げようとしたりすると、その人のリズムを崩しちゃいますからね」

 

――でも、聞き役に徹すると疲れないですか?

 

塙「『その人の漫談を聞きに来たんだ』と思い込むんです。たとえば、興味のないパンケーキの話を聞かなくちゃいけないことがあっても、『パンケーキのことが知れるんだ』って思えばいいだけ。『自分の体験だ』って思って聞けば、そんなに聞けないことはないかなって。

 

 その人の話を聞きに来てるんだって思えば、『世の中に深い浅いなんてない』と思っているんです。相手にとってはそれが深いことだったりするから、『合わせられる』ってことが大事。自分で勝手に『この話、浅いなー』と決めつけちゃうから、きつくなるんじゃないですかね。

 

――なるほど。ただそれだと、延々と長話を続けられることになったりしませんか?

 

塙「自分のなかで、『10分間』って決めておくんです。たいていの人は、ひとりで10分もしゃべっちゃうと、すっきりします(笑)。

 

 終わり方は、突然その人以上の熱量で、『○○○って○○○じゃないですか!』って言うだけでいいです。そしたら、だいたいびっくりして終わっちゃいますから(笑)」

 

――後輩の話に対してはどうですか? お2人は相談されることも多そうですが。

 

土屋「漫才協会の若手にも、そんなにアドバイスするってことはないんですよね。聞いてくる後輩も、あんまりいない。『ここをこうすればいいのにな』っていうのも、あんまり思いつかない(笑)」

 

塙「後輩が相談に来るときって、怒られたいわけじゃないと思うんですよ。だから基本的には、褒めてあげるのがいいんでしょうね。たとえば『優柔不断で悩んでる』って相談なら、『優しいってことじゃん』みたいに、裏返しで褒めてあげるとか」

 

――後輩に対して優しいんですね。

 

塙「あ、ただ、飲みに誘ってくる後輩に限っては、『できる感を出してくるやつ』が多くて嫌いなんですよ。だいたい、チクッと指摘してやるんですけど、『あいつら、ほんとそういうとこありますよね』とか言ってて、まるで他人事なんですよね。

 

『あ、いや、お、お前のことだから……』って思うんだけど、そのときは本人には言えないです(笑)」

 

【お笑い力】こまったら「うまいですね!」

 

土屋「これは、はたけんじ師匠がよく使う手法で。本当に誰と接していても、『うまいですね!』だけで乗り切っちゃうんです。話している内容は、本当に薄っぺらいんですけどね(笑)。

 

 それだけで、いろんな楽屋に行って、どこでもすぐ馴染んじゃう人で。自分でゴルフコンペとか開いちゃうくらい、人脈もすごくて。それでテクニックを真似してみたんです。とはいっても『うまいね!』って言うだけなんですけど。でも、わりと使えるんですよ」

 

――どういう場面で使えばいいんですか?

 

土屋「具体的には、先輩にしょうもない冗談を言われたときとか。若い人は、なんて返したらいいのかわからないから、引きつっちゃったりするんですけど、そこで使うんです」

 

――なるほど! これは明日からでも早速使えますね。

 

土屋「はたさんレベルになると、飲みに誘われたときも『うまいね!』で返すんです」

 

――え、どうなるんですか?

 

土屋「断わったことになるんですよ。浅草独特のルールかもしれないんで、普通の上司に通じるかどうかはわからないんですけど(笑)」

 

塙「『うまいですね!』に限らず、あまり難しい言葉を考えすぎないほうがいいのかも。『何言ってるんですか!』とか。

 

 たまに、わけがわからない人から絡まれたときも、シンプルに『うっせぇな!』とか、『なんだよ、それ!』とかのほうがいいと思います。言われた人も、そんなにイヤな思いをしないんじゃないかな。

 

 ちょっとひねったこと、具体的には、『たとえツッコミ』とかをしようとすると、言葉に詰まっちゃうこともあるし。困ったときは、『すごいですね』で返せば、相手も『お前、何がすごいのかわかってないだろ』と言いつつ、和やかになるのかと。

 

 へんな上司が、ふざけて絡んできても、『あっち行けよ!』『飲まねぇよ!』みたいに、おちゃらけて返したほうがいい。『いやちょっと……』とかマジなトーンで返しちゃうと、さらに絡まれたり、相手がよけいに傷ついたりしますから」

 

土屋「相手に合わせなきゃですよね。軽いノリで誘われたら、軽いノリで断るという」

 

塙「でも、断れないお願いもあるんだよね。たまに友達から、『息子が芸人を目指しているから、話を聞いてあげて』って言われることがあって。でも、『それって、本人が望んでることなのかな』って疑問に思うんですよ。人から言われて来られても、アドバイスなんてできないんですよね」

 

――なるほど、それは会社でも当てはまりそうですね。先輩から、「誰々に○○のことを教えてもらえ」って言われて行くんじゃなくて、自分から「知りたいんだ」っていう思いが湧き上がってから行けってことですよね!

 

塙「いや、そういうことじゃない」

 

土屋「違うんかい!」

 

はなわのぶゆき
41歳 千葉県出身 佐賀県育ち 『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』(集英社新書)が発売中 

 

つちやのぶゆき
41歳 千葉県出身 相方の塙は、大学の落語研究会の、ひとつ先輩。物腰の柔らかいツッコミが、幅広い世代から支持される

 

※11月16日の公演を上映する、ディレイ・ビューイング『ナイツ独演会 エルやエスの必需品~完全版~』が全国各地の映画館で、11月21日に開催

 

(FLASH DIAMOND 2019年11月15日増刊号)

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