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小林よしのりが演歌歌手・市川由紀乃と対談「妖艶すぎる!」

エンタメ・アイドル 投稿日:2020.04.03 06:00FLASH編集部

小林 先日、テレビ番組で、まだ子供の頃の市川さんがドレスみたいなのを着て、ステージで歌う映像を観たんですよ。めちゃくちゃちっちゃいんだけど、歌い始めたらものすごく妖艶で。

 

市川 赤いドレスを着てましたか? スパンコールの……。

 

小林 そう、あれは何歳のとき?

 

市川 小学校4年生くらいですね。

 

小林 小4!? 歌い方がもう完全にできあがった大人の歌い方でしたよね。

 

市川 ありがとうございます。「恋が終わって鴎が泣いた 夕陽沈んでなみだが落ちた」っていうフレーズの、小林幸子さんの『別離』という歌を歌っていました。

 

 そういう心境、今なら理解はできるんですけど、当時は歌詞の意味もわかるはずなくて。何かこう、わからない歌を歌いたいという願望があったんですよね。

 

 用意してもらった露出度の高いスパンコールの衣装に恥ずかしい思いもありながら、歌い出すと、歌が大好きなのでその世界を自分なりに解釈して入るという……。あの映像はいま観ても恥ずかしいです。

 

小林 いや、恥ずかしいって言うけど、もうすでに歌に入り込んでいたね。美空ひばりとかが、ちびっこのときに大人の歌い方を最初からしてたじゃない。

 

 それを聴いて、「子供の歌い方じゃない」と怒る人もいたけど、天才は仕方ない。いきなりそういう歌い方ができちゃうわけだよ。感情の機微を表現することが、小さい頃からできてしまう。

 

 だから、市川さんが小さいときからああいう歌い方してたのを観て、やっぱり生まれ持っての才能だなと思いましたね。

 

市川 ありがとうございます。

 

小林 子供の頃、音楽教室とか通ってたんですか?

 

市川 小学生のときは母と一緒に自己練習ですね。レコード盤を買って、「8トラック」というカラオケの機械で練習してました。ひたすらオリジナルの方の歌を何十回と聴いて。

 

小林 母親が教えるの? 歌い方を?

 

市川 はい。

 

小林 すごいね。美空ひばりもお母さんがすごく教育してたよね。

 

市川 母も、歌や華やかな芸能の世界が大好きでしたので。一緒に歌って練習していました。

 

小林 親子でそうならざるを得ない道に入っていたってことですよね。

 

市川 そうですね。私の家庭は、母と、体の不自由な兄がいまして。両親が中学のときに離婚し、家族3人で暮らしていくなかで、「いつか自分が歌手になって、将来的には歌で家族を支えていけたら」という夢を持ち始めまして。

 

 自分でも勉強して、やれるとこまでやってみようと、いろいろオーディションも受けました。

 

小林 なるほど。一時、ブランクもありましたよね。

 

市川 はい、やめていたときもありました。

 

小林 ご病気か何かですか?

 

市川 いえ、病気ではなくて精神的な……。当時、同年代の歌い手さんがキラキラ活躍していくなか、私はどちらかというと積極的に前に出るより、「お先にどうぞ」という自己PRができない性格で。

 

「芸能界に向いてない」というお声もいただきました。歌に対しても、何が正解なのかがわからなくなって。

 

 10代の頃の歌と、20代を過ぎてからの歌と、はたして自分のなかで成長しているのかとか、いろいろ頭で考えて歌うようになったとき、行きづまってしまったんです。自分がステージに立てないような気持ちになり、休むのではなく、やめる決心をしました。

 

小林 なるほど。それを経て、もう一度再スタートを切ったわけだよね。「自分が自分が」という自己アピールをしない雰囲気が、逆にいい印象で出てますよね。司会者と会話するときや、歌っているときの節度とか、ちょうどいい具合なんじゃないかな。歌の上手さはもちろん、最高の時期に来ているという感じですよ。

 

市川 そうですか?

 

小林 しかも未知の伸びしろを感じます。歌手も年を取ってくると、歌うのに慣れ、自分でどんどんアレンジしていく。ものすごくクセが出ちゃう。クセが強すぎて、「この人、しゃっくりで歌ってるのかな?」と思ってしまうことだってあるから(笑)。

 

 だけど市川さんは、歌の世界を壊さない実力と魅力があって、聴くほうも安心して感情が投入していけるんです。素晴らしく脂の乗りきった時期だから、いい楽曲で、ぜひヒットを飛ばしてほしいと思います。

 

市川 先生、ありがとうございます!

 

●こばやしよしのり
1953年、福岡県生まれ。1976年、漫画家デビュー。現在『よしりん辻説法』(『FLASH』)のほか、『ゴーマニズム宣言』(『SPA!』)、『闘論席』(「週刊エコノミスト」)を連載中。近著に『慰安婦』(幻冬舎)

 

●いちかわゆきの
1976年、埼玉県生まれ。1993年デビュー。2016年、2017年とNHK紅白歌合戦に連続出場。2019年、日本レコード大賞「最優秀歌唱賞」を受賞した実力派。4月8日、新曲『なごり歌』を発表

 

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