
映画『国宝』で主演を務める吉沢亮
22年ぶりに邦画の実写1位の記録を塗り替えた映画『国宝』。2003年公開の織田裕二主演『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』が長年守り続けてきた興行収入173.5億円という金字塔を打ち破り、新たな記録を打ち立てた。
任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公・喜久雄の50年を吉沢亮が演じた同作は、2025年6月の公開直後から高い評価を得た。「第49回日本アカデミー賞」でも13部門17賞を受賞する異例の実績を見せている。
公開から7カ月が経過してもなお全国で上映が続き、ロサンゼルスやニューヨーク、フランスでも公開。興行収入は195.5億円に到達し、実写邦画として前代未聞の「200億円」突破も見えてきた。名実ともに2025年の “映画の顔” となった一本だ。
ところが、その『国宝』が、ある映画批評誌で真逆の評価を受けている。
「脚本家・荒井晴彦氏が編集長を務める季刊誌『映画芸術』です。日本映画界の最前線で活躍する監督、プロデューサー、脚本家などのインタビューや対談、話題作についての批評・論考を掲載する映画誌ですね。
毎年注目される目玉企画は、話題作を年に1度発表する『日本映画ベストテン&ワーストテン』です。1964年から61年間続く定番企画です。
ほかの映画誌と違い、“ワースト” も発表されるのが特徴です。2025年のワースト1位は、『第48回日本アカデミー賞』で横浜流星さんが最優秀主演男優賞を受賞した藤井道人監督による『正体』でした。
そして、2026年のワースト1位が『国宝』です。ベスト1位に輝いたのは、編集長の荒井氏がメガホンを握った『星と月は天の穴』でした」(映画誌ライター)
世間の盛り上がりとは裏腹に不名誉なベストを獲得した『国宝』だが、意外にもX上では共感の声もあがっている。
《歌舞伎シーンに力と尺を入れた分薄くなりそうな日常回にとりあえずショッキングな出来事をぶち込んでおこう的な雑さは感じた》
《映画芸術の2025年ワーストワンに『国宝』が選出!さすが映芸である》
《世間では『国宝』がワーストワンなことに驚いているようですが、俺のように「映芸慣れ」している人間にとっては「いつも通りだね!」程度です》
読者は “ワースト” への驚きが少ないようだ。背景にある “2つの理由” を前出の映画誌ライターが解説する。
「ひとつは作品そのものです。歌舞伎の所作や舞台再現は圧倒的ですが、主人公・喜久雄の内面や、彼を取り巻く社会構造への掘り下げが浅いと感じる批評家は公開直後からいました。また、任侠と歌舞伎という閉じた世界を描きながら、差別や権力、男色といったテーマに本格的に踏み込まなかった点は、弱点として指摘されています」
もうひとつは、『映画芸術』の特徴だ。
「同誌はヒット作や話題作であるほど厳しく見る傾向があります。大衆的評価と批評的評価が乖離するのは珍しいことではありませんが、“映芸” の場合、そのズレがより極端に出る。読者の間では『今回も想定内』という受け止めが多かったようです」
賛否があっても『国宝』が日本映画史に刻まれる功績を残した事実は変わらない。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







