
ロケから帰宅する松嶋菜々子(写真・吉田 豊)
9年ぶりの連続ドラマ主演とは思えない圧倒的存在感で、早くもシリーズ化に向けて視界良好か。松嶋菜々子がテレビ朝日系の連ドラに初主演した『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』。1月8日(木)に第1話が放送された。
脱税者を取り締まる東京国税局「資料調査課」の敏腕調査官だった主人公・米田正子(松嶋)。そんな彼女が、資料調査課が扱わない脱税事案を調査・解決するため、「複雑国税事案処理室」(通称「ザッコク」)を創設。個性派ぞろいのメンバーで新設されたチームで、脱税者たちをこらしめていくという社会派・痛快エンタメドラマだ。
■勧善懲悪で痛快な展開は時代劇をほうふつ
『おコメの女』は、たとえるなら “現代の時代劇”。
公式サイトには「悪徳脱税者を成敗!!」や「悪徳脱税者を一刀両断!」といった威勢のいいフレーズが飛び交っており、第1話を観るかぎり、主人公側が正義で敵方が悪という、わかりやすい勧善懲悪のストーリーになっている。
実際、第1話のアンミカ演じる敵キャラを追いつめていくシーンはスカッとし、『遠山の金さん』や『暴れん坊将軍』といった傑作時代劇をほうふつとさせた。
主人公の正子は、わかりやすくキャラ立ちしていていい感じ。
仕事中のオン状態のときは、クールな雰囲気でブツブツと独り言をつぶやくといった天才系エリートキャラ。だが、仕事後のオフ状態には、居酒屋で大好きな日本酒を飲みながら「ぬぁ~~! はぁあ、おいしい!!」と奇妙な歓喜の声をあげ、笑顔で髪をわしゃわしゃと搔き乱すという奇行も。
アラフィフの松嶋がとてもキュートに演じており、主人公のオン・オフのギャップが際立っている。
また、「ザッコク」のメンバーを演じるのは佐野勇斗、長濱ねるという若手の演技巧者に、高橋克実、大地真央という熟練の大物を揃えており、盤石の布陣。
それぞれ飛び抜けたスキルを持ちながらも性格にクセのあるキャラクターになっているので、チームとしてのおもしろみも十分。第1話ではまだ不満を持つ者が多く、チームとしてのまとまりはあまりないのだが、それゆえに今後、結束力が高まってチーム感が醸成されていくのが楽しみだ。
■『ドクターX』や『緊急取調室』に続けるか?
誤解をおそれずに評するなら『おコメの女』は斬新なドラマではない。国税局の調査官を描くという題材は珍しいものの、基本となるストーリー展開や登場人物たちのキャラクター造形にさほど目新しさはないからだ。
しかし、それらの要素は “王道” や “定番” と評することもできるので、安定感があって安心して楽しめるエンタメ作品とも言える。
テレ朝の木曜21時は、『ドクターX』シリーズや『緊急取調室』シリーズというヒット作を出してきたドラマ枠だが、どちらも劇場版をもって完結している。そのため、テレ朝的には『おコメの女』を新たな看板シリーズに育てたいという思惑がありそう。
松嶋としても、50代になり9年ぶりの主演作ということで、『ひまわり』(1996年/NHK)、『やまとなでしこ』(2000年/フジテレビ系)、『家政婦のミタ』(2011年/日本テレビ系)に次ぐ、新たな代表作にしたいという気持ちで臨んでいるはずだ。
昨年放送された朝ドラ『あんぱん』(NHK)で、松嶋は今田美桜を演じるヒロインとたびたび対立する嫌われ義母役を好演し、改めて評価を高めた。それだけでなく、近年の松嶋は主人公を引き立てる役回りが多かったように感じる。
2021年の『SUPER RICH』(フジテレビ系)では、江口のりこ演じる主人公の先輩ながら、最終的にラスボスポジションとなる美魔女を演じ、ドラマのクライマックスを盛り上げていた。
2022年の『となりのチカラ』(テレビ朝日系)では、嵐・松本潤演じる主人公の隣に住む電波系おばさんを怪演。トリッキーな言動が多いキャラで、その役柄に合わせて全身まっ黄色やまっ青なファッションで、おばさんパーマに老けメイクを施すなどビジュアルも振り切っていた。
このように、主人公を引き立ててドラマを盛り上げる役を演じることが多かった松嶋が、満を持して主演に返り咲いたのが『おコメの女』というわけだ。
平成時代のドラマの女王が令和でも女王となるか。期待の第2話は今夜放送である。
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