
白鳥玉季(写真・柏木ゆり)
小学生のときに出演したドラマ『凪のお暇』『テセウスの船』(ともにTBS系)などで、その美少女ぶりと演技力が注目を集め、2023年の大河ドラマ『どうする家康』(NHK)の茶々役では、中学生とは思えない貫禄を漂わせた、女優の白鳥玉季(15)。
深紅のドレスを纏って現われた彼女に思わず「すっかり大人の女性になりましたね」と声をかけると、
「はい、もう身長が伸びないみたいです……」
と残念そうに肩を落とし、まだまだ子供っぽいところもあるのだと、妙に安心する。
幼いころから “撮られる” ことが多かった白鳥が大切にしているものは、自分で “撮る” 一眼レフのカメラ。
「それまでスマホで撮っていたんですけど、もう少しちゃんとしたカメラが欲しくて、中学1年のクリスマスのとき親に……というか、家ではサンタさんからもらったことになっていて。
でも、もう高校生なのでさすがにサンタさんはどうかと思って、カッコつけちゃいました。ごめんなさい、サンタさんです!」
サンタクロースにお願いするに当たって、機種を指定。
「シャッター音がメーカーによって違うことに気がついて、音がいちばん好きなキヤノンをリクエストしました」
願いは届き、クリスマスの朝、彼女のもとにカメラがやって来た。撮るのはもっぱら風景。地方ロケに持って行くことも多く、気に入った写真はプリントして部屋に飾ることもあるという。
「カメラは相棒です」
と言う白鳥の最新作は、岩田剛典主演の映画『金髪』。
「私は校則に抗議するために、金髪デモを先導する中学生の板緑を演じました」
発端は、もともと髪が茶色っぽい生徒が校則違反だとして黒く染めるように指導されたことだった。これに反発した生徒たち数十名が金髪にして登校。マスコミに取り上げられ、一大騒動に発展していくーー。
「できれば自分の髪を金髪にして演じたかったんですけど、私の髪質だと金色というよりオレンジ色っぽくなってしまうとのことで、残念ながらウイッグでの撮影となってしまいました」
やはり、地毛を染めたほうが板緑になりきれると思ったから?
「それもありますが、本当の気持ちを言うと好奇心です(笑)。今回を逃したら、堂々と金髪にできるチャンスはもうないかもしれないので」
ウィッグとはいえ、金髪には人の気持ちを変えるパワーがあることを実感したという。
「鏡を見た瞬間に、自分じゃないみたい! と思ったし、役を演じるうえでも、衣装だけでは入らないスイッチがオンになった気がしました」
白鳥が演じる板緑たち中学生と、教育委員会やマスコミとの板挟みになってあたふたするのは、担任の市川。事なかれ主義でおじさん予備軍の中学校教師を、岩田が好演している。
「でも、私から見ると市川先生は、ごく普通の先生だと思います。私たち世代のコにとって先生は、仲間なのか敵なのかよくわからない存在。きっと本当の先生たちも、市川先生みたいにプライベートでは大変なことがあるんだろうなという気がします」
子供と大人の境目にいるからこその視点は、まさしく映画の中の板緑のようだが、白鳥にとって「演じる」とはどういうことなのだろうか。
「私でありながら、いろんな人の人生を歩めるのがいちばん好きなところです」
台本を受け取って最初にするのは、演じる役の好きなところを見つけること。
「好きなところが見つかったら仲よくなれるし、そのぶん、役と私が近くなれるんです。私にとって演じるということは、役のコ自身になることではなく、台本に書かれているそのコに息を吹き込んで、立体化させること……うーん、難しいですね」
大人びた表情で演技論を語ったかと思うと、あどけなさが残る笑顔を見せる。くるくると変わる表情は、15歳の今だからこそ放つことができる輝きだ。日々変化していく白鳥玉季から、一瞬も目が離せない。
しらとりたまき
2010年1月20日生まれ 東京都出身 2016年、6歳にしてNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』でドラマ初出演。同年『永い言い訳』で映画デビュー。おもな出演作は、映画『アウト&アウト』、ドラマ『極主夫道』など多数。現在ドラマ『ぼくたちん家』に出演
写真・柏木ゆり
取材&文・工藤菊香
ヘアメイク・山口恵理子
スタイリスト・伊里瑞稀
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