
『ザ・ロイヤルファミリー』で主演を務めた妻夫木聡
日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)が、12月14日に最終回を迎えた。
実業家で「馬だけが生きがい」という馬主の山王耕造(佐藤浩一)と、息子の中条耕一(目黒蓮)、秘書の栗須栄治(妻夫木聡)が、調教師、騎手らとともに「有馬記念制覇」を夢見て、絆を深めていく物語は、日本中央競馬会(JRA)の全面協力があり、現役の騎手が本人役で出演。ロケも競馬場でおこなわれ、「家族」と「競走馬」がクロスオーバーしながら、『継承』というテーマが壮大に描かれた。
最終話の放送直後から、Xには
《ロイヤルファミリーロス確定 タイトルの通り、人との繋がりが素敵なドラマ》
《ロイヤルファミリー終わってしまった》
など感傷に浸るポストが殺到。なかには
《ファンファーレ聴いただけでちょっと泣きそうになってる》
と主題歌で涙腺が緩んでいるという投稿もあった。
ドラマウォッチャーでコラムニストの桧山珠美さんも「競馬ファンではない多くの方が、このドラマで馬主を『ばぬし』ではなく『うまぬし』と読むことを知ったのではないでしょうか」と、競馬に縁がなかった視聴者を惹きつけたことに成功の理由があったとみる。
「勝った負けたのギャンブルドラマにするのではなく、競馬の奥深さ、馬に人生をかける人たちのストーリーがよかったのだと思います。
何十年もかけても報われるかどうかわからない夢というのは、いまの時代、コスパが悪いということで避けられがち。夢でつながり、夢をかなえるためにひとつになる物語は、もはやファンタジーかもしれませんが、その一方で、それをどこかうらやましく思う人も多かったのではないでしょうか」
また、メインキャストのひとりである目黒蓮の初登場は第4話だったが、そのタイミングもよかったのではないかと指摘する。
「目黒蓮が、途中までなかなか出てこなかった“出る出る詐欺”のようなじらし作戦も、功を奏したと思っています。それはさておき、登場人物でいえば、競馬ファンには武豊など、本物の騎手がでてきたこともポイントになり、競馬シーンの迫力がとにかくすばらしかったですね」
今期ナンバーワンの声もある同作だが、TBSはほかにも『じゃあ、あんたが作ってみろよ』『フェイクマミー』など話題作が放送されていた。なぜTBSは、次々と話題のドラマが生み出せるのか。
「TBSのドラマが他局と違うのは、ブランディングがしっかりできているところです。
火曜ドラマは女性の味方で、社会現象にもなった『逃げるは恥だが役に立つ』も『じゃあ、あんたが作ってみろよ』も、“女性の生きづらさ”を物語の軸において、多くの共感を集めました。女性たちがなにを考えているのかわからないという男性にとっては、まさに必見のドラマ、いや、“教科書”といえるでしょう。
これに対して日曜劇場は、男性視聴者向けに作られています。『半沢直樹』や『下町ロケット』などは明確に男性視聴者を主軸に据え、組織、競争、責任、勝敗といった“男社会の論理”を骨太に描きました。
ジェンダーフリーが叫ばれるいまは、老若男女問わず見られるドラマを……となりがちですが、きちんと視聴者像を想定してドラマを作っているところが、TBSが支持されている理由ではないでしょうか」(桧山さん)
2026年には、いよいよ日曜劇場で『VIVANT』の続編が放送される。
桧山さんは「『VIVANT』は当初、ほとんど前宣伝をおこなわず、視聴者はどんなドラマなのかわからないまま初回を迎え、想像をはるかに超えるスケールと情報量に、多くの人が驚愕しました。『テレビドラマがまだここまでできるのか』と、純粋な高揚を呼び起こしました。さらに物語の全貌や着地点がまるで見えず、視聴者による“考察”がはやる時代にもマッチしたのだと思います」と振り返る。
「前回の『VIVAN』を経験した視聴者は、続編にはそれ以上のものを求めるでしょう。映画でも『続編は前作を超えられない』という例が多いように、期待が膨らめば膨らむほど、かりに完成度が高くても、もの足りなさが出やすいものです。そんなプレッシャーを跳ね返すような、大胆な作品になることを期待したいですね」(同前)
『VIVANT』の続編も楽しみだが、他局も負けてはいられない気持ちだろう。
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