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杉咲花『冬のなんかさ、春のなんかね』男と平気でホテルにいく主人公に拒絶反応続々…納得の低視聴率でも価値あるわけ

芸能 記事投稿日:2026.01.28 11:00 最終更新日:2026.01.28 11:28

杉咲花『冬のなんかさ、春のなんかね』男と平気でホテルにいく主人公に拒絶反応続々…納得の低視聴率でも価値あるわけ

早朝のロケに臨む杉咲花(左)と成田凌

 

 よくも悪くも「これを地上波でやるのか」という驚きに満ちたドラマではある。1月21日(水)に第2話が放送された杉咲花主演の恋愛ドラマ『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ系)のことだ。

 

 主人公は小説家 兼 古着屋アルバイト店員の土田文菜(杉崎)。文菜は過去のさまざまな恋愛の影響で、“きちんと人を好きになること” を避けてしまっているキャラクター。そんな彼女が恋愛についてあれこれ考えたり、周囲の人々と語り合ったりするストーリーになっている。

 

 視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は、第1話が世帯3.8%、個人1.9%。第2話が世帯3.3%、個人1.7%。

 

 いまのご時世、もう視聴率に一喜一憂すべきでないというのは前提だし、そもそも視聴率をがっつり狙いにいく作品でないのは観れば明らか。また、TVerのお気に入り登録は48.8万(1月25日現在)とまずまずの数は取っている。

 

 とはいえ、さすがに初回から世帯3%台という低調スタートで、2回目でさらに下げているのは “不発” と言わざるを得ないだろう。

 

■異色の理由は単館系映画っぽい撮影・編集

 

『冬のなんかさ、春のなんかね』は地上波連続ドラマとして考えると、かなり異色。しかし、独創的というわけではなく、既視感はめっちゃある。一言で言うと単館系映画っぽい作り方をしているのだ。

 

 たとえばカメラを固定して長回しするという撮影手法を多用し、BGMを極力使わないという編集をしている。そして、その映像のなかで役者たちは誇張せずに自然体の演技をしており、会話のリアリティを追求している感じ。

 

 また、これも単館系映画っぽいのだが、劇中で事件といった事件は起こらず、淡々と物語が進んでいく。進んでいくというか、たいして物語は進まない。

 

 第1話は文菜がコインランドリーで美容師・佐伯ゆきお(成田凌)と出会い意気投合し、翌朝に交際開始するところから始まるが、それから急に1年後になる。唐突に時間がジャンプしたことには驚いたが、かといってなにか大きな出来事があったわけではなく、文菜とゆきおは穏やかに交際1年を迎えていた。

 

 第2話では、文菜の行きつけの喫茶店の店員が彼女にフラれた話や、文菜にずっと片想いしていながら別の恋人がいた早瀬小太郎(岡山天音)も彼女にフラれた話などが描かれたが、やはり大きな出来事は起こらず、おもに会話劇で進行していた。

 

 いずれにしても地上波ではなかなかお目にかかれない空気感を醸し出したドラマであることは間違いない。

 

■たった2話で彼氏以外の男2人とホテルへ

 

 そういった特徴が賛否両論を巻き起こす原因の1つとなっている。話がなかなか進まないし、大きな事件も起きないことを退屈に感じる視聴者はいるだろう。そもそも、この単館系映画っぽい雰囲気が好みではないという視聴者もいれば、単館系映画は好きでも2時間程度で完結するからいいのであって、そのノリを1クールの連ドラで毎週観せられるのはしんどいと感じる視聴者もいそうだ。

 

 次に原因として考えられるのは主人公のキャラクター。語弊があるかもしれないが、簡単にいうと文菜は “サブカルビッチ”。

 

 まず第1話では、美容師・佐伯ゆきおと出会ってすぐに、自分から彼の家についていってお泊りする。1年後となった第1話後半では、ゆきおという彼氏がいながら、小説家の先輩とホテルにいるのだ。

 

 第2話後半でも、彼女にフラれたばかりでうじうじとめんどくさいことばかり言っていた早瀬を、なかば強引にホテルに連れ込んでいた。

 

