
帽子を目深にかぶりロケをする高橋一生
せつない終幕だった。また、明かされた謎と残されたままの謎も気になった。
6月9日(火)に最終話(第9話)が放送された高橋一生主演の『リボーン ~最後のヒーロー~』(テレビ朝日系)。
新興IT企業「NEOXIS」の創業社長・根尾光誠(高橋)は、業界トップに立つため手段を選ばず会社を拡大させてきた、傲慢で冷酷無比な男。
たくさんの人間から恨みを買ってきたが、ある日、神社の階段から何者かに突き落とされてしまう。意識を取り戻して目を覚ましたが、なんとそこは14年前の2012年で、しかもなぜか顔がそっくりの別人・野本英人(高橋・二役)になっていた。
もともとの英人はさびれた商店街の住人なのだが、やさしく正義感あふれ、周囲から慕われている。光誠はそんな真逆のタイプの英人となり、人生をやり直していく。
「タイムリープ」と「転生」を組み合わせたトンデモ設定ながら、笑いあり涙ありの深い人間ドラマが描かれていた。ここからは最終話のネタバレありで解説するため、未視聴の方はご注意を。
■【ネタバレあり】英人と光誠が初めて対峙して…
最終話後半、今まで一度も直接対面したことがなかった英人と光誠が対峙する。ここで本作最大の2つの謎が解けた。
1つめは、タイムリープ前の光誠を突き落として殺そうとしていた犯人は誰かという謎。第1話から考察要素として “引き” となっていたが、その真相は肩透かし感があるものだった。
結論をいうと、誰かに突き落とされたというのは本人の勝手な思い込みで、実は自ら転落していたとのこと。これまでの転落シーンでは、光誠を突き落とす手や人影がはっきり描かれていたので、それが幻だったというオチには少々納得がいかなかった。
劇中で本人が必死になって犯人探しをしていたし、視聴者に対しても明らかに考察要素として強調されていたのに、犯人はいませんでしたという真相だったからだ。
2つめは、タイムリープ後のIT社長・根尾光誠の正体は誰なのかという謎。結論をいうと、根尾光誠の体に入っていたのは野本英人の魂だったことが明かされた。つまり、2人は入れ替わって転生していたわけだ。
ただ、「入れ替わり転生説」はわりと早い段階から出ており、SNSでもその説を有力視する人が多かったので、“驚愕の事実” というわけではなく、考察の “答え合わせ” ができたという感覚だった。
■何度も張られていた「入れ替わり転生説」の伏線
振り返ると、過去回で何度も「入れ替わり転生説」の伏線が張られていたことがわかる。序盤からその説を推している視聴者は少なくなかったが、第5話で確信した人は多かったのではないか。
本作のヒロインは、商店街の住人で、英人と友達以上恋人未満だった池谷更紗(中村アン)。英人の体に入っている光誠も更紗に恋心を抱くようになるのだが、第5話ではそのことを人づてに知ることになったIT社長・光誠の表情や態度が、微妙に変わるという演出がされていた。
IT社長・光誠は更紗のことはほとんど知らないはずのため、そのシーンは “光誠の中身は英人” を示す伏線だったのだ。その後の回でも、やたらと光誠が更紗に肩入れしたり気にかけたりしていることが示唆されていた。
また第8話では、IT社長・光誠が商店街会長である英人の父・野本英治(小日向文世)に電話するシーンが注目された。
商店街の立ち退きを迫る光誠が、合意してくれた場合は英治個人に1億円の報酬を払うと交渉すると、いつも穏やかな英治が珍しく怒気を帯びた顔つきでこう応える。
「お断りします。誰もがカネにひれ伏すわけじゃない。いったいどうしたら君のような人間ができあがるんだ? 親の顔が見てみたい。私は、君が哀れでならない」
そんな英治の言葉に光誠は「いやぁ、驚きました。まさか、あなたにそんなことを言われるとは」と返していた。最終話で、光誠と英人の魂が入れ替わって転生していたことが明かされたので、こ
れが元・父子の会話だったことがわかるわけだ。
■2人が瓜二つだった理由は最後まで明示されず
最後まで明確に答えが明かされなかった謎もあった。それは、なぜ光誠と英人が瓜二つだったのか。途中回で、英人の母の不倫による異母兄弟の可能性が示唆されていたので、おそらくは腹違いの兄弟ということなのだろうが、最終話で明示されることはなかった。
もし異母兄弟だったとすると、英治と英人の父子には血のつながりがなかったことになる。英治なら、妻と不倫男の間にできた子だったとしても父として変わらぬ愛情を注いでいたと思うが、そんなバックボーンがあるのだとしたら、英治が光誠(中身は英人)に言い放った「親の顔が見てみたい」という言葉は、二重の意味が出てくるというものだ。
ただ、最終話で自ら神社の階段から落ちようとする光誠(中身は英人)を助けた英治が、「2人が似てるからこんなことになっちゃったのかな? ずっとつらかったな……」と語りかけたシーンは、父の無償の愛を感じられ、涙腺を刺激された。
このときの英治の言葉は、まるで光誠と英人の魂が入れ替わっていることを理解しているようにも聞こえた。英治は父として何かを感じ取っていたのかもしれない。
■救いとなりそうな最終話後の “妄想エピソード”
さて、最大のネタバレとなるが、最終話ラストで英人(中身は光誠)が、タイムリープ前の記憶を使って運命を変えてきた代償として、亡くなってしまったことが明かされる。
あまりにせつない終幕だ。特に、英人(中身は光誠)との子を授かったとはいえ、残されたヒロイン・更紗が不憫で仕方ない。しかし、この世界には、改心して社長の座から自ら退いた光誠(中身は英人)が生きている。
もともと更紗と恋仲だったのは彼のほうで、更紗にプロポーズをしていたのも彼だ。更紗を彼が支えていき、いつか再び恋仲になって更紗を幸せにする――。そんな最終話後のエピソードを妄想する余地が残されていることが、このドラマを最後まで見届けた視聴者に対する “救い” なのかもしれない。
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