
娘の村井麻友美(右)と音無美紀子(2014年)
4月21日に俳優・音無美紀子さんが自身のインスタグラムを更新。夫で俳優の村井國夫さんと、長女で俳優の村井麻友美さんとのスリーショット画像を公開していました。
音無さんは、インスタグラムに《銀座でも行こうか、と言うことに。父と娘が私の前を行く。なんか微笑ましい。パパが靴を買ってくれました。良かったね》と銀座で買い物している仲睦まじい家族団らんの様子を投稿しました。
筆者は、去年1月2日、結婚50周年の金婚式を迎えた音無さんにお話しを伺っています。現在は穏やかな日々を過ごされている音無さんですが、その半世紀を振り返れば、決して平坦な道ばかりではありませんでした。38歳のときに患った乳がん、それにともなう全摘手術。そして、追い打ちをかけるように音無さんを苦しめたのが「うつ病」だったのです。
「笑うことも口を利くこともできなくなって。私は外科の手術よりも精神的な病気のほうがどんなに大変かと。いまだにそこに戻りたくないと思います。
まったく眠れないし、子供を愛おしく思えない。いつも体がだるくて、なにも行動に移せないような感じで、ずっと『死にたい』と思っていました。
その当時は、子供たちの親としても女優としてもダメだし、『自分がいちゃいけない』って思うようになったんです」
そんな絶望の淵にいた音無さんを、村井さんは献身的に支えました。
「私の背中をずっとさすり続けてくれたり、『生きていれば子供たちの成長が見られるよ。大人になっていく姿を見たいでしょ』と励ましてくれたりして。
『子供のために、あと5年生きてみよう』それがダメなら『あと3年』。最後は『あと1年生きてみよう』って。その1年間の間に『主婦業を僕が君から習う。区役所のことや学校のことを全部教えてくれ。そしたら君は逝っていいよ』って。いま考えたら『1年でいいのか?』ってガックリくるけど(笑)。でも、結果、長生きしています」
病を乗り越えるきっかけとなったのは、長女・麻友美さんの存在でした。
「手術の傷を見られるのがいやで、娘とお風呂に入ってなくて。でも、ここは乗り越えないと元気になれないし、決心してお風呂に入ったんです。
そしたら小学1年生の娘が、私の首から上しか見ないの。それを見たときに、『こんな小さな子が、気を使うことができるんだ』と感動して……。私がお風呂のなかで泣いちゃったんですよ。
そしたら娘が『ママは大丈夫だよ。オッパイは生えてくるよ!』って。それで『この子のために生きなきゃ』と思いました」
当時を回想する音無さんの瞳には、涙がにじんでいました。あれから数十年の時が流れ、麻友美さんは、ご両親と同じ俳優の道を歩む一人前の女性となりました。
そして、絶望のなかにいた妻へ「あと1年」と粘り強く生きる希望をつなぎ続けた夫は、いまも変わらず妻のかたわらで、銀座の街を歩いています。
がんやうつ病に苦しみ、自分を失いかけた日々。音無さんがお風呂のなかで流した「感動の涙」は、再び前を向くための光となりました。その光を家族全員で守り続けた結果、現在の穏やかな日常につながったのかもしれません。
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