
堺正章
11月14日、『第76回NHK紅白歌合戦』の出場歌手が発表されました。堺正章さんが、ムッシュかまやつさん、井上堯之さんと結成したバンド『ソン・フィルトル』として、1999年に出場して以来、26年ぶりに紅白のステージに立ちます。堺さんは放送100年の特別企画で自身のヒット曲をメドレーで披露するそうです。
堺さんと言えば、番組司会者のイメージがあると思います。しかし、世の中に最初に知られるようになったきっかけは音楽。1962年に加入したバンド『ザ・スパイダース』で『夕陽が泣いている』『あの時君は若かった』などの曲がヒットしたことで、一躍スターダムに駆け上がったのです。
筆者は以前、堺さんにバンドの下積み時代のお話をお聞きしています。
「売れたのは僕が20歳だったので、4年間はずっとジャズ喫茶で演奏している下積み生活でした。『この先どうなるんだろ?』と。でも、『いつかこの生活を抜けてやろう』とは思ってたね」
当時、ソロ歌手では平尾昌晃さん、ミッキー・カーチスさん、坂本九さん、ジェリー藤尾さんといった、そうそうたる方たちが活躍していました。しかし、グループでは前例がなかったと言います。
「あきらめて『もうダメだ、1人でやろう』みたいなグループもあったね。だけど、我々はリーダーの田辺昭知さん以下7人のメンバー全員が『グループでやっていこう』と。結束は固まってたんで、『あとは売れるだけだ』って。そこが一番大変なのに(笑)」
下積み時代の『ザ・スパイダース』は、米軍基地でも演奏していました。
「僕たちが演奏していたら、黒人と白人のアメリカ兵が殴り合いの喧嘩になってMP(ミリタリーポリス)がその喧嘩を抑えようとしてる間に、マネージャーが『逃げろ!』っていたんですよ。
だから、僕たちは楽器を置いたまんま裏道からダァーと出たら、広場みたいなところで、サーチライトがサァーとたかれてて。メンバーの、かまやつひろしさんが『おまえ、まっすぐ逃げちゃだめだ、ジグザグに逃げろ! 撃たれるぞ!』って。撃たれるわけないんだよ(笑)」
そんな、今では考えられない経験をへて79歳になった堺さんが歌う60年前のヒット曲『夕陽が泣いている』『あの時君は若かった』をメドレーで聞けるかもしれません。今年の大みそかが今から楽しみです。
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