
2025年7月13日、還暦を迎えた誕生日に、ファンクラブイベントでステージを披露した
「誠に恐れ入りますが、現時点でご回答できる情報を保有しておりません」
電撃発表は、3月7日の0時。ワーナーミュージック・ジャパンの担当者が、本誌の問い合わせにこう回答したその夜のことだった――。
2026年に入り、歌手の中森明菜(60)が、活発な動きを見せている。1月14日には、ファンクラブ限定ライブイベントを収録した映像作品『ALDEA Bar at Tokyo 2025』をリリース。2月13日には、約20年ぶりとなるライブツアー(東京・大阪・名古屋)の開催を発表した。そしてここ最近は、業界内でこのような噂が駆け巡っていたのだ。
「近々、中森さんのアルバムが発表されるといわれていたんです」(音楽関係者)
本誌が事前に得ていた情報どおり、発売日は中森のデビュー記念日である5月1日。タイトルは『AKINA NOTE』となる。
約9年ぶりとなるフルアルバムは、2024年より中森がおこなっている自らの楽曲のセルフカバーに、新録5曲を加えたものになるという。
そして、じつは新曲の制作も進められているという。あるベテランプロデューサーが証言する。
「2025年、知り合いの作曲家に『明菜の新作のために曲を書いてくれないか』という依頼があったのです。複数の作曲家から『明菜さんに曲を書いている』『発注を受けた』という話を聞いていますよ。これまでも何度も“どんでん返し”があり、納得できずにプロジェクトをストップさせてきた彼女ですから、どうなるかわかりませんけどね」
今回のアルバムの発売で、関係者がなにより驚いたのは、その発売元がワーナーミュージック・ジャパンだったことだ。
1980年代後半、中森はアイドルの枠に収まらない存在だった。楽曲の選定だけではなく、衣装やステージ演出、音の質感にまで徹底してこだわるアーティストでもあった。だが、その姿勢はヒットを最優先に考えるレコード会社との間に軋轢を生んだ。それが決定的になったのが1993年。中森は、ワーナーミュージック・ジャパンからMCAビクター(当時)への移籍を決断したのだ。
「その後、明菜の楽曲の版権を持っていたワーナーは、本人の許諾を得ないまま、再編集したベストアルバムを次々とリリースしました。また、明菜がビクターでアルバム『UNBALANCE+BALANCE』(1993年)や、カバーアルバム『歌姫』(1994年)を発表するのとほぼ同時期に、ワーナー側が過去音源のベスト盤をぶつけてきたことが、対決姿勢をより鮮明にしてしまった。そのため、当時の明菜はファンに向けて『ワーナーのレコードは買わないでほしい』という趣旨の発言をしたほどでした」(音楽ライター)
その後、2010年に中森は体調不良などが重なり、活動を休止。一時的な再開はあったものの、長く表舞台から遠ざかっていた。ワーナーとの関係は、もはや修復不可能と思われていた。
ところが2022年に再始動すると、過去の遺恨などなかったかのように、ワーナー時代のアルバムが次々と復刻されるようになった。
「過去作の再発だけでなく、トリビュートアルバムを制作するなど、ワーナーは明菜サイドと連携しながらコンスタントにリリースを続けていました。事実上、両者は和解したと解釈していいのではないでしょうか」(同前)
再始動後は、ディナーショーやファンクラブイベント、野外ライブなどで数曲ずつ歌を披露し、“慣らし運転”を続けてきた中森。今回のアルバム発売と本格ツアーで、“完全復活計画”を印象づけたいところだろう。だが、前出のプロデューサーは懸念を隠さない。
「明菜には、もう後がないですからね。正直なところ、今の彼女の歌は心に響いてこない。昨年出た松田聖子のトリビュートアルバムで、明菜は『赤いスイートピー』をカバーしていますが、同作に参加した椎名林檎と比べると、どうしてもレベルの差を感じてしまいます」
音楽評論家の富澤一誠氏は、今回の挑戦について慎重な見方を示す。
「ツアーでは、楽曲をオリジナルアレンジで20曲以上披露すると打ち出しています。“もう大丈夫”というアピールなのでしょう。しかし、あれだけ痩せていると、どうしても声は出にくくなりますし、彼女には長いブランクもあります。一般的に3年間活動を休止すると、声を元に戻すには倍の6年はかかる。そうした状況で本格的なツアーをおこなうのは、かなりリスクの高い賭けです。本当に歌いきれるのか疑問ですし、スケジュールを飛ばす可能性もゼロではないでしょう。もし今回つまずけば、状況はかなり厳しい局面を迎えると思います」
アルバム発売は決まった。だが中森の“完全復活”は、次に出る新曲の成否にかかっている。
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