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名曲散歩/プリンセス プリンセス『Diamonds』仮タイトルは「お年玉」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.03.27 16:00 最終更新日:2020.03.27 21:50
東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。
お客さん:お、このイントロ、プリンセス プリンセスの『Diamonds』。この疾走感がたまらないよ、日本が一番元気だった頃だよ!
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マスター:1989年4月発売だから、バブル景気の絶頂期! ところで、この歌、もともとの曲名は何か知ってる?
お客さん:知らない。
マスター:なんと「お年玉」
お客さん:おとしだまっ!?
マスター:時は1989年(昭和64年)1月1日、昭和最後の元旦だ。ボーカルの奥居香が当時ラブラブだった彼氏と大晦日から飲み明かし、酒の匂いをプンプンさせながら彼の家に年始の挨拶に行ったんだって。
お客さん:ほうほう。
マスター:そんな酔っ払い娘を彼のお母さんは嫌な顔ひとつせずに迎えて、「明けましておめでとう」とお年玉を手渡してくれたそうだよ。
お客さん:もう20歳を過ぎていたから、お年玉をもらう年齢じゃないよね。
マスター:そう、そんな思いがけないプレゼントだったから、嬉しくてルンルンした気持ちで帰ったんだ。その帰り道に突然、あのメロディーが浮かんだそうだ。だから、仮のタイトルを「お年玉」としたわけ。
お客さん:なるほど。
マスター:奥居香は「嬉しい気持ち」になったり「幸せな気持ち」になったときにメロディーが浮かぶんだって。
お客さん:だから、プリプリは明るい曲調が多いのか。
マスター:で、ギターの中山加奈子が詞をつけて、タイトルを『Diamonds』にして発売したところ、大ヒットしたんだ。ちなみにカップリングは、ドラムの富田京子が失恋の経験を歌詞にして、奥居香が曲をつけたあの『M』だ。
お客さん:アップテンポな名曲と、バラードの名曲の合わせ技一本! ファンにとっては最高のお年玉だったね。
おっ、次の曲は……。
文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中
参考:プリンセスプリンセス公式Facebook(2012年6月22日)