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クリスタルキング『大都会』は品のかけらもないけどグランプリ
エンタメFLASH編集部
記事投稿日:2016.10.10 20:00 最終更新日:2016.10.10 20:00
「お前ら、九州の男やったらもう一回勝負するよね?」
ポプコンのスタッフによるこのひと言が、「グランプリを獲って区切りをつけるはずだった」クリスタルキングに火をつけた。
1978年秋、ポプコン本選大会で、円広志の『夢想花』がグランプリを獲得。クリキンは入賞に終わっていた。
「審査基準に納得がいかない」と暴れていたメンバー(とくに田中さん)に、冒頭の言葉が突き刺さった。
「おもろいやないかい。次は絶対グランプリを獲ったる! と。そのために作った曲が『大都会』。俺らは『夢想花』のサビのインパクトに負けただけだから、簡単にいえば審査員を驚かせればいい。俺の高音で歌メロが始まれば、びっくりして(審査員が)マルをつけるやろうって(笑)。ギターの山下がベースになる曲を書いてきて、それから3人がかりで詞を考えた」
翌1979年秋、宣言どおりに『大都会』はグランプリを受賞した。
「ヤマハの理事長が会見で『こんな品の欠片もないバンドにグランプリを与えたヤマハの器量に拍手してくれ』って言ってた(笑)。俺も『そのとおりや!』って拍手した。俺らが本気を出せばグランプリは当たり前やと思ってた。
いま思い返すと、根拠のない自信とうぬぼれ、だけど(笑)。俺にとっての『大都会』は人生そのもの。この曲のおかげで、今の俺がいる」
<クリスタルキング『大都会』>
1979年11月21日発売
作詞:田中昌之・山下三智夫・友永ゆかり 作曲:山下三智夫
●売上枚数:118.1万枚(1980年)
●ザ・ベストテン初登場:1980年1月10日4位
●最高位:1位 ●連続ランクイン:15週
<カラオケ・ワンポイント・アドバイス!>
「交わす言葉も寒いこの都会(まち)」の部分は、みんな俺のパートを歌ってるみたいだけど、ここは上のハーモニーだからね。下の主旋律を歌うと違う曲に聴こえるかもしれないけど、勇気をもって歌ってみよう。
<田中昌之>
1951年生まれ 65歳 佐賀県出身 1975年、「クリスタルキ
ング」に参加。『大都会』『蜃気楼』『PASSION LADY』『愛を
とりもどせ!!』などヒット曲多数。1986年脱退。1997年ポッカ缶コーヒー「クリスタルブラック」のCMに出演し話題に。洋楽
の名曲をカバーした最新アルバム『It's My Life』発売中
(週刊FLASH2016年10月11日号)