
『俺たちの旅』に出演していた中村雅俊
1975年に日本テレビ系列で放送され、今も青春ドラマの金字塔とされる『俺たちの旅』が、主演の中村雅俊らオリジナルキャストで新作映画『五十年目の俺たちの旅』として、2026年1月に公開される。
芸能記者が、同シリーズについて解説する。
「すでに、日テレ系の動画配信プラットフォーム『Hulu』で、テレビシリーズの配信が始まっています。
テレビ放送の終了後、『十年目の再会』『二十年目の選択』、さらに『三十年目の運命』までが後日譚として制作されていますが、メイン監督だった斎藤光世氏が亡くなったこともあり、“40年後” は制作されませんでした。
今回、放送開始50周年を記念して、中村さんの初監督作品として制作されました」
半世紀前のテレビドラマの続編をオリジナルキャストで制作するのは、20年を超える長寿シリーズがある海外ドラマでもあまり例がないという。オリジナルキャストが集まりにくいことが主な理由だが、本作品でも、やはり当時のキャストの完全集合とは至らなかった。
「まず、中村さんが演じた津村浩介に思いを寄せる同級生・山下洋子役だった金沢碧さんの出演は今回も叶いませんでした。『十年目の再会』は浩介と洋子の再会を中心にしたストーリーでした。今作では過去の映像からほんの一瞬、登場するようですから、許諾は取れているのでしょう。また、下宿仲間のワカメこと森田太造役の森川正太さんも2020年に亡くなりました」
それでも日本テレビが新作を、しかも劇場用の映画として制作したのはなぜなのか。
経済ジャーナリストの松崎隆司氏は、「Netflix」や「ディズニープラス」など動画配信プラットフォームが乱立するなかで、「民放キー局制作のドラマを中心に配信する」という独自路線を進む「Hulu」の起爆剤になってほしいからではないかと指摘する。
「『Hulu』はウォルト・ディズニー・カンパニー系列の動画配信プラットフォームとして国内進出しましたが、本国法人の資本の入れ替えやM&Aなどで、いまは日本版は日テレの子会社になっています。
最近、『Netflix』が11兆円の巨費をかけてワーナー・ブラザースの買収を決めたところ、パラマウントがより高値で買収を宣言するなど、コンテンツの囲い込みは重要です。
『Hulu』では日テレを中心とする民放ドラマが配信されていますが、話題作は世界配信される『Netflix』に持っていかれるケースが多いんです。
ただ、コロナ以降、50代、60代の契約者が大きな伸びを見せるなか、高齢層の契約者に向けたコンテンツとして、かつての名作ドラマは受け入れられやすいようです。
当時、ビデオ機器やレンタルシステムが普及していなかったこともあり、人気があっても連続ドラマのすべての放送回を観ている人は意外に少ないのです。仮に見ていても、もう一度見たいという需要は大きいですからね。
こうした “見直し視聴” は、大きな契約動機とされていますから、当面、そうした層に波及効果が高い作品に集中する戦略はありだと思います」
今回の日テレの思惑が当たったら、今後、名作ドラマの後日譚的な続編が続々と製作されることになるかもしれない。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







