
「親になって自分の未熟さを感じ、あらためて両親に感謝しました。子どもたちには成長させてもらっています」
日本のアーティスティックスイミング(AS)界に若きスター候補誕生――。
5月23日、東京アクアティクスセンターでおこなわれた日本選手権で、16歳の田所新菜(ニーナ)がソロ・フリールーティンで4位に入賞した。前日のデュエット・テクニカルルーティンでも2位でメダルを獲得するなど、その急成長ぶりに「将来のオリンピック候補」としてにわかに注目されているのだ。
「田所さんは2010年2月5日、埼玉県生まれ。幼少期からバレエなどに親しみ7歳の時にASを始めたということです。中学1年で、数多くの世界的選手を育てた井村雅代コーチがいる井村ASCに入り、ジュニアオリンピックなどで活躍。ユース世代の世界大会にも出場しています。
中学卒業後『もっとうまくなりたい』と母とともに大阪に移住。172cmの長身を生かしたダイナミックな演技が特徴で、井村コーチも期待をにじませたこともありました。今後の成長次第では、2年後のロサンゼルス五輪で活躍する姿を見られるかもしれません」(スポーツ紙記者)
そんな田所の父親は、ミュージシャンのダイアモンド☆ユカイ(本名=田所豊・64)。この日も応援に駆け付け、日刊スポーツの取材に「すごいですよ。本当に頑張っている」と娘の活躍を称えている。
じつは、ユカイには人一倍、娘の成長を祝いたくなる格別の事情がある。長い不妊治療の末にようやく授かった娘が新菜だった。それはどんなものだったのか。ユカイは2018年本誌に、男性不妊治療の経験を告白していた。
2度目の結婚では、「ファミリー」を持ちたかったというユカイ。妻に付き添って近所の産婦人科のクリニックに行くと、検査の結果、妻は健康体の診断だった。成り行きで受けた検査で、ユカイは医師から「あなたの精子はゼロです」と告げられたという。
当時のことを、彼は「もう頭が真っ白。まさか、この俺がって。だってなんの自覚症状もないんだから」と振り返っていた。
その後病院で詳しい検査を受けると、睾丸で精子は作られていても、精管に問題があって精子が出てこない「閉塞性無精子症」の可能性があるとの診断。
精子がいることを証明するには、睾丸にメスを入れ、精巣から組織を取り出す検査が必要だったという。当時のことを、「そりゃあ、怖かった」とユカイは振り返っていた。
「痛いのイヤだし、注射も嫌いだしね。でも挑戦しましたよ。局部麻酔をかけて20分ぐらいで終わったけど、2時間にも感じました。でも、精子がいたのはわかった。ものすごい数の精子がウヨウヨ動いていましたよ」
その後不妊治療が始まるも、2度にわたる顕微授精は失敗。不妊治療をやめようと一度は決意したが、ある日、妻がこう言ってきた。
「40歳になる前に、最後にもう一度チャレンジさせてください」
もう期待はしていなかったが、どうせ行くならと、男性不妊治療の権威といわれる北九州のクリニックを訪ねた。医師は「絶対大丈夫だ!」とユカイに太鼓判を押したという。その言葉どおり、不妊治療が成功したというのだ。
妻は妊娠中毒症に苦しみもしたが、2010年2月、長女の新菜さんを無事出産。続いて2011年11月には双子の頼音(らいおん)くん、匠音(しょーん)くんも授かった。
当時、「子供は本当に成長させてくれますよ」と子育てについて語っていたユカイ。不妊治療を経て授かった娘がすくすくと育ち、五輪スター候補にまで成長した――。父親としては万感の思いに違いない。
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