エンタメ・アイドルエンタメ・アイドル

累計部数1288万部…「東野圭吾」電子化で作風の変化を実感

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.04.17 11:00 最終更新日:2020.04.17 11:00

累計部数1288万部…「東野圭吾」電子化で作風の変化を実感

 

 2020年に作家生活35周年をむかえる東野圭吾。これまで著書の電子化をしてこなかったが、今回、出版社7社が協力し、7作品の「最初で最後かもしれない」電子書籍化が決まった。すべて映画化またはドラマ化され、100万部を突破している作品だという。7作の累計部数は1288万部にのぼる。

 

 

『ダイイング・アイ』(光文社)担当編集者がこう話す。

 

「『ダイイング・アイ』は1998年に『小説宝石』に連載され、2007年に刊行されました。刊行まで約9年かかっています。連載開始当初は、東野さんのブレイク前夜にあたります。連載と同じ1998年に『秘密』が刊行され、初の直木賞候補、日本推理作家協会賞受賞、映画化も決定し、東野さんの注目度が一気に上がりました。

 

 そんななか、『書き直さないと出せないなあ』という東野さんの考えとタイトな執筆スケジュールの関係で、『ダイイング・アイ』はしばらく宙ぶらりんの状態に。ようやく刊行されたのは、2006年の『容疑者Xの献身』直木賞受賞後でした」

 

 9年の時間は大きく、東野の作風も大きく変わったという。

 

「『ダイイング・アイ』のようにダークでエロチック、主人公も決して清廉ではないという作品は、すでにとても珍しいものになっていました。単行本には『今度の東野圭吾は、悪いぞ。』という文言を使いましたが、おそらく、これほど “悪い東野圭吾” は、本作以降、出ていません。刺激の強い作風に惹かれた読者が多かったことが、ヒットにつながったのかもしれません」

 

 主人公の雨宮慎介は、野心を胸に秘めたバーテンダー。魅力的な容姿と怜悧な頭脳をあわせもち、疑い深く、目的のために手段を選ばない酷薄さも持っている。

 

「慎介が好んで飲むジン・アンド・ビターズは、東野さんが当時好きだったカクテルです。アロマチックビターを塗ったカクテルグラスに冷えたジンを注いだだけのこのカクテル、アルコール濃度が超高いんです。東野さんが飲んでいるのを見て興味を持った編集者が、飲んで腰を抜かした、というエピソードを聞いたことがあります」

 

東野圭吾
1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めのかたわら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞、さらに国内外の出版文化への貢献を評価され、2019年、第1回野間出版文化賞を受賞

 

※今回、電子化される7作品は以下のとおり。4月17日より予約販売開始、24日から配信開始。
「改めて発表順に読むと、作風の変化を実感できるかもしれません」(担当編集者)

 

・『白夜行』(1999年、集英社)
・『容疑者Xの献身』(2005年、文藝春秋)
・『ダイイング・アイ』(2007年、光文社)
・『流星の絆』(2008年、講談社)
・『プラチナデータ』(2010年、幻冬舎)
・『ナミヤ雑貨店の奇跡』(2012年、KADOKAWA)
・『疾風ロンド』(2013年、実業之日本社)

続きを見る

今、あなたにおすすめの記事

エンタメ・アイドル一覧をもっと見る