
平子祐希(アルコ&ピース)
「いまはネット全盛で、気軽に動画を楽しむ時代ですが、若い世代に抜群の視聴回数を誇っているコンテンツがお笑いです。クライアントからも、CMにお笑い芸人を起用したいという要望が増えています」
大手広告代理店CMアナリストは、10月のCM改編期に新しく起用されたタレントについてこう分析した。
また、コスパを重視して、CM契約料金が高止まりしている大物よりも、“これから旬になる”芸人の起用を検討するケースが増えているという。
「お笑い芸人だけでなく、俳優でもCM年間契約料2000万円を超えたら、立派なスターです。2000万円未満から1000万円は、プロ野球でいえば一軍に定着している選手、1000万円未満は、二軍から一軍に上がったばかりというレベルです。コスパの点でいま、2000万円未満の芸人が注目されています」(大手広告代理店CMキャスティング担当者)
本誌は、大手広告代理店が2025年9月に、有力企業1200社を対象に調査した「CMに起用したい年間契約料2000万円以下のお笑い芸人ランキング」を入手。その結果を発表する。
■予測不可能な芸風でも “ノースキャンダル”
1位は、2025年9月時点でテレビ出演時間がタレント部門7位という、くっきー!。
「予測不可能な言動が一時期は視聴者から敬遠されていましたが、『ラヴィット!』(TBS系)の金曜レギュラーに起用された効果で人気者に変わりました。なんといっても、CMに必要なインパクトを持っています」(大手広告代理店関係者)
ベテランお笑いライターは、「いまのお笑い界では唯一無二の存在です」と話す。
「奇抜な芸風ですが、スキャンダルがなくクリーン。NHKでも重宝されていて、大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で重要キャストの葛飾北斎を演じるなど、演技もできます。さらに、芸術家として個展も開催しています」
2位は、「じつは愛妻家でお子さんが2人いらっしゃるという意外性に惹かれます」(家庭用品メーカー担当者)など、ファミリー向け商品のCMに起用したいという声があがったアルコ&ピースの平子祐希。「平子さんのグルメリポートは、視聴者から好感度が高く、食品会社からも注目されています」(前出・広告代理店関係者)。
こちらも、食べっぷりで食品会社から熱視線を送られているギャル曽根が3位に。くっきー!と同じく『ラヴィット!』出演が転機になったという。
「食べっぷりもありますが、番組で見せる“ヘタレ”ぶりが若い主婦層の好感度をつかんでいるんです。食品や家庭用品メーカーから引き合いがあります」(同前)
ギャル曽根は、「食べ方」が好感度の理由のひとつだという。
「これまでの大食いタレントと違い、きれいに完食するスタイルが受けています。また、ただ食べるだけでなく、調理師免許、野菜ソムリエ、食育アドバイザーなど“食”の資格を持っているところが主婦層に刺さると、テレビ関係者のなかでも評判です」(前出・ベテランお笑いライター)
すでにサントリーのCMに出演しているヒコロヒーが4位にランクインした。
「酒もタバコもやる“やさぐれキャラ”ですが、そのいい加減具合が支持を得ています。『独身用の保険でどうでしょうか?』と検討されたこともあります」(前出・広告代理店関係者)
不定期も含めるとテレビのレギュラー番組7本を抱える人気者だが、お笑いファンの間でも評価が高いという。
「どんなに忙しくても毎年、オール新作の単独ライブを開催しています。会場は500席くらいのキャパですが、毎回、即完売。はすっぱな雰囲気で繰り出す、皮肉たっぷりのネタがウケています」(前出・ベテランお笑いライター)
■ブレイクのコンビが大手3社と契約
5位には、東京・大阪の2都市でおこなう漫才公演がつねに満席状態の、ダイアンのツッコミ担当・津田篤宏が入った。「東京進出したばかりのころは、『大阪に帰ったほうがいい』といわれるくらい人気がなかった」(同前)という状態だったが、三井住友銀行とも契約する人気者に。
「もうすぐ2000万円超えのスターの仲間入りといわれるほど引っ張りだこですよ」(前出・広告代理店関係者)
『M-1グランプリ2024』で準優勝したことをきっかけに、2025年に大ブレイク中のコンビ・バッテリィズが6位。現在、日清食品「カップヌードル」、日清ヨーク「ピルクル400」、サントリー「オールフリー」など、大手企業のCMに出演している。
「漫才のほかにトークの力も評価されている実力派です。映画の完成披露試写など、トークイベントでも重宝されています。間違いなく2025年、いちばんブレイクした芸人です」(前出・ベテランお笑いライター)
7位は、連続テレビ小説『虎に翼』『おむすび』(ともにNHK)に連続して出演し、俳優業でも活躍するシソンヌの長谷川忍。そして8位には、いまや「芸能界のスイーツ女王」として君臨する、ぼる塾の田辺智加が。田辺は2025年、おかきブランド・カキヤマトーキョーと商品開発するなど、菓子メーカーから「ぜひ商品開発からお願いしたい」と注目を集めている。
9位は、2024・2023年の『M-1』王者の令和ロマン。10位には、筋肉芸人界の新星・青木マッチョがランクインした。2024年、短期契約だがレイクやカプコンのCMに出演。野田クリスタルが経営するジムでトレーナーとしても活動するが、ブレイクの兆しがあるという。
「マッチョという、わかりやすいインパクトがあるのが強みですね。なかやまきんに君、野田さんと共演したら後世に残るCMになると、検討に上がりました」(前出・CMキャスティング担当者)
駆け足で紹介したが、このキャスティング担当者は、35位に“隠し玉”があるという。
「ロングコートダディです。調査が9月30日締め切りだったので35位でしたが、10月11日の『キングオブコント』優勝後だったら上位に来たはずです。お笑い芸人の人気はそのくらい、一瞬で変わります」
2026年4月の改編まで生き残るのは誰?
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