
「高校時代、ドリカムのファンクラブに入っていた」(相川七瀬)(写真・福田ヨシツグ)
相川七瀬(50)とEvery Little Thing(以下、ELT)の“もっちー”こと持田香織(47)。時代を彩った2人のボーカリストが放つ「BIG BANG対談」後編は、2人が影響を受けたというアーティストの話からスタートです。
相川 香織が影響を受けたアーティストは?
持田 ドリカム(DREAMS COME TRUE)さんとZARDさん、好きでした。
相川 一緒だ! 私、高校時代にドリカムのファンクラブに入っていたよ。
持田 本当に?
相川 うん。マジで。
持田 私は、吉田美和さんと坂井泉水さんの声と歌い方がとても好きで、学生時代にカラオケでもよく歌っていました。
相川 私も坂井さんが書く歌詞は、とにかくすごいと思って。ソングライティングの教科書だと思っていた……というか、いまでもそう思ってる。
持田 坂井さん、立ち姿も美しいですよね。
相川 使っている言葉はシンプルなんだけど、メッセージがちゃんとみんなに届いていて。あんなすごいソングライターは、もう出てこないんじゃないかと思うくらいのレベルですごい、ものすごい人だよね。
持田 七瀬ちゃんの好きな曲は?
相川 デビュー前、ZARDの曲でデモテープを録っていたから、全部好きなんだけど……どれか1曲と言われたら、4枚めのアルバム『揺れる想い』に入っている『You and me(and…)』かな。いまでも、織田(哲郎)さんのところには私が歌った『You and me(and…)』のデモテープがあると思う。
持田 それって、お宝音源じゃないですか。
相川 門外不出のお宝サウンドだから、外には出せないんだけどね(笑)。香織のイチ推しは?
持田 『負けないで』は、昔オーディションを受けた際に歌ったので思い出があるし、『IN MY ARMS TONIGHT』もよくカラオケで歌いました。
相川 TUBEのハル(春畑道哉)さんが作った曲だね。
持田 ZARDさんの歌ももちろん好きなんですけど、歌う姿、立ち姿が素朴で、あんなにかわいい人がいるのかと思うほど、とにかく坂井さんが素敵でした。『揺れる想い』の8cmCDに「香織ちゃんへ」と名前入りでサインをいただいたことがありますが、すごくうれしかったのを覚えています。
――お2人とも、坂井さんと同じく詞を書かれます。どういう経緯で書くようになったんですか?
持田 ELTは作詞、作曲、編曲を五十嵐(充)さんがしていました。その五十嵐さんが抜けたときに会社の社長に聞かれ、書くか書かないか迷った末に、自分でチャレンジしてみたいなと思ったのが、そもそもの始まりでした。
相川 それまでは書いていなかったの?
持田 五十嵐さんが「書いてみたら?」と言ってくれて、アルバムに入れる曲を2曲かな、書いたことはあったけど、それだけですね。
相川 私は自分で書いてみたいと思う前に、織田さんに「歌を歌う人は、自分の言葉で詞を書いて、それを歌えるならそっちのほうがいい」と言われて、ずっと練習をしていたって感じかな。
持田 ただ、自分のなかにある言葉って限られているし、ずっと書いていると似た感じになってきちゃうし……難しいですよね。
相川 そんな香織が、いま大切にしているのは?
持田 なんだろう? 言葉が好きであることとかですかね。七瀬ちゃんは?
相川 私は、等身大の自分かな。昔、ラブソングを書くときはすごく背伸びして、カッコいい言葉を使っていたんだけど、いまはカッコ悪くてもいいから、等身大の自分の言葉を使おうと。そのほうが歌っていても感情も乗るような気がするんだよね。
持田 締切りが迫っているのに、どうがんばっても言葉が出てこないときってあると思うのだけれど。
相川 あるね。ある意味、つねに締切りとの闘いだからね(苦笑)。
持田 そういうとき、私は無理やりひねり出そうとするんだけど、七瀬ちゃんはどうしているの?
相川 私はね、明日の自分がなんとかしてくれるだろうと期待して……。
持田 寝ちゃう!?
相川 そう(笑)。締切りが1週間後だったら、1週間後の私に“頼んだよ”とお願いして寝ちゃう(笑)。
持田 それで、なんとかなってきた?
