
『GIFT』で主演を務める堤真一
視聴率が低調でTVerの再生回数でもあまり話題にならない堤真一主演の日曜劇場『GIFT』(TBS系)。5月24日(日)に第7話が放送された。
天才宇宙物理学者・伍鉄文人(堤)は車いすラグビーには無縁だったが、ひょんなことがきっかけで車いすラグビーの弱小チーム「ブレイズブルズ」のサブコーチになり、日本一に導いていくことになる。
日曜劇場といえば、見逃し配信の視聴スタイルが浸透してきた昨今でも、リアタイで観てくれるドラマファンが多い民放ドラマ枠の雄。たとえば前クールの日曜劇場『リブート』は、このご時世に珍しく、世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)が全話平均で二桁超えという快挙を成し遂げていた。
しかし、『GIFT』は堤のほかに山田裕貴、有村架純、山口智子、Kis-My-Ft2・玉森裕太といった主演級俳優をごろごろ揃えているにもかかわらず、世帯視聴率は第1話から9.4%と二桁に届かず、第4・5話ではなんと6%台にまで低迷。第6・7話は7%台まで戻したものの、日曜劇場の視聴率としてはさびしい限りだ。
実際、『未解決の女 警視庁文書捜査官 Season3』(テレビ朝日系)に視聴率で抜かれ、今クールの民放ドラマ視聴率トップの座を奪われてしまった。
■本筋の車いすラグビーに関係ないエピソード
どうして車いすラグビーを題材にした『GIFT』の人気が伸び悩んでいるのか、考えてみたい。
まず、テーマである車いすラグビー自体にあまり興味が持てず、食指が動かないというドラマファンが多かったことは想像できるが、それは企画立ち上げ当初から想定できていたはず。
問題は、制作陣がその車いすラグビーというテーマに確固たる自信を持てず、弱腰になってしまっていたことにあるのではないか? というのも、本筋の車いすラグビーとは関係のない、脇道に逸れた展開が多すぎるのだ。
具体的にあげるなら、主人公・伍鉄にまつわるエピソードの数々。
中盤回で山口智子が演じているキャラは主人公の元妻で、玉森演じるキャラが息子だったことが明かされるのだが、この3人によるホームドラマ的なエピソードが増えている。
最近の回では父子の関係性の再構築が描かれるシーンが多いが、元妻も息子も健常者で車いすラグビーの選手ではないため、ホームドラマ展開で山口と玉森の出番が増えるほど本筋から逸れていってしまうのだ。
また、第7話ラストでは、伍鉄の大学に所属する宇宙物理学の研究員が、伍鉄に「公開処刑」されたと週刊誌にリークしており、今夜放送の第8話ではスキャンダル展開も巻き起こる模様。当然、これも車いすラグビーには直接関係のないエピソードとなる。
これらのホームドラマ展開やスキャンダル展開は、制作陣が車いすラグビーだけでは視聴率が取れないと弱気になって、人気を確保するための “保険” として入れ込んだエピソードに思える。
しかし、結果的に、車いすラグビーの掘り下げが甘くなったり、脇に逸れて物語が散漫になったりと、人気低迷の原因になっている気がしてならない。
個人的な感想で恐縮だが、山口・玉森の出番が増えたあたりで「え、いまからホームドラマ始める気なの!?」と悪い意味で驚いたし、週刊誌スキャンダルも「本筋と関係ないそんなトラブル求めてない!」と萎えてしまった。“いらない要素” ばかりなのだ。
■安直すぎる悲劇的展開に辟易としてしまった
さらに、車いすラグビーに関係があるエピソードならOKというわけでもない。
山田裕貴が演じているのは、交通事故で車いす生活となった「ブレイズブルズ」のエース選手。日本代表合宿に呼ばれたり、企業とのアスリート契約の話が舞い込んだりする実力派なのだが、今夜放送の第8話予告によると、心臓病の疑いが出て大会出場が危ぶまれるストーリーになるようだ。
……なんというか、安直な悲劇的展開に辟易としてしまった。
終盤のクライマックスを盛り上げるために新たな難題をぶち込んでおきたいのはわかるが、もともと交通事故に遭っている主要キャラに、取ってつけたような別の悲劇を用意するのは、あまりに安易すぎないか。
病気で物語の起伏を作るという素人でも “秒” で思いつくアイデアを、すでに事故で人生が激変した主要キャラに使うなんて、日曜劇場はどうしてしまったのかと心配になる。
エースが心臓病を患っているとしたら本筋である車いすラグビーへの影響は大きいが、“コレジャナイ感” も大きいのである。
――今夜放送の第8話から最終章に突入する。しかし、ホームドラマ展開、スキャンダル展開、悲劇の病気展開でどこまで人気を回復できるかは不透明だ。
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