
浜崎あゆみ
高市早苗首相の「存立危機事態」発言をめぐり、日中関係が緊迫している。影響は日本の音楽シーンにも波及し、中国でのアーティストの公演中止が相次いでいるなか、奇妙な現象が生まれている。
「同じ中国でありながら、対応に地域ごとの判断が生まれているのです」(音楽ライター)
いったいどういうことなのか。
11月28日、人気アニメ『ONE PIECE』の主題歌で知られる歌手・大槻マキが上海のイベントで歌っている最中、強制的に歌唱を終了させられ、退場したできごとは、日中の分断を象徴する事件だった。
「同じく28日、浜崎あゆみさんは翌日に予定されていたコンサートツアー『ayumi hamasaki ASIA TOUR 2025 A I am ayu -ep.II-』上海公演の中止を発表しました。彼女は無観客のまま、予定されていた楽曲をパフォーマンスしたことも話題となりました」(同前)
ところが29日、広州では沖縄出身の歌手・BENIが「BENI Premium Live in Guangzhou」を予定どおり開催。満員の観客の前でパフォーマンスを成功させた。
これは、広州という場所に注目する必要があるという。
「広州は中国では『南方(ナンファン)』に位置する大都市で、北京から約2000km離れています。北京から上海までが約1000kmであることを考えると、その距離は歴然です。北京に本部がある中国共産党の統制力が、北京や上海といった直轄市よりも、広州を含む地方都市には及びにくいという構造があるのです」(音楽レーベル関係者)
その傾向はほかのアーティストにも見られる。ロックバイオリニスト・Ayasa(あやさ)は12月6日の成都公演と続く7日の上海公演の中止があわせて発表されたが、4日に予定されている広州公演は、現時点で中止の発表がない。
「サウンドディレクター・西原健一郎さんの中国ツアーでは、直轄市の上海に近い杭州公演が中止になりましたが、広東省の深センと広州の公演は予定どおり開催されました」(同前)
もちろん、一概には言えない例も存在する。
「ロックバンド『BACK-ON』は、12月4日の北京公演、6日の上海公演、7日の広州公演の3公演すべてを中止することを公式サイトで発表しました。『不可抗力の事情により』とコメントしていますが、つまり中枢都市と地方都市といった地域差、統制力の強弱だけでは説明できない要因も絡んでいます。バンドのメッセージ性が問われるなど、政治的リスクがより慎重に判断されるのかもしれません」(同前)
エンタメシーンでの説明のつかない差こそ、中国社会の複雑な構造を写す鏡となっているのかもしれない。
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