 この3シーンともけっきょく体の関係は持っていないのだが、それは男性側が自制していたからしなかっただけで、性欲にまかせて抱こうとしたら、文菜はたぶんそのまま受け入れている。実際、文菜は男性と体の関係を持つことにさほど抵抗がないことも語っていたので、性に奔放なタイプなのだろう。

 

 そのため主人公に感情移入できないと感じたり、なんだったら嫌悪感を抱いたりしたら、このドラマにハマれないのは言わずもがなである。

 

 また、ちょっと細かい要素なのだが、登場人物たちが総じてオシャレな肩書きなのも引っかかる。そんな彼・彼女たちが哲学的に恋愛トークをしているので、なんだかそれが “センスの押し売り” のように感じられて鼻についた視聴者もいたのではないか。

 

 主人公の文菜は小説家 兼 古着屋店員。恋人のゆきおは自分でヘアサロンを経営している美容師。ゆきおとは面識がなかった早瀬もなぜか美容師。

 

 文菜の大学時代からの女友達は同じ古着屋で店員をし、恋愛相談を受けたのはレトロ喫茶のイケメン店員。文菜とアカデミックに恋愛考察していたのは出版社の担当編集者で、文菜の浮気相手は先輩小説家。

 

 東京近郊にお住いの方々ならイメージがつくと思うが、登場人物が全員、下北沢とか三軒茶屋とか三宿といった世田谷区界隈に出没しそうなハイセンス人間ばかりで、それに辟易としてしまう人もいるに違いない。

 

 こういった数々が原因となり、拒絶反応を示しているドラマファンが続出しているのかもしれない。

 

■それでもこの作品の存在意義は大きい理由

 

 拒絶反応がある人も少なくなく、現時点では “不発” となっている『冬のなんかさ、春のなんかね』だが、このドラマの存在意義はとても大きい。

 

 筆者も正直、このドラマをすごくおもしろいとは感じておらず、ハマッているわけではないのだが、そのチャレンジングな作風を応援したいと思っている。

 

 近年は似たり寄ったりの作品ばかりなので、停滞気味の国内ドラマ市場が再び人気を取り戻すためには、“地上波ドラマ” の枠にハマらない突出した個性のある作品が必要だからだ。もちろんおもしろくて大ヒットするのが一番だが、仮におもしろくなくても、ヒットしなくても、『冬のなんかさ、春のなんかね』のような異色なドラマを放送する意義は必ずある。

 

 なかでも恋愛ドラマというジャンルに絞って考えると、このドラマの存在価値はとても大きいと思う。というのも、ほかの恋愛ドラマ、特にラブコメディにおける “キャラクターのテンプレ化問題” は、由々しき事態だからである。

 

 キャラの職業やキャラ同士の関係性はそのドラマごとに特徴があって差別化が図られているのだが、とおり一遍のキャラ造形しかない作品の多いこと多いこと。たとえば、恋愛をこじらせているピュアで奥手なヒロインやら、一見するとクールで愛想はないが実はやさしいイケメンやら、そんなのばっかり。

 

 職業や関係性といった表面的な要素が違うだけ。つまり包装紙だけ変えて中身は同じ味のものばかり食べさせられているような感覚で、恋愛ドラマ自体に食傷気味だった視聴者も多いはず。

 

 そう考えると『冬のなんかさ、春のなんかね』の主人公・文菜のキャラクター造形は素晴らしすぎる。

 

 文菜の貞操観念の低さはもう本当に生々しくて、ともすれば痛々しい。それゆえに嫌悪感を抱く層がいるのもわかるが、観る者の心を不安定にさせる強烈なインパクトがあるのは間違いない。普通の恋愛ドラマが見て見ぬふりしてきた “恋愛の醜い本質” を描き、一石を投じる作品になっているのである。

 

 今夜放送の第3話では、文菜が地元・富山に帰郷し、高校時代の友人たちとプチ同窓会するというエピソードが描かれるとのこと。これからもどんな生々しい恋愛の問題提起をしてくれるのか、期待している。

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出典元: SmartFLASH

著者: 堺屋大地

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