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映画制作でタッグ「斎藤工×永野」時代のノリに反抗する同志
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2019.11.30 06:00 最終更新日:2019.11.30 06:00
斎藤は、「永野さんの世界観は、『ジョーカー』(トッド・フィリップス監督、2019年)と共通する部分がある」と言う。
「カルトとは言わないですが、『自分の中の何か』が着火するような作品は、アート映画として海外では評価されています。最近は口当たりのいい柔らかい作品が多く、映画を咀嚼する受け手の顎が弱くなっています。
そのなかで、永野さんの世界は硬いスルメのようで、真剣に噛まないと咀嚼できない(笑)。本来、映画は個人的で、閉ざされたもの。『ジョーカー』がヒットしているのも、個人の深層心理に訴えた部分があるからだと思います。
口当たりのいいエンタメに対して、どこかでみんな『歯ごたえがない』と感じているのではないでしょうか。こんな時代に、永野さんは絶対に必要です」
熱く語る斎藤に対し、永野はこんな印象を抱いている。
「斎藤くんには、愛人のような気持ちもありつつ(笑)、友達ではなく、“戦友” というか、『同志』のような思いがありますね。斎藤くんは、世の中の “時代のノリ” に対して反抗的な人で、それは僕も一緒ですから」
時代の “ノリ” に刃向かうのは、それが簡単に変わってしまうからだ。
「1980年代のノリ、1990年代のノリ、『いまは2010年代だから、このノリでよろしくね!』みたいに、『ノリ』ってその時代だけのもの。だから、本質ではなく、それが評価されているのはストレスなんです。
テレビでも僕は、そんな空気が大嫌いで、反抗してしまう。だから芸人としてはいまだに浮いているんですけど(笑)」(永野)
斎藤も、自身には永野と共通点があると語る。
「いまの世の中、皆さん、人からいろいろなストレスを受けていると思います。そのネガティブな要素をガソリンにしているところも、2人の共通点。ポジティブな要素をガソリンにしている人って、信頼できないんです。
華やかな仕事の現場ではなく、その帰り道に疲れて死んだような眼をしているところにこそ、僕の本質があると思うときがあります。ひとりになったとき、永野さんや僕は、たぶん冷めた眼で世間を見ていると思うんです。そんなときの2人の眼差しは、絶対に似ていると思います」
最後に斎藤は、永野との未来をこう結んだ。
「僕にとって永野さんは、サッカーの久保建英選手。『この才能を、レアル・マドリードに入れたらどうなるんだろう』みたいな。僕が世界で戦う武器であり、日本映画にとっての武器。
行定勲監督や青山真治監督も、永野さんの “闇” を高く評価しています。そのすごさに、感度のよい人はもう気がついていますよ。永野さんと一緒に作品を作ったら、足し算ではなく、掛け算になる。
たとえば、永野さんとももいろクローバーZの高城れにさんのコントライブも、凄まじい相乗効果が生まれています(笑)。永野さんと一緒だと、想像できない領域に行けるんです。
さっき『戦友・同志』と言ってくださいましたが、僕にとっては『師=マスター』のような存在です」
永野が世界を席巻する日は近い。斎藤は、本気でそう確信している。
さいとうたくみ
1981年8月22日生まれ 東京都出身 2001年俳優デビュー。映画やドラマなど多数の作品に出演。『blank 13』(2018年)では、監督も務めた。『MANRIKI』では、企画・プロデュース・主演を担当
ながの
1974年9月2日生まれ 宮崎県出身 1995年よりピン芸人として活動開始。シュールなネタで孤高のカルト芸人として評価を集める。『MANRIKI』では、企画・プロデュース・原作・脚本を担当し、自身も出演
【映画『MANRIKI』とは……】
誰もが小顔を求める現代。ある無名の新人モデルは「顔が大きいから自分は売れない」とコンプレックスを抱えていた。「とにかく小顔になりたい」という願望にとりつかれた彼女は、美容クリニックでイケメン美容整顔師と出会う。彼は「万力」を使って、物理的に小顔を作るという、恐ろしい施術法を用いる人物だった……。5
(週刊FLASH 2019年12月10日号)