
10月ドラマの撮影をする草彅剛
最終回を観終えての感想は「思ってたのと違う!」。この一言に尽きるドラマだった。12月22日(月)に最終話(第11話)が放送されて完結した草彅剛主演の『終幕のロンド ーもう二度と、会えないあなたにー』(フジテレビ系)のことだ。
■【ネタバレあり】最終話、遺品整理をするシーンは?
公式サイトのイントロダクションの冒頭には次の文言が並んでいた。
《妻を亡くし、シングルファーザーとして生きる遺品整理人・鳥飼樹(草彅剛)。彼は遺品に刻まれた“最期の声”に耳を傾け、残された者へのメッセージを解き明かす。》
こう記されていたので、主人公が遺品整理の仕事を通じて、故人の想いを汲み取って遺族に伝えいくというハートフルな “お仕事もの”……かと思っていたが、全然違った。
たしかに物語前半は、毎回遺品整理の仕事が舞い込み、それぞれの依頼人と故人の気持ちの橋渡しをするようなエピソードが描かれるお仕事ものドラマだった。
しかし、物語後半は、大企業グループ次期社長の妻・御厨真琴(中村ゆり)と樹の不倫愛と、その大企業が社員の過労自殺を隠蔽し続けてきたことを明るみにするための訴訟問題、この2つを軸にストーリーが進んでいった。
前述のイントロの後半には樹と真琴が恋仲になる展開が示されていたが、ここまで不倫が作品の核になるとは思わなかったし、イントロに記されていなかった大企業への集団訴訟の話が、最終話のメインになるとは思いもしなかった。
不倫エピソードと訴訟エピソードの割を食う形で、遺品整理の仕事のシーンが全然描かれなくなるなんて予想外。ストーリーがどんどん違う方向に進んでいったのは、悪い意味で斜め上の展開だった。
実際、最終話では樹が遺品整理をするシーンはいっさいなし。ラスト3分半のエピローグで樹が遺品整理人に復帰していたことは語られたが、遺品整理の現場で働く姿は1秒も描かれず。
本作の副題は『もう二度と、会えないあなたに』なわけだが、この副題と最終話のストーリーもほとんどリンクしていない。これでは “タイトル詐欺” である。
樹が大企業グループ次期社長と対峙した際、「触るな。この10年間、死者の尊厳を踏みにじってきた、あなたがたの、その汚い手で、神聖な遺品整理人の仕事に触らないでください!」と熱弁するシーンがあったのがせめてもの救いか。
いずれにしても、切なくもほっこりする遺品整理の仕事を描くドラマかと思っていたら、不倫に裁判にとヘビーなドロドロネタが中心になっていったことに、「思ってたのと違う!」とガッカリしたのは筆者だけではなかったはずだ。
■草彅剛・中村ゆりカップルがあまりにも不用意すぎて
余談だが、最終話には、樹と真琴はどれだけ頭のなかが “お花畑” なんだとツッコミを入れたくなるシーンも。
樹は大企業に対して集団訴訟を起こしている原告側の人間で、対外的に見ると真琴は被告側の人間のため、マスコミが2人の関係を嗅ぎつけて、スキャンダルとして大々的に報じていた。
東京の自宅前に数多くの報道陣が詰めかける日々が続いていたので、真琴はかつて母と父が住んでいた伊豆(静岡)の家にしばらく身を隠すことに。
そこまではいいのだが、なんと真琴は樹と彼の子も一緒に伊豆の家に来ないかと誘ったのだ。不倫スキャンダルでマスコミに追われているのに、東京からそう遠く離れていない静岡にその相手を呼ぶなんて “お花畑” 思考すぎる。
しかも、真琴の母はかつて既婚男性(父)と駆け落ちしてその伊豆の家に住んでおり、未婚の母として真琴を産んだという過去があった。“両親の愛の巣” と言えば聞こえはいいが、要するに “不倫カップルの隠れ家” だったわけで、そこで今度は娘の自分も不倫愛を育もうというのだから、いやはや。
真琴からの誘いを受けた樹はさすがにお断り……したものの、けっきょく樹は子どもを連れて彼女の待つ伊豆の家に。主人公も頭が“お花畑”だったのだ。
さらに言うなら、人目を避けて家に引きこもるのかと思いきや、3人で呑気に海辺にお散歩に行く始末。もしマスコミがこの家も嗅ぎつけていて、3人が楽しそうに海で水遊びしているところを写真にでも撮られたら、一巻の終わりではないか。
真琴も樹もあまりに不用意すぎて、その “お花畑” 脳にドン引き。とにもかくにも「思ってたのと違う!」が脳裏によぎり続けた最終話だった。
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