
向井理
橋本環奈主演の月9ドラマ『ヤンドク!』(フジテレビ系)が、3月23日(月)に最終話(第11話)を迎えた。
個人的には、最後まで橋本のヤンキーっぷりがうすら寒く感じてハマれなかったが、2番手キャストである向井理演じるキャラの最後の姿とセリフに胸を打たれた。
■【ネタバレあり】命の危機の病気を患っていた向井理
10代の頃、ヤンキーだった田上湖音波(たがみ・ことは/橋本)は、親友とバイクで走っていたところ壮絶な事故に遭う。親友は亡くなってしまったものの、湖音波は医師・中田啓介(向井理)の懸命な手術により命を救われる。
湖音波は恩人・中田のような医者になるため、一念発起して猛勉強。それから13年、脳神経外科医として「外科手術」と「血管内治療」の両方ができる凄腕に成長していた。そして中田から東京の大病院に呼び寄せられ、周囲と衝突しながらも患者の命を救っていくというストーリー。
迎えた最終話。
中田は脳に腫瘍ができる髄膜腫を患っており、湖音波いわく「手術を受けなかったら死にますよ」というほど、ひっ迫した病状だった。しかし、腫瘍は視神経にも影響を及ぼしており、手術で命が助かっても視力は大幅に低下して失明する可能性も高いという。
そんな中田は、湖音波から手術をすすめられるも「オペは拒否する」と断言したうえで、こう続けていた。
「脳神経外科医が、目が見えなくなったら終わりだ。医者を続けられないなら、生きている意味がない。医者じゃない俺には、もうなんの価値もない」
要するに “医師でないなら死んだほうがマシ” という理論だが、この中田のセリフを聞いたとき、アホすぎて耳を疑った。というのも、彼にはまだ幼い娘がいるからだ。
確かに医師は素晴らしい仕事だし、そのポリシーも立派だが、あえて言うが、そんなくだらないプライドのために、残された家族の気持ちを考えずに自分の命を軽視するなんて、マジで無責任すぎる。
医師であることが存在意義だったというのはわかるのだが、視力を失って、そのアイデンティティを失ったとしても、娘のために生き続けようとするのが、親としての責務ではないのか。
この段階の中田の思考回路は、本当に自己中すぎて憤りを覚えるほどだった。
■【ネタバレあり】橋本環奈は手術で奇跡を起こせたか?
結局、中田は、湖音波の説得に応じて手術を受ける。ただ、湖音波は成功率が低いことを承知のうえで、視力も失わずにすむ難しい方法を選択していた。
それから1年後。
しばらくは中田の生死が不明なままストーリーが進んでいたが、無事に助かったようで、岐阜の大学で医学部の講義をしていることが判明。しかし、白杖を持っており、視力が失われてしまったことも明らかに。
これまでの湖音波はスーパードクター的に描かれていたし、ヤンキーの気合いと根性でなんでも乗り越えられるみたいな展開も多かった。そのため、正直、湖音波が視力もあきらめないという選択をした時点で、手術は完璧に成功して中田は失明しないものと思っていた。
けれど、中田は視力を失い、医師としては引退している様子。最後の最後でご都合主義に走らず、リアリティのあるストーリーになっていたのがよかった。
そんな中田が講義の最後、学生たちに向けてこんな言葉を贈るのだ。
「これから医者になろうとしている君たちに先に言っておきます。それぞれなりたい理想の医師像があるでしょう。だが……無理です。君たちが思い描いた、完璧な医師にはなれません。なぜなら医者も普通の人間だからです。ただ、誰かの希望になることはできる」
このセリフに胸を打たれた。「無理」と言い切って、理想どおりにならないという現実をきちんと突きつけたうえで、それでも人々の「希望」になることができる仕事なのだと説く――最高の教えじゃないか。
主人公の手術が完璧に成功することがなかったからこそ、説得力が何倍にも増す名言だったと思う。
中田が、娘がいるにもかかわらず手術を拒否して死を受け入れたときは、なんじゃコイツと思ったが、ラストのセリフで一気に汚名返上した形だ。“終わりよければすべてよし” とまでは言わないが、エピローグで描かれた中田の姿とセリフによって、このドラマの深みが増したのは間違いない。
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