相川 これが不思議なことに、これまではなんとかなってきたんだよね。
持田 未来の七瀬ちゃんががんばったんだ。そうか、私も次から追い詰められたらそうしよう(笑)。
相川 いいけど、「相川七瀬がそう言ったから」というのはやめてね(笑)。
持田 自分のなかに課題があったり、なんとかしてその課題を乗り越えなきゃ、というときは言葉も浮かんでくるんだけど、自分が幸せだったり、満ち足りていると、なんにも言うことがなく、言葉も浮かんでこない。
相川 そうね。悔しいとき、苦しいとき、失恋したときは、なぜか言葉が浮かんできて。
持田 で、それがヒットしたりして――。
相川 考えてみれば、私たちの仕事って因果な職業だよね(苦笑)。
持田 本当、そう思います。
相川 いっくん(伊藤一朗)は、詞を書いたりしない?
持田 一朗さんは、曲を作るというクリエイティブな作業にはまるで興味がないらしく、とにかくギターを弾いていたいと。
相川 なんか、すごくいっくんらしいね(笑)。五十嵐さんとは?
持田 10周年、15周年のときにちょっと手伝っていただきましたけど、基本は私と一朗さんの2人です。
相川 そうか。そこが、私と織田さんとの関係とは違うんだ。
持田 織田さんと七瀬ちゃんは、師匠とお弟子さん?
相川 というより、いまはもう親子ですね。織田さんには娘さんが2人いるんだけど、私も含めて3人娘で、私がその長女(笑)。
持田 仲よしなんだ!?
相川 仲はいいよ。今年のツアーも一緒にまわったし、来年も一緒にまわる予定。
持田 えっ!? 織田さんが、七瀬ちゃんのライブでギターを弾くの?
相川 うん、そう。
持田 そうか。織田さんは七瀬ちゃんのことがかわいくて仕方ないんだね。
相川 どうなんでしょう!? そこは、織田さんに聞いてください(笑)。
――前後編、2回に分けてお届けした対談も、そろそろ終わりに近づいてきました。最後に、お2人がいまハマっていることについてお聞きしたいのですが……。
持田 なんだろう!? ハマっているということとは違いますけど、子育てが楽しいです。
相川 私はね、断捨離!
持田 わかる!
相川 香織も、断捨離にハマってる?
持田 というか、断捨離をしないともうどうにもこうにも。洋服も、こんなのいるのかな? という感じ(苦笑)。
相川 そう思ったものはいらないね。もう着ないと思う。で、ひとついらないと思ったら、全部いらないって思えてくるんだよね。
持田 そうなの、そんな感じ。だから、私は断捨離する前に一度ちゃんと着て、“これまでありがとう”という気持ちと、“ほったらかしにしていてごめんなさい”という気持ちで、“さよなら”をするんですけど……。
相川 それでも、後から後から出てくるよね!?
持田 そうなんですよね。それも、同じような服ばっかりがいっぱいあって。本当、ひどい(苦笑)。
相川 そう思ったら、思い切って断捨離だね。
持田 私もそう思って、洋服だけじゃなくて、残したくないと思ったものは全部捨てるようにしています。
相川 たとえば?
持田 昔書いてボツになった歌詞も捨てました。
相川 えー!? それも捨てたの?
持田 捨てました。ノートごと。
相川 もったいない。本にして売ったら、絶対に売れるのに(笑)。
持田 『fragile』のボツにした歌詞も、誰にも見られたくないから捨てました。
相川 うわーっ。それって、ファンの人にしてみたらお宝だよ!?
持田 そうですかね?
相川 そう思う。
持田 でも、シュレッダーにかけて捨てちゃいました。
相川 そういうところも、香織らしいね。で、ファンの人も、そういう香織を好きなんだろうね。
持田 だといいんですが(苦笑)。いや、そう思って30周年を幸せな気持ちで迎えます(笑)。
もちだかおり
1978年3月24日生まれ 東京都出身 Every Little Thingのボーカルを務め、2026年でデビュー30周年を迎える。現在はソロ活動を中心に、ジュエリーデザインやイラストなど多方面で表現の幅を広げている。2025年5月、ミニアルバム『qq』をリリースし、東京・日本橋三越劇場で6年ぶりの単独公演「持田香織 LIVE “qq“ #HIMM」を開催
あいかわななせ
1975年2月16日生まれ 大阪府出身 1995年『夢見る少女じゃいられない』でデビュー。その後もヒット曲を数多く世に送り出し、現在までのCDのトータル売り上げは1200万枚を超える。2020年に國學院大學神道文化学部を受験し合格。卒業後、同大の大学院に進む。2025年11月8日、ミニアルバム『FIREWORKS』をリリース
写真・福田ヨシツグ
スタイリスト・安野ともこ(持田)
ヘアメイク・yoboon(持田)、久保フユミ(相川)
衣装(持田)・ニットタートルネック、ニットベスト、スカート(すべてenrica〈エンリカ〉)、シューズ(NEBULONI E.〈ネブローニ〉)、ピアス、ネックレス、リング(すべてCASUCA et mo〈カスカエモ〉)
取材&文・工藤 晋
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