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名曲散歩/斉藤由貴『卒業』高校時代にあった唯一のいいこととは

エンタメ・アイドル 投稿日:2020.03.13 16:00FLASH編集部

名曲散歩/斉藤由貴『卒業』高校時代にあった唯一のいいこととは

 

 東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。

 

お客さん:お、このイントロ、いまの季節にピッタリの斉藤由貴『卒業』だね。いやー、胸がキュンキュンするなあ。

 

 

マスター:ご存知、斉藤由貴のデビュー曲で、卒業ソングの定番。発売された1985年2月は、斉藤由貴も高校3年生で卒業目前だった。ただ、本人にとって高校生活は、あまり楽しい思い出がなかったそうだよ。

 

お客さん:でも、その高校時代に「第3回ミスマガジン」のグランプリに輝いて、明星の「青春という名のラーメン」のCMに出たりしたよね。

 

マスター:もともと彼女は内向的な性格で、高校時代は遅刻、欠席、早退が当たり前。学校に行かない日は、横浜の街をブラブラしていたこともあったそうだよ。本人いわく「教室の隅っこで綿ぼこりと戯れているような女の子」だったんだって。

 

お客さん:ポエムだなあ。メルヘンだなあ。斉藤由貴らしいなあ。

 

マスター:ただ、その高校時代にひとつだけいいことがあったというんだ。卒業式のあと、最後のホームルームでクラスのみんながこの「卒業」を合唱してくれたんだって。

 

お客さん:いい話だなあ。でも、そんな内向的な女の子が芸能界に馴染むのは大変だったろうね。

 

マスター:確かに。高校を卒業してすぐの1985年に『スケバン刑事』(フジテレビ系)に主演。1986年は朝ドラ『はね駒』(NHK)に主演。さらにさらに、大みそかには『紅白歌合戦』の当時最年少の紅組キャプテンだからね。

 

お客さん:あの頃の勢いはすごかった。

 

マスター:夜中の2時から表紙の撮影があったり、スケジュールが詰め込まれるだけ詰め込まれて、自分が削られている感覚があったと語っている。

 

お客さん:それでも30年以上、女優としての地位を確立しているのは、自分を見失わなかったからだろうね。

 

マスター:実は作詞した松本隆さんもそれを感じていて、斉藤由貴には「周りに流されない芯の強さと儚い魅力があった」と語っていた。ちなみにこの年は、菊池桃子、倉沢淳美、尾崎豊が『卒業』という同じタイトルの歌を歌ったことでも知られているよ。

 

お客さん:卒業ブームだったんだね。

 

 おっ、次の曲は……。

 


文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中

 

参考:『昭和40年男』Vol.29/NHKEテレ『ミュージックポートレイト』(2017年2月23日)

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