
“ママの悩み”は共通という2人(写真・福田ヨシツグ)
同じ時代を、女性ソロシンガーとして駆け抜けてきた3児の母、相川七瀬(51)と、4人の子供を持つhitomi(50)の「BIG BANG対談」後編は、生活スタイルと自分時間の見つけ方からスタートする。
相川 hitomiちゃんのところは、いちばん上が女のコで、下3人が男のコだっけ?
hitomi(以下、h)そうです。いちばん上が17歳。
相川 高校生か。娘ちゃんとは友達感覚に近い感じ?
h うーん。難しいんですよね、そこは距離感が。一緒に渋谷の109でショッピングをしたり、PLAZAでプチプラコスメを試したりもするんですけど、友達っぽくなりすぎてもよくないなぁと思うし、いずれ巣立たせなきゃいけないですからね。ちゃんと一人で世の中に出ていけるように。
相川 そうだね。女のコはそこは難しいところだよね。下の男のコたちは?
h 11歳、9歳、5歳。ゲームをやらせろとか、スマホにアプリを入れさせろとか、うるさいうるさい(苦笑)。
相川 そうか。私はそこを通過して、もうすぐ20代のころの自分のような気持ちに戻りつつあるっていう感じかな。
h 20代の自分というと……自由がある?
相川 “なんでもできる” “何をやってもいいんだ” と、20代のころに思っていた自由とは違って、自分の責任のなかでの自由ではあるんだけど、それはそれでおもしろいと思っている自分がいる。
h そういう意味では、七瀬ちゃんは私の一歩も二歩も先を走っている先輩ですね。ウチは今、手がかかるし、とにかくわしゃわしゃうるさくて、一人の時間を作るのも大変ですから。
相川 作業は子供たちが寝た後の夜とか?
h そうですね。そのほうが考え事をするのにもいいし、いろんなことに集中したりもできますから。
相川 朝は何時に起きるの?
h 今朝は5時でしたけど、3時とか4時のときもあります。
相川 もしかして、ショートスリーパー!?
h 短い睡眠時間でも、わりと平気なほうです。
相川 昔から?
h 2年くらい前からかな。なりたくてなったわけじゃなくて、必要に迫られて、ですけどね(苦笑)。
相川 逃げ出したくなるときはどうしてるの?
h 逃げます(笑)。4歳になる愛犬ハナちゃんと一緒に散歩に出かけます。プチ家出ですね(笑)。
相川 あはは。それはいい。癒やしにもなるしね。子供たちと一緒にライブに行ったりもする?
h 一度だけ、娘とボカロみたいなのに行ったことがあるんですけど……。
相川 2.5次元とかのヤツだ。で、感想は?
h 演奏は生なんだけど、映像は3Dグラフィックで。これまで自分が見たこともない不思議な世界なんですよ。
相川 私は行ったことがないけど、ウチの子供たちも行っているから、知識としては知ってるけど、hitomiちゃんが戸惑うほど、私たちが知っている、ふだんやっているライブとは違うんだね。
h “生なの!? バーチャルなの? どっち?” みたいな感じで(苦笑)。ノリノリの娘の横で、具合が悪くなってその場で座り込んじゃったんですよね。
相川 あははは。それは、キツいね。
h 私が理解できなかっただけで、否定しているわけじゃないんです。ただ、なんだかなぁという感じはありましたね(苦笑)。
相川 アルファ世代とのジェネレーションギャップをもろに感じちゃったんだね。
h ですね。子供たちが「これ、聴いてみて」とか「最近流行っているから」とか、いろいろ教えてくれるので、若い世代の歌を聴いているほうだと思いますが、まだまだですね。
■いつでも自分で自分を褒めてあげたい……
ーーお2人ともソロシンガー。グループやバンドとはまた違う、精神的なタフさが必要なんでしょうね。
相川 一人で切り盛りしなきゃいけないというのは、まぁまぁ重圧で。いいときも悪いときも、全部自分が背負わなきゃいけないから、心の奥は弱っていても、表面では突っ張っていなきゃいけなかったというのはありましたね。
h 誰に対して?
