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升毅、ぬる燗片手に語る俳優人生「実はアイドル志望で…」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.01.02 11:00 最終更新日:2020.01.15 20:31
「別の店に向かう途中で、お品書きをちらっと見たら、いい感じだったんですよ」
寺と相撲部屋、近年ではコーヒーの町として知られる、清澄白河(東京・江東区)。升毅(63)は、偶然入った「梅仁」に通いはじめて7年になる。
「僕は日本酒好きなんですが、熱々の熱燗派でした。マスターにすすめられて、ぬる燗の美味しさを知ったんです」
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初めて座ったのはカウンター。寒い冬の日だった。
「一見さんには冷たそうなマスターで、僕も『粗相がないように』って緊張してね(笑)。
日本酒とお鍋をいただいて、満足して電車に乗ると、かぶっていた帽子がない。店に忘れていたんです。『取りに行きます』と電話をして、そこから通うようになりました」
厳しく見えた主人・菅原勝美さんだが、じつは気さくな人柄。いまでは、一緒に酒を酌み交わす仲だ。「今日は最初から日本酒にしよかな」と升が言えば、料理に合った日本酒が、最適な温度で供される。
「毎月、お手紙が届くんですが、そこに季節のおすすめのメニューが書いてあるんです。『お、あんこう鍋始まったか』とか、季節ごとに美味しいものを食べに来るんですよ」
升の料理好きは、芸能界でも有名で、自宅に仲間を招き「大衆居酒屋 ますや」という名のホームパーティを開くほど。
「スーパーでね、何を作ろかなと、シミュレーションするんです。カゴに入れたり、戻したり。難しい顔してると思います(笑)。でも、段取りをイメージトレーニングしてから始めるので、調理は早い。『この野菜は火が通りにくいから最初に』とか、組み立てをするのが楽しいんです。
ストレス解消のために料理を作っているという意識はないんですが、『そうなってるのかな?』っていう感じです」
父の仕事の関係で、東京と大阪を行き来した少年時代。料理をする母の姿が、升の原風景だ。
「母親がきちんと料理をする人で、子供のころ、おせち料理を作るのを手伝ったり、その姿を身近で見てたんです。高校のころには、『自分の部屋にキッチンがあったらいいな』って思うようになって。
地元の近畿大学に進んだんですが、自炊をしたくて、あえてひとり暮らしをしたほどです(笑)」
自分のキッチンを手に入れたころ、升の人生も大きく動きだしていた。大学2回生のときに、「NHK大阪放送劇団付属研究所」に入所したのだ。
「高校1年のときに、野口五郎さんがデビューしたんです。彼とは同い年で、衝撃的だった。それから “新御三家” がいい感じになっていくのを見て、『自分もなぁ……』みたいな。
本当のことを言うと、アイドルになりたかったんだけど、そんなこと恥ずかしくて口に出せない(笑)。俳優を志したのは、同じ “テレビに出る仕事” だったから、というのもあるかもしれませんね」
父は、放送局の技術職。劇団四季の役者が、自宅に遊びに来るような環境だった。升にとって、俳優の世界は「近くにある世界」でもあった。