
『GIFT』で主演を務める堤真一
堤真一主演で、車いすラグビーを題材にした『GIFT』(TBS系)。 6月14日(日)放送の最終話(第10話)で終幕したが、ここまで賛否両論が巻き起こった日曜劇場は珍しい。
天才宇宙物理学者・伍鉄文人(堤)は、ひょんなことがきっかけで車いすラグビーの弱小チーム「ブレイズブルズ」のコーチになり、日本一を目指す。
『GIFT』は堤のほかに、山田裕貴、有村架純、山口智子、Kis-My-Ft2・玉森裕太といった主演級俳優をごろごろ揃えているにもかかわらず、ストーリーに酷評が相次ぎ、視聴率は低迷。
日曜劇場作品は世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)が二桁を記録することが多いが、本作は6%台を何度も出しており、最終話でさえ7.6%しか取れなかった。
■【ネタバレあり】主人公の圧倒的な魅力不足か
民放ドラマ枠の雄である日曜劇場作品である『GIFT』が、どうして不発に終わってしまったのか? その理由を考えてみたい。
そもそも車いすラグビーに食指が動かなかったドラマファンが多かった可能性や、伍鉄と元妻&息子による家族再構築の話、伍鉄のパワハラ疑惑のスキャンダルの話など、車いすラグビーと関係ないエピソードが不要だったという声も多い。
また、第9話ラストで描かれた急展開にも批判の声が相次いだ。準主役だった「ブレイズブルズ」エース・宮下涼(山田裕貴)が、心臓の病気を患いながら無理して試合に出場したことで亡くなってしまったのだ。
こういった複数の要素が低評価の原因になっているのは否めないところだが、俯瞰すると、もっとシンプルな理由があることがわかる。
本作の敗因、それは主人公の圧倒的な魅力不足だ。堤真一は役をまっとうするいい演技をしていたと思うが、そもそも伍鉄文人というキャラクター自体に魅力が薄いのだ。
伍鉄は、いわゆる “天才的頭脳を持つ変人” で、ドラマの主人公としてはよくある類型に属している。そんな彼に対して、視聴者からびたび指摘されていたことがあった。
それは、伍鉄が考案する戦略などに宇宙物理学が活かされていると感じる要素が少なく、彼の「宇宙物理学者」という肩書きがあまり意味をなしていなかったこと。
最終話で描かれた決勝戦も、伍鉄が選手たちに授けた戦略がハマッて形勢逆転するという展開だったが、やはり宇宙物理学が応用されているようには思えず……。なんだったら伍鉄のような天才的頭脳がなくても、ある程度、車いすラグビーの知識と分析力があればひらめくのではと思える程度のアイデアだったのである。
ごたいそうな「宇宙物理学者」という設定が中途半端だったことが、伍鉄の “キャラ立ち” の弱さにつながったのではないか。
■残念ながら “伍鉄で感動する” ことがなかった
また、初回から最終話まで終始、伍鉄にあまり感情移入できず、彼の行動や発言で感動させられるシーンが極端に少なかったように感じる。
伍鉄が突拍子もない言動で物語を動かしていく場面は多かったし、そこを起点として感動シーンにつながることもあったのだが、“伍鉄で感動する” ことがなかったのだ。
感動させてくれたのは、おもにエースの涼やスーパールーキーの朝谷圭二郎(本田響矢)、チーム最年少の坂東拓也(越山敬達)といった選手たち。彼らが自身の前に立ちふさがる壁となった問題や苦悩を乗り越えたシーンが感動を呼んでいた。
もちろん、そこに伍鉄もかかわっているのだが、“かかわっている” だけ。感動させてくれるのは主人公ではなく車いすの選手たちという構造だったのである。
最終話は、特にその構造が如実に表れていた。涙腺を刺激される場面は何度かあったが、それらはほとんど亡くなった涼を拠りどころとした感動だった。言葉を選ばず、率直に表現するなら、感動シーンは涼に “依存” しまくっていたのである。
おそらく本作の脚本家が、主人公のセリフで一番泣かせたかったのだろうと思えるシーンがあった。
最終話後半、伍鉄が選手たちのプレーに亡き涼の姿を重ねながら、「意味なんてないよぉ。いてくれるだけでいい。一緒にいてくれるだけでいいんだよぉ!」と涙ながらに天国の涼に語りかけた場面。
最後まで伍鉄に感情移入できなかった筆者は、このシーンでも感動できなかったのだが、仮に感情を揺さぶられて涙したとしても、それは “伍鉄で感動” ではなく “涼で感動” なのだ。
■エース選手・涼が主人公でよかったのでは?
筆者と同じように伍鉄に感情移入できなかったものの、涼に感情移入し、彼の物語に引き込まれたという視聴者は少なくないはず。最終話の感動シーンが涼頼みだったことを考えると、本作の実質的な主人公は涼だったと言っても過言ではないだろう。
車いすラグビーのドラマなのだから、門外漢かつ健常者である宇宙物理学者なんて主人公にせず、ストレートにエース選手を主人公にしておけばよかったのではないか。
いずれにしても、もし主人公にもっと魅力があれば、それ自体がドラマを視聴する動機になり、車いすラグビーに興味がなかった人も、車いすラグビー以外の要素が不要だと思っていた人も、この作品の世界観に没入できたかもしれない。
つまり、『GIFT』の敗因は “主人公の魅力不足”、そして “主人公の設定ミス” だったように思えてならないのである。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







