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M-1生観戦レポート/敗れたぺこぱ松陰寺が紙吹雪をポケットに…

エンタメ・アイドル 投稿日:2019.12.24 16:00FLASH編集部

M-1生観戦レポート/敗れたぺこぱ松陰寺が紙吹雪をポケットに…

(C)M-1グランプリ事務局

 

 漫才日本一を決める「M-1グランプリ2019」で、結成13年目ながら「今年(に入って)テレビでネタをしたのが初めて」という無名のダークホース、ミルクボーイが優勝を果たした。

 

 昨年、霜降り明星が決勝初進出で最年少優勝をかっさらったことで、大きく流れが変わったM-1グランプリ。新章に突入した今大会の、スタジオ生観戦レポートをお届けする。

 

 

 ファイナリスト10組のうち、連続決勝進出は、かまいたち、見取り図、敗者復活で勝ち上がってきた和牛の計3組。残りの7組(からし蓮根、ミルクボーイ、ぺこぱ、オズワルド、すゑひろがりず、ニューヨーク、インディアンス)が初進出だ。

 

 今年も審査員を務めた上沼恵美子が、決勝翌日に自身のラジオ番組で「ぶっちゃけて言うと、ヘタクソな漫才が並んでいくんじゃないかと(思っていた)」と語ったように、お笑い最大の賞レース番組として耐えられるのか危惧する声も多かった。

 

 キングオブコントとの史上初の二冠を狙うかまいたち以外に、確固たる優勝候補がいないなかで幕を開けたが、今年も「空気作り」は秀逸だった。

 

 生放送開始15分前から前説がスタート。「あるある探検隊」のレギュラー、サバンナ八木真澄となかやまきんに君のユニット「ザ☆健康ボーイズ」に続き、今年で5年連続で前説を務めるピン芸人・バイク川崎バイクが登場。

 

 実は彼は、キングオブコントなどでも前説を務める「陰の賞レースキング」なのだ。途中、進行が乱れてバタついた場面でも、音頭を取って客席を盛り上げ、いい空気を作りあげて司会の今田耕司、上戸彩にバトンタッチした。

 

 今年の空気作りで特によかったのが、ネタ順を決める「笑御籤(えみくじ)」を引く人選だ。

 

 昨年はレスリング元女王・吉田沙保里など、スポーツ界のスターが1人ずつ登場したが、今年はラグビー日本代表の3選手。カメラに映っていない間も3人で番組を楽しんでいて、その姿は客席にもいい効果をもたらしていた。

 

 いよいよ放送スタート。

 

 全組がスタンバイするセット裏手の控室からは、掛け声のような声が聞こえる。いい空気のなか、1組目はニューヨーク。トップバッターとしては高得点だったが、審査員の松本人志は「ツッコミの形が好みでない」。

 

 ツッコミの屋敷裕政の表情は一瞬曇ったが、すぐに切り替えて松本に食ってかかる。賞レースでは、ネタと同じくらいネタ後のトークが大事とも言われるが、初決勝ながら堂々と渡り合い、爪痕を残して終了。控え室からは拍手で迎えられる音が聞こえてきた。

 

 次いで引かれた名前は、優勝候補のかまいたち。さすがの出来で爆発的な笑いを起こし、最終決戦の3組に確実に入るであろう高得点。その瞬間、安堵したツッコミ・濱家隆一の肩から大きく力が抜けたのが見て取れた。

 

 3つ目に笑御籤から出てきたのは「敗者復活組」の文字。今年から敗者復活組は番組冒頭ではなく、くじで引かれて初めて発表する形にルール改正された。テレビ朝日横の野外ステージで待つ敗者復活参戦16組のなかから名前を呼ばれたのは、昨年まで3年連続準優勝の和牛。通いなれたスタジオ控室までの道を浮ついた感もなくするりと通り抜け、即漫才を披露。その時点で2位につける高得点となった。

 

 4組目はすゑひろがりず。和装に小鼓という奇異ないでたちを見て、審査員は驚きが混じった笑顔。特にサンドウィッチマン富澤たけしの「フハハハ!」と大きく笑う声が目立った。伝統芸能と現代漫才を巧みに織り交ぜたネタも高評価。例年よりも高い得点が次々とたたき出されていく。

 

 5組目のからし蓮根も、笑いの絶えないコント漫才。このころには「ヘタクソな漫才が並ぶ」なんて危惧はどこへやら。スタジオ中がただただ爆笑に包まれていた。

 

 6組目は2年連続決勝進出の見取り図。昨年はトップバッターでイマイチ乗り切れずに終わったが、今年は見取り図らしさあふれる漫才をやりきり、昨年の606点から大きく上がった649点。松本からも「今年はよかった」と評された。

 

 続く7組目はミルクボーイ。テレビ出演経験はごくわずかだが、ファイナリストたちから「ミルクボーイがとうとう来た!」とライバル視されてきた実力派だ。

 

