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小市慢太郎、自然食カフェで悟る「役者は何度も生まれ変わる」

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.03.27 06:00 最終更新日:2020.03.27 06:00

小市慢太郎、自然食カフェで悟る「役者は何度も生まれ変わる」

 

「すごく美味しくて、体に沁みる食事なんですよ」
 小市慢太郎(51)は、そう語ると、お茶碗を手にした。

 

 さつま芋とじゃがいものコロッケ、若ごぼうと蓮根の柑橘きんぴら、野菜の味噌ミネストローネ……。古民家を改装したカフェ「いな暮らし」(東京都稲城市)で提供されるのは、動物性の材料を使わず、無農薬栽培の野菜を中心とした「日替わりごはん」だ。

 

 

「僕は、食の安全に興味を持っています。このお店は、1年くらい前に友人に教わり、それから月に数回は来ています。僕、数年前に肉を食べるのをやめたんですよ。

 

 僕は菜食主義者ではないので、魚は食べますし、肉食を否定しているわけではありません。もともと、脂っこいものや肉が好きではなかったんです。

 

 それに、野菜や植物性のたんぱく質をメインに食べていると、持久力がつき、体調もよくなったんですよ。昔は気にもしていなかったんですけどね」

 

 笑いながら、小市は続ける。

 

「それに人間って、『お肉を食べるために働きつづけている』ような気がしています。食べるためにお金に追われて、ずっと働いている現代人。そして、食べられるために育てられている家畜。どこか、共通する部分があるように思うんですよ」

 

 語り口は、けっして押しつけがましくはない。老練の学者か剣豪。そんなイメージが浮かぶ。

 

「それは、白髪が多いからでしょう(笑)。僕は若白髪で、ずっと10歳くらい上に見られていました。劇団員時代は、自分は30歳くらいなのに、80代の老人を演じたこともありますよ」

 

 その劇団員時代に、小市の名は知られるようになった。劇作家・マキノノゾミが主宰する「劇団M.O.P.」(2010年解散)で、20年にわたり看板俳優として活躍したのだ。

 

「京都の大学に進み、演劇サークルに所属していました。その舞台を観に来たマキノさんに誘われ、『HAPPY MAN2 上海大冒険』という作品に出ることになったんです。“高杉晋作役”としか聞いていなかったのに、出来上がった台本を読んだら、僕、主役でした(笑)」

 

 当初は、「苦行のような毎日だった」と言う。

 

「ほかの役者は、あきらかに自分よりもうまい。僕は目の前の、山積みの課題をやるしかありませんでした。公演初日は、最初にゲネプロ(通し稽古)をやって、公演を2回。2時間半の活劇を、1日3回やるんです。7時間以上、舞台中を走り回っていました」

 

 主役とはいえ、1ステージのギャラは5000円。肉体労働のバイトとの掛け持ちだった。

 

「『これは食えないな』と思って、就職活動をしたこともありました。旅行会社から内定をもらったら、内定者を集めた旅行があったんです。そしたら、同期になるやつらが、みんな腰に手ぬぐいを巻いたまま風呂に入っていて……。

 

『風呂にアソコを隠して入るやつらとは働けない』と思い(笑)、劇団に戻りました」

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