北村有起哉
3月15日(日)に第8話が放送され、今夜放送の第9話から最終章に突入する鈴木亮平主演の日曜劇場『リブート』(TBS系、以下同)。考察ブームを巻き起こしている本作、残すところあと2回となっている。
平凡なパティシエだった早瀬陸(松山ケンイチ)は、行方不明になっていた妻・夏海(山口紗弥加)の白骨化した遺体が発見され、妻殺害の濡れ衣を着せられてしまう。そこで早瀬は、高度な整形手術によって他人になり替わる “リブート” で、裏社会とつながりを持つ刑事・儀堂歩(鈴木)に顔や声をそっくりに変え、妻の死の真相を追いかけるというストーリー。
だが、第8話で衝撃の事実が判明。実は夏海は死んでおらず、ずっと敵か味方かわからなかった幸後一香(戸田恵梨香)に “リブート” していたことが明らかになった。
■塚地武雅演じる裏組織の幹部が怪しすぎる
第8話で大半の謎が解き明かされたため、考察すべき要素もかなり絞られてきたが、視聴者が気になっているのは、真の黒幕が誰なのかということだろう。
第8話では、これまでのほぼすべてのトラブルを裏組織のトップである合六亘(北村有起哉)が仕組んでいたことも発覚しており、このまま素直に合六がラスボスとなる可能性も当然ある。
ただ、第6話で合六の妻子が登場するシーンがあったのだが、彼は妻も子どもも愛しており、幸せな家庭を大切にしている描写があった。しかも、その家の場所も家族の顔も簡単に突き止められるので、要するに合六はラスボスらしからぬ圧倒的な “弱み” が露呈しているのだ。
第9話の予告映像によると、陸と夏海の一人息子が合六の組織に拉致されて脅されてしまうようだが、その気になれば同じ方法で合六を脅し返すこともできるわけで、黒幕にそういった弱点があるのはなんだか不自然であり、違和感が残る。
やはり合六は黒幕ではないという線もあり、現時点で考察好きの視聴者から真の黒幕候補として怪しまれているのが、ドランクドラゴン・塚地武雅が演じる裏組織の幹部・菊池瑛介だ。
菊池の出演シーンは多くなく、裏組織の幹部たちが集まる食事会シーンで何度か出てきている程度。また、登場したとしてもおいしそうに料理を食べているぐらいで、セリフがあったとしても当たり障りない発言に終始している。つまり、現時点では物語の本筋にほぼ絡んでいない。
塚地は演技力も知名度も高い名バイプレイヤーとして知られているため、“菊池黒幕説” は、塚地がこのまま “空気” のようなキャラクターで終わるはずないという発想が論拠となっている。
菊池は合六の部下ということになっているが、たしかに菊池こそが裏組織のボスで、合六を傀儡として操っている可能性もゼロではないだろう。合六は家族をネタに脅迫されて極悪ボスを演じているだけで、菊池は部下を装って合六を近くで監視しているのだとしたら、腑に落ちる部分もある。
とはいえ、菊池が黒幕なのかもしれないと思わせておいて、やっぱりただの従順な部下で最後まで本筋に絡まないなんてことも十分ありえるだろう。
合六が真の黒幕ではないと仮定した場合、菊池以外にも、伊藤英明演じる警視庁の監察官・真北正親、池田鉄洋演じる捜査一課の係長・三上章大、また新キャラの市川團十郎演じる大物政治家・真北弥一などの線もあるが……。
■ “本当の黒幕” はどう考えても脚本家
ここで “本当の黒幕” について、改めて考えてみたい。
菊池が真の黒幕なのかただのザコキャラなのかと考察したり、それとも真北や三上も怪しいんじゃないかと考察したりして、予想が当たった・外れたと一喜一憂している時点で、我々はある人物の手のひらの上で転がされていると気づく。
それは、本作の脚本家であるヒットメーカー・黒岩勉氏だ。黒岩氏は数々のヒット作を世に送り出しており、近年の日曜劇場作品だけでも、2021年の『TOKYO MER~走る緊急救命室~』、2022年の『マイファミリー』、2023年の『ラストマン-全盲の捜査官-』を手がけている時代の寵児。
考察が当たろうが外れようが、ああだこうだと作品について考えている時点で、ある意味、我々視聴者は黒岩氏の思惑どおりに操られているわけだ。
たとえば “夏美が一香にリブートしてる説” は、一香が早瀬の息子にかけた言葉などから第1話の時点で推理している視聴者もいたが、その説が当たっていたことが第8話で明らかになった。
しかし、それは黒岩氏が隠したかった展開を先読みされたわけではなく、黒岩氏が散りばめていたヒントで、そう考察するように仕向けられていたのは想像にかたくない。考察が “当たった” のではなく、お膳立てされていたヒントによって “当てさせられた” ということ。
劇中の黒幕が合六だろうが菊池だろうが、考察ブームが巻き起こっている時点で脚本家の大勝利。“本当の黒幕” は、綿密かつ秀逸すぎるストーリーで我々を熱狂させてくれている黒岩氏なのだ。
今夜放送の第9話を含めて残り2回。ラスボスは誰なのか、さらなるどんでん返しがあるのか――黒岩氏の手のひらの上で楽しく踊らせてもらう快楽を味わいたい。
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