ミラノ出発前の羽田でスタッフに囲まれる目黒蓮(2024年)
目黒蓮の “出る出る詐欺” 感は多少あるものの、脇を固めるおじさん俳優たちの演技がよすぎて涙腺崩壊させられている。
10月12日(日)に放送開始し、第3話が今夜放送される日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)。
競馬の世界を舞台に、熱き大人が夢を追いかけ続けるヒューマンドラマ。仲間や家族との絆を軸に、20年にもわたる人間と競走馬を描いた壮大な物語になるようだ。
筆者は競馬の知識がほとんどないのだが、それでも本作にはハマッている。
■2番手キャストの目黒蓮はなぜかまだ出番なし
主演は妻夫木聡だが、日曜劇場ということで、そのほかのキャストも非常に豪華。佐藤浩市、黒木瞳、沢村一樹、安藤政信、小泉孝太郎、松本若菜、高杉真宙と、ドラマや映画で主演経験のある役者がズラリ。
そんななか、妻夫木に次ぐ2番手キャストとして名を連ねているのが、Snow Man 目黒蓮なのである。目黒見たさで視聴しているファンが多くいることは想像にかたくないが、第1話、第2話では出番なし。
ナレーションは目黒が務めており、第1話ラストに写真でのみ出演しているが、動く姿はまだ出てこない。第3話の予告映像にも映っていないため、今夜も本格登場しない可能性が濃厚だ。
20年間を描くということなので、目黒演じるキャラクターはドラマ中盤以降に登場するのかもしれないが、ファンからすれば、“出る出る詐欺” 感は否めないところだろう。
とはいえ、準主役と思われる目黒が登場しないことが気にならないぐらい、ストーリーは第1話も第2話も盛り上がっている。
■佐藤浩市の「俺んとこ来るかい?」にシビれた
主人公の税理士・栗須栄治(妻夫木)が、人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」で、赤字続きの競馬事業部について実態調査を依頼されたことから物語は始まる。
当初は競馬事業部撤廃のために動いていた栗須だったが、社長・山王耕造(佐藤)の競馬に駆ける情熱にあてられ、税理士事務所をやめてロイヤルヒューマンに入社。競馬についてほとんど知識がなかったものの「競馬事業部 専任秘書」という役職を与えられ、馬主である耕造とともに有馬記念での勝利を目指していく。
そんな『ザ・ロイヤルファミリー』だが、冒頭でも触れたとおり、脇を固めるおじさん俳優たちの演技がめちゃくちゃいい。
耕造は典型的なワンマン社長でパワハラまがいの言動も少なくないが、人や馬への情が厚く、人間力が高い。一歩間違えると、Z世代が苦手な昭和のイケイケオヤジのなれの果てという感じで、ただ高圧的でウザい老人に見えてしまうかもしれない。
だが、佐藤浩市がさすがのバランス感覚で、豪胆さのなかにも繊細な一面を醸し出し、とても魅力的な人物に仕上げている。第1話終盤、栗須をスカウトする際の「俺んとこ来るかい?」にはシビれた。
ほかにも安藤政信演じる馬を第一に考える調教師や、津田健次郎演じるクセのあるスポーツ新聞記者など、50代以上のおじさん俳優たちの熱演がぶっ刺さるのだ。
■尾美としのり演じる牧場経営者に感情移入して
筆者が第1話でも第2話でも泣かされたのが、尾美としのり演じる牧場経営者・林田純次の出演シーン。第1話では「ロイヤルファイト」、第2話では「ロイヤルイザーニャ」という馬の活躍が描かれたが、この2頭は3年前に耕造が林田から直接買いつけた競走馬だった。
第1話ではロイヤルファイトのレースを、「来いっ、来いっ、来いっ、来いっ! ファイト、来い!」と熱烈に応援。惜しくも2着だったが、栗須に「ありがとうございました。本当にありがとうございました。ありがとうございました!」と心からの感謝を伝え、栗須が競馬界入りを決心する後押しとなった。
第2話ではロイヤルイザーニャがレースで1着を取り初勝利するのだが、この馬のバックボーンがかなり胸アツ。林田には若くして亡くなった息子がいたが、その息子が手がけた「イザーニャ」という馬の子供がロイヤルイザーニャだった。
3年前、耕造は2頭を買いつける際、林田に「イザーニャの血統は、あんたの息子さんが手がけた仕事は、俺が残す」と語っており、その約束が第2話で結実したというわけだ。
■もらい泣きするほど魂にぶっ刺さった熱演
そんなバックストーリーがあるため、ロイヤルイザーニャがレースで疾走する姿に、「そうだ、走っていけ、イザーニャ! 走っていけぇ!!」、「逃げろ…! 逃げろぉ! 逃げろ、逃げろ、逃げろイザーニャぁ! 逃げろぉぉ!!」と絶叫する林田に胸を打たれた。
特にゴール後の林田にはもらい泣きした。ロイヤルイザーニャの勝利の瞬間、林田は天を仰ぎ、手を合わせ「イザーニャぁぁ!」と号泣。そのまま膝から崩れ落ち、「やった……やってくれたぞ、イザーニャがぁ……」と、天国の息子に報告するのだ。
この尾美の演技に涙腺崩壊。第2話は尾美が全部持っていったと思えたほど魂にぶっ刺さる熱演だった。
ちなみに、林田は公式サイトの人物相関図に載らないほどの脇役。もしかすると第3話以降はあまり出番がないのかもしれない。
個人的には、まだまだストーリーにからんできてもらいたいが、それは『ザ・ロイヤルファミリー』という作品が、相関図からあぶれてしまうような脇役にも魅力があり、それだけ深い人間模様が描かれているという証拠でもある。
今夜の第3話でも目黒蓮は本格登場しないかもしれないが、主演の妻夫木や円熟したおっさん俳優たちのいぶし銀の演技で、また泣かせてくれるに違いない。
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