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名曲散歩/石川ひとみ『まちぶせ』は4年間まちぶせた歌だった

エンタメ・アイドル 投稿日:2020.01.24 16:00FLASH編集部

名曲散歩/石川ひとみ『まちぶせ』は4年間まちぶせた歌だった

 

 東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。

 

お客さん お、このイントロ……石川ひとみの『まちぶせ』。「胸の奥でずっと好きだった」って、よく聞くと怖いよね、今ならストーカーって呼ばれるね。

 

 

マスター もともとは1976年、ユーミンが三木聖子のデビューシングルとして提供した曲で、その三木バージョンも味があるんだ。その5年後、石川ひとみが歌って大ヒットしたんだけど、実は彼女が、この曲を4年間まちぶせていたって知ってる?

 

お客さん なにそれ?

 

マスター 小さい頃から歌手になりたかった石川ひとみは、名古屋の音楽学院に通ったり、『君こそスターだ!』(フジテレビ系)に出たりしてたんだ。高校を卒業するとき、「4年間、頑張らせてほしい」と親を説得して上京したのさ。
 芸能活動はスタートから順調で、すぐに歌手デビューして、翌年にはNHKの『プリンプリン物語』で声優として活躍……。

 

お客さん 『プリンプリン物語』見てた! ボンボン、オサゲ、カセイジン、モンキーたちと祖国を求めて世界中を旅するんだよね。

 

マスター よく覚えてるねえ。でも3年目あたりから本人は「このままじゃまずい」と焦っていたみたい。なぜかというとヒット曲がなかったんだよね。

 

お客さん たしかに、『まちぶせ』の前に何を歌っていたかは知らないなあ。

 

マスター ヒット曲はない、4年というタイムリミットは迫る!

それで、ちょうどオリジナルの10曲目を区切りに、これで売れなかったらもう歌手をやめようと思っていたんだって。そこにシングル曲の候補として届いたのが『まちぶせ』だった。

 

お客さん きたね、運命の曲が!

 

マスター そう、実はこれ、まさに運命の曲で、通っていた音楽学院でレッスンして、初めて聞いたその日にレコードを買いに行ったほど惚れ込んでいたんだって。
 だから、『まちぶせ』が売れなくて歌手活動が終わっても悔いなし、という覚悟でレコーディングしたそうだよ。『まちぶせ』は石川ひとみを芸能界に引きとめた曲で、いまでも歌うのが大好きなんだって。

 

お客さん 偶然にも、4年間ずーっとまちぶせていた歌だったってことか。おっ、次の曲は……。

 

文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中

 

参考資料:『昭和40年男Vol.48』/『伊集院光とらじおと』(TBSラジオ、2018年10月10日放送)

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