
染谷将太と岡田将生
岡田将生と染谷将太がダブル主演する『田鎖ブラザーズ』(TBS系)。実は、かなり異質な視聴率を叩き出しているのだ。
時効が成立している31年前の両親殺害事件の犯人を追う兄弟が主人公。兄(岡田)は刑事、弟(染谷)は検視官となり、管轄で起こる事件を警察官として捜査しつつ、両親を殺した真犯人を独自に探し続けている。
本作はTBS系の金曜ドラマで放送された『アンナチュラル』(2018年)、『MIU404』(2020年)、『最愛』(2021年)といったクライムサスペンスで名を馳せた、新井順子プロデューサーが手掛ける作品。新井氏作品のファンを中心に放送前から注目を集めていた。
そんな『田鎖ブラザーズ』、5月15日(金)に第5話が放送されたのだが、視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)の推移が非常に稀有なのである。
第1話から第5話までの推移は、世帯視聴率で5.4%、5.2%、5.5%、5.4%、5.6%。個人視聴率は3.0%、3.1%、3.1%、3.1%、3.2%。
おそろしいほど安定しているのだ。ここまでの5話分で、世帯視聴率は0.4ポイントのブレしかなく、個人視聴率にいたっては0.2ポイントのブレしかない。
■興味を持った視聴者をガッツリ掴んで離さない
他作品の場合、視聴率はたいていもっと激しく上がったり下がったりするもの。初回から2~3%は上下する作品が多い。
また、たとえば初回から第2話、第3話で下落し、底をついてから安定するということはよくあるケースだが、『田鎖ブラザーズ』のように初回からほとんど変わらずにキープし続けるのは、だいぶ珍しい現象と言える。
これは、放送開始前に興味を持って初回を観てくれた視聴者の期待を裏切らなかったということなのだろう。
だが一方で、飛び抜けておもしろいのであればSNSなどの口コミで広がっていき、視聴率の上昇傾向が現れるだろうが、数字が上がっているわけでもない。細かく分析するなら、最新回である第5話が最高視聴率となっているのだが、微差の範囲内だし、そもそも世帯5%台、個人3%台という視聴率は高いとは言いがたい。
つまり、初回をお試し視聴した人を固定ファンにしてガッツリ掴んで離さないでいるものの、途中からの新規ファンはほとんど獲得できていないのではないか。
ちなみに第1話がTVerで200万再生を突破しているが、そこまで見逃し配信で大きく話題になっているわけでもない。実際、TVerのお気に入り登録数は67.1万(5月20日現在)で、ヒット作の指標となる100万登録にはほど遠いため、配信でヒットしているというわけでもないようだ。
■コメディ不要で既視感を抱かなければハマる
「ハマる人」「ハマらない人」がここまできれいに分断される作品はレア。その分断が生まれる理由を考えてみたい。
まず、この手のクライムサスペンスが好きかどうかで分かれるのは言わずもがなだが、本作にはコメディ要素がほぼないので、そのあたりも好き嫌いが分かれるだろう。
コミカルな演出を排除した作品になっているので、その作風を「硬派」「リアル」などとポジティブに受け止められるか、それとも「重い」「暗い」「しんどい」などとネガティブに受け止めるかが分水嶺となりそうだ。
そして、“親が殺された過去の事件の真相を追う” という物語のアウトラインに引き込まれるかどうかも重要なポイント。犯人は誰なのか気になって仕方なければどんどん続きが観たくなると思うが、その基本設定に既視感を抱くと、犯人への興味が薄れてしまう。
実際、TBSの同枠にて2008年に放送された『流星の絆』と似ているという声は多く、TBSの同枠で昨年放送された『クジャクのダンス、誰が見た?』にも類似点はいくつもある。
この類型の物語は、“主人公に親身になってくれる身近ないい人” が真犯人であるパターンが多いので、食傷気味だと感じてしまうとハマれないだろう。
■岡田×染谷、兄弟の絡みを「エモい」と思えるか
ここで正直にお伝えしておくと、筆者はクライムサスペンスというジャンルは好きなものの本作にはハマっていないのだが、それは田鎖兄弟の掛け合いを楽しめるかどうかも、けっこう大きなポイントになっているからかもしれない。
本作にハマッている視聴者の意見を見ると、主演2人の絡みを「エモい」と感じている人が多いことに気づかされる。ブラザーフッドものが好きならストーリーへの没入度はどんどん深まるだろう。それこそ岡田と染谷のビジュ(ビジュアル)で描かれる兄弟の絆が “たまらん” と食指が動くなら、どハマりするに違いない。
個人的に男同士の絆や友情という要素も好きなほうだし、岡田も染谷もいい役者だと思っているが、今作での彼らの絡みで「エモい」という感情は湧いてこない。筆者と同じような感覚の人はハマれないだろう。
――今夜の放送は第6話。物語は後半戦に突入する。劇中では真犯人が誰なのかという部分に焦点が当たっているが、今後、視聴率がどう推移していくかについても要注目だ。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







