
藤あや子、芦田愛菜、鈴木福、坂本冬美
災害が起こるたびに、人はあまりにも無力でちっぽけな存在であることを思い知らされ、心が折れそうになります。
でも同時に、愛おしいほどに優しく、強く、逞しい存在であるということに気づかされます。
2011年3月11日ーー。
東北地方を襲った未曾有の大地震で被害に遭われた皆さんに、わたしたち歌手は何ができるのか。一人ひとりが、あらためて考えさせられる『紅白』になりました。
秋田出身のあやちゃん(藤あや子)が、『あや子のお国自慢だよ』を特別バージョンで熱唱したように、スペシャルバージョンで臨んだ方たち。あえて、 “いつもと同じく” を通された方たち。表現の仕方は違っても思いは同じ、「がんばろう東北」です。
宮城県石巻市の門脇小学校の校庭から中継で出演された長渕剛さん。岩手県出身の千昌夫先輩は『北国の春』を、福島県出身の西田敏行さんは『あの街に生まれて』を歌唱。AKB48さんは、姉妹グループを含め、総勢210人でのパフォーマンスでした。
『第60回紅白』の72人。『第61回紅白』の130人も驚きましたが、この年の210人には度肝を抜かれました(笑)。
通路ですれ違う際、先頭の女のコが「お疲れ様でした」と、ぴょこんと頭を下げてくれるのですが、わたしが「お疲れ様でした」の「でした」を口にする前に、次の女のコが「お疲れ様でした」と頭を下げ、さらに次、さらに次へと、さざ波のように伝播する「お疲れ様でした」の嵐に息をつく間もありません。
途中でふっと顔を上げ、最後尾にいる女のコを確かめようと思っても、どこが最後なのかわからないくらい列が長く続いているんですから、モゴモゴモゴです(笑)。
この年の『紅白歌合戦』のテーマは「あしたを歌おう。」。被災された方に、ほんのわずかな時間でもいいから歌を楽しんでいただきたいーー。
それは出演者全員の願いでしたが、そう思っていたのは出演者だけではありませんでした。
いつ、誰が、どういう交渉をされたのかは存じませんが、ガガ様(レディー・ガガ)が、『紅白』に登場。ニューヨークから、パフォーマンスとメッセージを届けてくださったのです。
ガガ様は日本のカルチャーが大好きで、震災直後、真っ先にアクションを起こしてくださり、自らデザインしたリストバンドの収益から150万ドルを義援金として寄付してくださった世界の歌姫です。
それだけではありません。6月には千葉・幕張メッセで開催されたチャリティ音楽イベントに出演。その会見の席で、「日本の為に祈りを」と書かれたティーカップに口紅の跡をつけ、それをオークションに出品。落札された全額を寄付するなど、日本のことを大事にし、愛していてくださっている方です。
とはいえです。日本人ならほぼすべての人が知っている『紅白』ですが、ガガ様からすれば、「What’s?」のはずです。
言葉は悪いのですが、直截に言ってしまうと、そのガガ様をどうやって口説き落としたのか!?
一から説明してOKをいただくまでに、どれだけの時間と熱量を要したのか。並大抵のことではありません。
はっきり言います。これはもう、NHKにしかできない “ウルトラE” です。
さすがNHK。いいぞNHK。これからも驚かせてほしいぞNHKです(笑)。
さかもとふゆみ
1967 年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、最新シングル『浪花魂』が好評発売中!
写真・中村 功
取材&文・工藤 晋
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