
タイで暮らすTKO・木下隆行
「ええ店でしょ? 毎晩たくさんの日本人が来てくれるんですよ」
タイ・バンコクの繁華街。リゾート感溢れるおしゃれなソファーに腰を下ろし笑顔で語るのは、お笑い芸人のTKO木下隆行だ。
木下といえば、後輩芸人にペットボトルを投げつけるなど、度重なる炎上を経て、2020年に松竹芸能を退所。そして2025年9月に突如、拠点をタイへ移住した。
「しかし移住直後に、寺院前で僧侶の袈裟を着たコスプレ動画をSNSに投稿。現地の宗教観や文化への配慮を欠くとの声が上がり、タイでも炎上しました。タイ在住の日本人からは“日本へ帰れ”と言われるなど大変な騒ぎでしたよ」(芸能記者)
あの騒動から3カ月ーー。はたして木下は無事にタイで生活を送れているのか。現地で近況を尋ねた。
「あの事件は、本当に反省しています。25歳になる娘にも『アホや、またやってるやん』と叱られました。でも、おかげ様でなんとか暮らしていますよ」
木下をインタビューした場所は、繁華街の中でも一等地に位置するカフェ&バー「ON AIR(オンエア)」。なんと木下がオーナーを務めるお店なのだという。
「居抜きで元々バーだったお店を買っているんですけど、建物自体は賃貸で借りてます。家賃は5万バーツで、日本円にすると25万円ぐらいですかね。相場と比べてもかなり安いと思いますよ。店がある地域は『ヤングプレイス』というエリアで、キャバクラやラウンジ、カラオケ、スナックが並ぶ歓楽街。日本語をしゃべれるタイ人のきれいな女の子がおる、日本人の駐在さん向けのお店が多いエリアですね。従業員は元のお店のコがそのまま働いてくれています」
テラス席やカウンター、ソファ席のほか、カラオケやDJブースも備えた店で、30名以上を収容できるスペースがある。
「営業時間中は、なるべくお店にいるようにしています。今はありがたいことに『木下バブル』なんですよ。ガラス張りやから『あ、木下おるわ。ちょっと炎上の話でも聞きに行こうか』みたいな感じで、ふらっと入ってくれます。ただ、このバブルもそのうち終わるし、飽きられる。酒の味はどこで飲んでも一緒ですからね。今年はちゃんとハートで向き合い、今いるお客さんにリピートしてもらえるように頑張りたいですね」
店をオープンした原資は、これまでの芸能生活で貯めた貯金だという。木下といえば、2019年に東京・世田谷区に新築の3LDKの一軒家を購入し、当時は土地と建物を合わせて1億5000万円を下らないと報じられたが、これも売却したという。
「日本の家は、売っちゃいました。もう戻らないぞという覚悟でね。もちろんそれなりの金額になりましたが、それを生活費として切り崩していくのは嫌。すべて投資に回し、生活費は基本的にこのお店の売り上げでまかなっています」
僧侶コスプレで炎上した直後は赤字だったというが、少しずつ上向いてきた。
「騒動が落ち着いた年末あたりから、徐々にお客さんが来てくれるようになり、総合的な売上はお陰様でプラスになってます。家賃を支払って、もろもろの雑費を引いても、サラリーマンの方と同じぐらい、生活できるぐらいの金額をいただけているという感じですね。ただ、別にめちゃくちゃ儲かってるってわけではないですし、2店舗、3店舗と増やしたいわけでもないんです。生活の安定のために続けているという感じです」
タイでは刺激に満ちた日々を送っているようだ。
「たまに帰国して、またこっちに戻ると、もう脳がバグるような感覚なんですよ。例えばタイってノーヘル、逆走、無免許は当たり前。日本と比べて自由過ぎますよね。でも、もしノーヘルで僕がバイク乗り、SNS通じて日本のみなさんに見つかったら大炎上でしょう(笑)。そこはきちっと、あくまで日本の厳しい倫理観の中でやっていきますよ。散々炎上しましたけど、やっぱり嫌ですよ。家族を悲しませたくないからね」
木下が松竹に入ったのは18歳。それ以来、芸能生活は30年以上に及ぶ。そもそも、なぜベテラン芸人が異国の地にやってきたのか。
「『これ以上、外の世界のことを知らんで終わってええのかな』っていう不安がずっとあったんですよ。もっとおもろいことあるんじゃないかなって。今まで“芸能界”という枠の中で生きてきましたけど、想定外のところに行きたかったんです」
コント師として『キングオブコント』(TBS系)には、過去4度の決勝進出経験を持つTKO。フリーになったのを機に再びコントに向き合い、2024年は全国ツアーを敢行したうえで再挑戦するも、初戦で敗退した。
「敗退は大きかったですね。俺の中で、一つ区切りがついたというか、完全燃焼できました。もう残された人生そんな長くないし、そこで好きなことはしたいという思いを木本(相方・木本武宏)に告げたし、木本もそれは理解してくれました。そりゃ、本音を言えば日本の芸能界で第一線でずっとやれてたら、タイに行くということはなかったかもわかりません。
でも、誰もが“ダウンタウンになる”ことはできないんですよ。せやから、ブルーオーシャンというか、誰もいないところに行ってみようと。今の経験はいつか日本でも生かせると思っています。真面目になって、おもろいこと考えへんようになるために来たわけちゃいます。あくまで軸は芸人なんです。こっちで、もっとおもろい自分になれるようしているんです。せやから、『木本、待っとけよ』って感じですわ。3月からは語学学校に通う予定なので、そこでタイ語をマスターしたいと思ってます」
ではどんな仕事があれば日本に帰ってくるのか。
「テレビでもなんでも、お仕事いただけたら、文字通り飛んで行きますので、オファー待ってますよ(笑)。出てみたい番組ですか? やっぱり尊敬するダウンタウンさんの『DOWNTOWN+』に出たいねん。叶うかなぁ……」
54歳にして、懲りずに第二のお笑い人生を歩み始めたようだ。
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