
女優の出口夏希
月9の “静かな爆死” はまだまだ続いている。北村匠海が地上波連ドラ初主演を飾っているフジテレビの月9ドラマ『サバ缶、宇宙へ行く』。実話をもとに描かれたオリジナルストーリーで、5月18日(月)に第6話が放送された。
本作は統廃合の危機にある福井県の水産高校を舞台に、生徒と教師が力をあわせて宇宙食開発を目指す学園もの。
北村演じる主人公は、自校で生産しているサバ缶を宇宙に飛ばすことを目標に奮闘する高校教師。世代交代していく生徒たちを見守りながら、実現までの長い歳月を主人公視点で追っていく物語だ。
■個人視聴率は2.0%とギリギリの状態
このドラマ、視聴者から酷評されるようなコメントはそこまで出ていないのだが、視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)はかなりヤバめ。
第1話から第6話まで世帯視聴率は6.0%、4.1%、3.8%、3.5%、3.6%、3.3%と推移。個人視聴率は3.4%、2.6%、2.3%、2.2%、2.2%、2.0%と推移。
第1話から第2話で急落し、その後もゆるやかに下落傾向が続いている。個人視聴率に関しては最新回が2.0%で、次回以降に1%台まで陥落してもおかしくないギリギリの状態なのだ。
昨今はTVerなどの見逃し配信で観ている人も多いが、さすがにこの視聴率はまずいだろう。ちなみに、100万登録が人気の指標となっているTVerのお気に入り登録数は46.5万(5月23日現在)といまいちで、TVerでヒットしているというわけでもない。
■3世代めの生徒はたった1話で卒業
“静かな爆死” が続いているのは、ストーリーの “薄さ” が原因のひとつとしてあるだろう。
ドラマは2005年からスタートしているのだが、実話で高校のサバ缶がJAXAに宇宙食として認定されたのは2018年。1クールのドラマで十数年の物語を描こうとしているため、各エピソードの掘り下げが甘く、どうにも駆け足な印象は否めない。
第6話までに3世代の生徒たちが卒業していき、今夜放送の第7話では4世代めの生徒のエピソードがスタートする。
好意的に解釈すれば、テンポよくストーリーが進んでいると捉えることもできる。だが、率直な感想としては、思い入れの薄い生徒たちがどんどん卒業していくだけで、感動も薄いといったところ。
しかもその傾向は顕著になってきている。1世代めは第1話から3話まで描かれたが、2世代めは第4話・5話、3世代めにいたっては第6話のみでさっさと卒業してしまった。3話使った1世代めでも消化不良だったのに、1話で完結した3世代めに感情移入しろというのは無理のある話だ。
■1世代めの出口夏希が先生として帰還
しかし、第7話以降に期待できる要素もある。まず、なんといっても売れっ子若手俳優・出口夏希の帰還。出口は1世代めの中心生徒を演じていたのだが、その彼女が第7話から先生となって高校に帰ってくるのである。
ドラマ業界では、つい数年前まで生徒役を演じていた若手俳優が、気づけば違う作品で先生役を演じることはよくあるケース。けれど本作では、1クールの同じドラマ内で高校生役と先生役を演じさせるという画期的な手法を採用したわけだ。
この出口の起用方法は「うまい!」と思った。第3話で卒業した出口をそのままOGとして出演させ続けることもできただろうが、第4話から第6話までお休みさせて温存。そして満を持して第7話で先生として再登場させることで、彼女のプレミア感が際立つ。主演は北村匠海だが、出口の先生としてのカムバックには “前作主人公” 感がある。
ちょうど2005年版『ドラゴン桜』(TBS系)で長澤まさみが演じた主要生徒が、2021年版『ドラゴン桜』で弁護士になって高校にやってくるという設定に似ているが、出口はこれを1クールのドラマ内でやってのけている。おそらく出口演じる先生は主人公のバディ役になるのだろうから、北村&出口の教師コンビには期待大だ。
■ここからの人間ドラマは濃厚になるか
もうひとつ、後半に登場する生徒たちのエピソードはしっかり掘り下げてくれて、重厚なストーリーになるのではないかという期待もある。
2世代めは2話分のみ、3世代めは1話分のみで完結してしまったわけだが、その前半の駆け足感は後半の世代、特に最終世代の物語を手厚く描くための布石だったという可能性もありそう。終盤の生徒たちのエピソードをじっくり掘り下げるため前半を駆け足にしたのだとしたら、ここからの人間ドラマは濃密になっていくのかもしれない。
いずれにしても、今夜放送の第7話から、“前作主人公” 感をまとって出口夏希がカムバックする。成長して帰ってきた彼女が起死回生のカギとなるか。
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