「ドッキリの仕事が続いた直後、段ボールで作った船でジブラルタル海峡を横断するというバカげたロケがありました。こんなの、どう考えてもドッキリじゃないですか。そう思って、スペインまで行ったんですが……、本当にやるんですよ。これはドッキリじゃないのかよ! もうわけわかんないよ!」
そう嘆くのは、バイきんぐの小峠英二(40)だ。バイきんぐは「キングオブコント」での優勝経験がある実力派お笑いコンビ。小峠は声を張った激しいツッコミと、「なんて日だ!」という決めゼリフで知られている。
そんな彼がいま、ドッキリのターゲットとして、テレビ番組で引っ張りだこなのだ。
「『水曜日のダウンタウン』によると、仕掛けられた回数が2年連続で芸能界トップなんですね。去年は僕が16回で1位、あばれる君が12回で2位、クロちゃん(安田大サーカス)が10回で3位……て、全員ハゲじゃないですか!」
古典的な落とし穴から、ハニートラップまで……。ドッキリは多岐にわたる。
「いちばん辛いのは、鳥モチをつけられるやつですね。あれって石鹸では落ちないんです。サラダ油みたいなので洗うんですが、それでも落ちなくて。結局、収録より体を洗っている時間のほうが長かったです。地味なのに辛い」
これだけドッキリを仕掛けられる小峠は、本当に騙されているのか?
「ロケで海鮮丼を食べようとしたら、爆発したんですよ。食材が顔にかかって。それ以来、海鮮丼を見たら、“うっ”となります。ガンマイク(棒の先にマイクがついたもの)の先っぽがロケット花火みたいに飛んできたこともあった。こんなの予想なんてできませんよ」
ただ、怪しいと思うことはある。
「台本がペラ紙1枚しかないときとかはウソ企画かと思いますね。あと、ロケなのに服を着替えさせられたら、汚されるんじゃないかと。でも、カメラは探しません。見つけちゃったら、気まずいじゃないですか。
あとボールペンをノックすると電流が流れるドッキリ。あんなペンは特注の一点ものですから、最近は見た瞬間に『あっ、あのペンだ』とわかるようになった。もちろん押します。芸人ですからね!」
「騙される力」を発揮している。
「バナナマンの日村(勇紀)さんと洒落(しゃれ)たバーに飲みに行ったんです。ポテトを頼んだら、下に敷いてあった紙にキャンドルの火が燃え移った。日村さんと『ドッキリですかね』と眺めていたら、火が大きくなって。店員が血相を変えて『危ない、危ない』と火を消しに来た。ええ、ただの火事でしたよ」
なぜ、小峠は狙われるのか。
「マネージャーがテレビ局の人に聞いたんですが。僕はドッキリに引っかけられても、かわいそうに見えないみたいです。この見た目と、ふだんデカい声でギャンギャン言うキャラだからかもしれないですね。
マネージャーが、どうしたらかわいそうに見えますか? と聞いたら、その人は真顔で『殺すしかないんじゃないですかね』と答えたそうです(笑)。いつかドッキリで殺される日が来るのかもしれません」
(週刊FLASH 2016年7月5日号)