
夏帆
主人公の恋敵が言い放ったなにげない一言から、けっこうな “ヤバ味(み)” が漂っていた。
竹内涼真と夏帆がダブル主演するラブコメドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)。
現在第4話まで放送されているが、第3話がTVerで442万回再生(配信開始後1週間集計)を突破し、2023年8月放送の『VIVANT』(TBS系)第5話の419万回を超えた。この記録はTBS全番組の歴代最高だそうだ。
要するに社会現象化しつつある大ヒットドラマとなっているのである。
■夏帆の新恋人は “大量消費型” 恋愛体質
“ハイスペしごでき” のビジネスパーソン・海老原勝男(竹内)は、「女の幸せは、家で料理を作って愛する人の帰りを待つこと」「料理は女が作って当たり前!」という古臭い価値観を持っていた。そんなモラハラ男ゆえに、大学時代から交際していた山岸鮎美(夏帆)にプロポーズするも、「無理」と断られてしまい破局。
第4話時点で勝男は鮎美に未練たらたらで引きずっているが、一方の鮎美はすぐに次の恋に進み、新しい彼氏・ミナト(青木柚)と同棲をスタートさせた。
しかし、このミナトという男がなかなか不穏な存在なのだ。
ミナトは一言でいうと “人たらし”。人懐っこい笑顔が特徴で男でも女でもすぐに仲よくなれるし、恋愛では好きという自身の感情に実直で、ストレートに気持ちを伝えられるタイプ。
ただ、行きつけのバーの常連客だけでも元カノが4人いることがわかり、女性とすぐに付き合うがすぐに別れる “大量消費型” 恋愛体質だということが発覚している。
そんななか、第4話後半で勝男とミナトがじっくり語り合うシーンが描かれた。
勝男はミナトが信頼できる人間だと感じたようで、「俺が鮎美にできなかったこと、しなかったこと、思いもつかなかったこと、たくさんしてあげてほしい。鮎美のこと、まかした」と託す。
それに対してミナトは、「勝男さん、大丈夫です。鮎ちゃんは誰かにまかせなくても大丈夫。だって強いですから。僕らよりずっと」と返したのだ。
■一見するとめちゃくちゃ素晴らしい言葉
ミナトの「誰かにまかせなくても大丈夫。だって強いですから」は、一見するとめちゃくちゃ素晴らしい言葉である。
“鮎美=女性” を男が守ってあげなくてはいけない存在として扱っておらず、自立した一個人として尊重している発言だからだ。ジェンダーレス社会において、いまの時代にあったアップデートされた正論とも言える。
しかし、その正論は “正しすぎる理想論” でもある。
ミナトの評するように、本当に鮎美のメンタルが強いならばいいが、実際の鮎美はメンタルがとても不安定でヨワヨワに見えるシーンばかり。
たとえば第4話では、バーで女友達(元カノ)2人と遭遇したミナトから一緒に飲もうと誘われるが、鮎美は不安げな表情を浮かべながら先に帰ると告げる。その際、女友達に見せつけるようにミナトにハグをして、「家で待ってるね」と伝えるのだ。
この一連のムーブは、本当は女友達の存在に心が搔き乱されて気が気じゃないのに、大丈夫なフリをして強がっているだけなのは明白。メンタルが弱いからこそハグを見せつけて “マーキング” していたのだろう。
また別の日、雨が降りしきる夜にミナトが女友達と車で消えていくのを目撃し、浮気を疑ってひどく動揺する鮎美。たまたま会った勝男に心配されるも、「大丈夫、なんでもない」「気にしない。全然気になってない」と答えるが、明らかに情緒不安定でとてもじゃないが「大丈夫」には見えない。
■彼女のことをろくにちゃんと見ていない
実際の鮎美は精神的にもろい部分が非常に多いため、ミナトの「誰かにまかせなくても大丈夫。だって強いですから」は、彼女のことをろくにちゃんと見ておらず、なにもわかっちゃいないということが露呈した言葉だったわけだ。
「鮎美のこと、まかした」という勝男の発言は旧態依然とした昭和臭が漂っており、対するミナトの発言はいまの時代の価値観にあっているのだろうが、世の中には鮎美のように強くない人もたくさんいる。ミナトの正論は耳ざわりがいい言葉だが、鮎美には当てはまっていなかったのである。
今夜放送の第5話では、ミナトは悪びれもせずに鮎美と同棲している部屋に一緒にいた女友達を連れ帰り、3人で飲もうと提案するシーンがあるようだ。第1話のモラハラ全開だった勝男のヤバ味もすごかったが、第5話ではミナトのヤバ味が加速するのかもしれない。今夜も注目だ。
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