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甲子園にモスラ…朝ドラ『エール』古関裕而は天才すぎる作曲家

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.04.04 06:00 最終更新日:2020.04.04 06:00

甲子園にモスラ…朝ドラ『エール』古関裕而は天才すぎる作曲家

裕而から金子への手紙には、ハートマークが

 

 この時期の裕而には、謎が多い。前出の『竹取物語』や、金子が作詞した『君はるか』は所在不明で、幻の曲になっている。裕而の自伝『鐘よ鳴り響け』(集英社文庫)にも、コンクール入賞、金子との出会い、結婚は語られていない。

 

 正裕氏は、残された往復書間をもとに、小説『君はるか 古関裕而と金子の恋』(集英社インターナショナル)を執筆。金子が燃やした手紙を、想像で補った。福島市で大々的におこなわれた生誕100年式典で、その草稿を関係者に見せた。

 

「そこで、『2人の物語は朝ドラ向けだ』という話になったようです」(正裕氏) 

 

 有志らによる誘致活動が始まり、2016年からは福島市も本腰を入れた。金子の出身地、豊橋市ともタッグを組んだ。『エール』の制作が発表されたのは2019年2月。地元紙『福島民報』『福島民友新聞』は号外を発行し、地元には喜びの声が溢れた。

 

 今日のように注目が集まる前から裕而を研究してきたのが、齋藤秀隆氏(78)だ。齋藤氏は、裕而の出身校・福島商業学校(現・福島商業高校)の後輩であり、16年間、同校の教師も務めた。

 

「2000年の夏、甲子園に生徒たちを引率して、アルプススタンドで『栄冠は君に輝く』を聴きました。今回のドラマ化は、そのときと同じくらい、万感胸に迫るものがあります」

 

 裕而は、生涯に5000曲を作曲したとされる。評伝『古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家』(文春新書)の著者で、近現代史研究者の辻田真佐憲氏(35)は、古関作品の特徴として、「ジャンルの幅広さ」をあげる。

 

「流行歌や野球の応援歌、軍歌や自衛隊歌、戦争の悲劇を歌う鎮魂歌まで、なんでもこなしました。しかも、タイガースとジャイアンツ、早稲田と慶應の応援歌を作るなど、ライバル関係もおかまいなしでした(笑)」

 

 あらゆる大衆音楽を手がけた、唯一無二の存在だった。

 

「古関は明治に生まれ、大正に育ち、昭和のほぼすべてを作曲家として生き、平成に亡くなりました。彼の人生や作品は、“日本の黄金時代” である昭和の歴史すべてを記録しています。

 

 そして、その頂点には、『オリンピック・マーチ』が君臨しているのだと思います」(辻田氏)

 

 苦境の今、裕而の “応援歌” が、日本中に響く。それはきっと、我々の力になるだろう。次のページでは、裕而の代表曲と生涯を紹介する。

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