 華々しさからはほど遠い2人がマイクの前に立つと、最初のツカミで文字どおり場の空気をつかむことに成功。そのままオチまで息もつかせぬ圧巻の漫才で、700点満点の大会で史上最高の681点をマーク。

 

 決勝進出が決まった時点で「M-1の決勝なんて(夢物語すぎて)架空のものやと思っていた」と語っていた2人は、96点~99点が並ぶ見たこともない得点ボードを見て、手を振りながら大声で「ウソや!」と叫び続けた。

 

 興奮おさまらず、ザワつくスタジオに現れた8組目はオズワルド。最高点が出た後という難しい空気のなか、独特の間とテンポの漫才をブレることなく完遂。松本から「結成5年、将来まだまだ出てくるはず」と大きな期待を寄せられた。

 

 9組目は、勢いのいい漫才が持ち味のインディアンス。堂々とやり遂げたように見えたが、決勝後の生配信番組『M-1大反省会』での本人弁によると、ボケの田渕章裕がネタを大きく飛ばしてしまったのだそう。ツッコミのきむが「M-1史上初めて、ネタができなくて土下座することになるかも……」とネタ中に思ったほどで、来年のリベンジに期待したい。

 

 この時点で上位3組、ミルクボーイ、かまいたち、和牛で最終決戦は決まりか、という雰囲気のなか、ラスト10組目のぺこぱが登場。ツッコミの松陰寺太勇の派手なスーツにメイクというビジュアルに気を取られるが、それを逆手に取るかのような漫才で審査員も驚き顔。そして得点は、和牛をわずか2点上回る654点。最後にぺこぱが最終決戦への切符を手に入れた。

 

 M-1史上、類を見ない熱戦。CMに入ると、霜降り明星・せいやは、スタッフに「えぐいっすね。たまらんわ!」と高潮した顔で話しかけていた。

 

 最終決戦に進んだ3組がステージ上に並ぶ。例年この3組は「賞レース慣れ」している芸人が多いので、芸人同士で話をしつつCM明けを待つが、初体験のミルクボーイはきらめくセットをきょろきょろと見回している。

 

 ぺこぱは今年5月まで上戸彩と同じ事務所に所属していたが、上戸とのコンタクトは皆無。当時、マネージャーに「ウチでM-1決勝に行ってるのは上戸彩だけ」と鼓舞されていたそうで、上戸の楽しそうに「聞いてました!」と答える声も聞こえてきた。

 

 ネタ順はぺこぱ、かまいたち、ミルクボーイに決定。まずはぺこぱが、直前にネタをしたばかりとは思えぬ力強さで大ウケ。次いでかまいたちは、ラストイヤーらしくどっしりとした漫才を見せる。決勝後のもう一つの生配信番組『M-1打ち上げ』では、MCの千鳥・ノブが「松本人志さんが『かまいたち好きなんやろうなー』っていうのが滲み出てて、見ながら嫉妬した」と語るほどだった。

 

 トリはミルクボーイ。賞レースの審査員が大きく笑うことはそうそうないのだが、このときばかりは7人全員が大爆笑。「笑う」というより「笑わされてる」といった様相で、スタジオ中の笑い声が加速していった。

 

 そして優勝者発表。ミルクボーイが6票を獲得し、15代目王者に。その瞬間、「ウソですこんなもん! 夢! 夢!」と茫然とする2人。まさに夢心地でトロフィーを掲げ、放送が終了した。

 

 例年、放送後は三々五々に話をした後、順にハケていくことが多いのだが、松本が「過去最高と言ってもいいかもしれない」と言ったほど熱の高い大会だっただけに、今年は演者全員が名残惜しそうに舞台にとどまっていた。

 

 今回、松本のみがかまいたちに投票したのだが、松本は「ホントにオレの入れるところ優勝しないよなー」と笑っていた。昔からミルクボーイを知る今田は、目に涙を浮かべて2人のがんばりを称える。

 

 芸人たちも、順番待ちして「おめでとう!」とミルクボーイの肩を次々にたたく。その隅で、昼間のリハーサルでM-1のステージをいつくしむように撫でていたぺこぱ・松陰寺が、最後に舞った紙吹雪をひと掴みポケットに入れた。芸人たちの万感の思いが伝わるワンシーンだった。

 

 ミルクボーイは、前述の『M-1打ち上げ』で、「テレビにほぼ出ていない自分たちをM-1が見つけてくれた」と話す。

 

 その言葉に対し、千鳥の大悟が「テレビ業界も今日で動いたと思う。『テレビに出ていなくても、こんなにおもしろい芸人がいるんだ。ちゃんと探さなきゃ』って」と話すと、ノブが「ホントに探せてないのよ」と応じた。

 

 昨年の最年少王者誕生に続く、無名芸人の圧勝。「M-1には夢がある」をまざまざと見せつけたこの流れが、今後に与える影響は大きそうだ。(取材&文/松田優子)

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