
小日向文世
髙石あかりがヒロイン・松野トキを務めるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』が第3週に突入した。借金苦を打開すべく、鳥取の士族の青年・山根銀二郎(寛一郎)と結婚したトキだったが、松野家に婿入りした銀二郎の不憫すぎる扱いに、視聴者のストレスが高まっている。
「14日に放送された第12話では、トキの祖父・勘右衛門(小日向文世)が銀二郎におこなった “跡取り教育” が物議を醸しました。
銀二郎に素振りの稽古をさせたあげく、『格の低さが染みついちょる。そげな腕では、松野の跡取りは務まらんぞ』とひどい言葉を投げかけたのです。たしかに銀二郎の家は足軽で、武士としては最下級。松野家は没落したとはいえ、松江藩の上級武士だったため、“格の違い” はあるのですが、現代の価値観からすれば、せっかく婿入りしてくれた人にかける言葉ではありません。
さらに15日の放送では、銀二郎の存在に気づかなかった松野家の人たちが、トキの出生の秘密を口にしてしまったんです。銀二郎が物音を立てたことで存在に気づき、勘右衛門は『なぜおった!』と銀二郎を責め立てる展開に。
銀二郎は好青年といった雰囲気で、“婿いびり” にも『申し訳ございません』とすまなそうな顔をして謝り倒していますが、あまりの不憫さに同情する声が噴出しています」(芸能記者)
Xでは、勘右衛門の物言いのひどさを非難する声があふれた。
《爺さんにムカついた〜。婿いびり、ヤベ〜。婿になってくれた感謝が松野家の人達には微塵も感じられない。借金は山ほどあるし、こりゃお婿さんが出て行くのも時間の問題だね》
《銀二郎さんの立場ないよ〜。嫁いじめならぬ婿いじめに見えちゃう》
《松野家みんな嫌い。祖父も父も母も娘も。娘は子役の時の聡明さはどこ行った。銀二郎さん、一刻も早く逃げて!》
朝ドラのなかで、義母による “嫁いびり” が描かれることは多々あるが、今回のように “婿いびり” が描かれることは珍しい。
「『カムカムエヴリバディ』では、ヒロイン(上白石萌音)が、義母(YOU)に『あんたは疫病神じゃ。とっととこの家から出ていかれえ!』と絶叫されたり、『あさが来た』で萬田久子さんの鬼姑ぶりが話題になったりと、朝ドラにおいて嫁姑問題は何度か描かれています。
しかし、今回のような婿いびりが描かれるのはなかなか珍しく、視聴者にとっても新鮮だったようです。史実でも、銀二郎のモデルになった前田為二さんは、トキのモデル・小泉セツの家族からひどい扱いを受けていたとされています。
先週あたりまでコミカルで楽しい家族のように描かれていた松野家が、銀二郎の登場によって全員の身勝手さが際立ち、一気に印象が変わってきたこと自体が、怪談めいているとも言えそうです。
視聴者が悲鳴をあげるのも制作陣の狙いどおりでしょうし、物語としては面白くなってきたともいえるのですが……」(芸能記者)
はたして、 “婿いびり” の行く末は……。