相川 誰とかじゃなくて、すべてに対してかな(苦笑)。hitomiちゃんは?
h 私はスタッフとバチバチやり合っていましたね。歌詞を書いたら、まずディレクターの方に見てもらうんですけど、ちょっとした言いまわしを修正されるだけでも、喧嘩になる(苦笑)。
相川 あっ、でもそれすごくよくわかる。
h わかってくれます? 私の中ではこの言いまわしは自然なんだけど、「世の中的には意味がわからない」とか言われると、もう無性に腹が立って「世の中は関係ない! 私はこう思っているんだ!!」と、半分泣きながら喧嘩していました(笑)。
相川 勝った負けたでいうと勝敗は?(笑)
h 勝ったり負けたりですね。そうやってずっと戦ってきたんですけど、あるとき「だったら俺と仕事するなよ。俺じゃなくてもいいじゃん」って言われて、自分でも “確かに、そうだよね” と思って……。
相川 作品作りは、いろんな意見とぶつかるからね。
h 自分一人じゃなんにもできないくせに、こうやって一緒にやってくれているんだからありがたいと思わなきゃと思って。そこから、スタッフの言葉にも耳を傾けなきゃと思うようになりました。
相川 尖りに尖っていたhitomiちゃんは、今どんな感じなの?
h 譲れるところは譲って、ですね。 “そこまで言うんならいいですよ。そこは、それほど支障がないから譲りますよ” みたいな感じです。
相川 hitomiちゃんも大人になって、だいぶん丸くなったんだね。同じく、私もだけど(笑)。
h 七瀬ちゃんも、そういうことがあるでしょう?
相川 私はね、一度だけなんだけど、織田(哲郎)さんを論破したことがあります。
h 織田さんを!? すごいじゃないですか。
相川 この曲のこの歌詞を変えてくれって言われたんだけど、どうしても変えたくなくて。ここはこうでこうでこうだから、こういう背景があって私はこの言葉を選んだから、絶対に変えられないし、変えたくないと言い張ったら……。
h 織田さんが納得してくれたの?
相川 納得というか「そうかOK!」って言ってくれて。私にしてみれば「え〜っ!?」でしたけど。言葉遊びじゃなく、意図があって書いたものだから変えなくていいと思ってくれたんだけど、そのときは拍子抜けしたというか(笑)。
ーー30年で音楽との向き合い方は変わりましたか?
h どうだろう……。自分よりちょっと若いディレクターが、 “それ、やるの?” みたいなことを提案してくるんだけど、 “できるかな!?” という気持ちと、 “できると思っているから提案してくれているんだろうな” という、ふたつの気持ちがせめぎ合うことはあります。
相川 若いころだったら、 “やってやろうじゃないの” と燃えるところだけどね。
h 「おっしゃぁぁぁぁーっ!」と叫ぶところを、今は “う〜〜ん、大丈夫かな!?” と、自分で自分にブレーキをかけそうになることもあるんですよね。
相川 そう言いながら、hitomiちゃんのことだから、最後はアクセルを踏み込むんでしょう?
h いつでも自分で自分を褒めてあげたいから、今はそうありたいとは思っているという感じかな。
相川 自分で自分を褒めてあげたいというのは、私もあるかも。
h ですよね。私なんか、毎日自分を褒めていますから。早起きしてご飯を作って、洗濯もして掃除もして、「私ってすごくない?」という独り言を繰り返し呟いています。
相川 それを子供たちの前でも言うの?
h もちろんです。「お母さんって、本当にすごいよね。そう思わない?」と、毎日のように言っていますから。
相川 子供たちの反応は?
h 4人とも無視です。シーンとしています(苦笑)。
相川 ウチで私がそれを言ったら、ほぼ確実に「お疲れ」という言葉が返ってくると思う。その場に3人いたら、「お疲れ」の3連発(笑)。
h ウチだと4人の輪唱かな。無視は寂しいけど、それもキツいな(笑)。
ひとみ
1976年1月26日生まれ 雑誌「Fine」のモデルを経て、1994年11月に、小室哲哉プロデュースの『Let’s Play Winter』で歌手デビュー。『CANDY GIRL』『LOVE 2000』『SAMURAI DRIVE』など数多くのヒット曲を持ち、多方面で活躍。3月28日、東京・渋谷『duo MUSIC EXCHANGE』にて「hitomi Live 2026-STAND BY-」を開催予定
あいかわななせ
1975年2月16日生まれ 大阪府出身 1995年『夢見る少女じゃいられない』でデビュー。その後もヒット曲を数多く世に送り出す。2020年に國學院大學神道文化学部を受験し合格。卒業後、同大の大学院に進む。2026年11月2日、30周年ツアーファイナルとして日本武道館でのライブが決まっている。現在、相川七瀬30周年を記念したオールタイムベストアルバム『Rock’N’Roll Journey〜30th Anniversary Best〜』を発売中!
写真・福田ヨシツグ
取材&文・工藤 晋
ヘアメイク・久保フユミ(相川)、松田美穂(hitomi)
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