
唐田えりか
唐田えりかと霜降り明星・せいやがダブル主演した続編『102回目のプロポーズ』(フジテレビ系)の最終話(第12話)が、6月24日(水)に放送され、終幕した。
もちろん本作は、武田鉄矢と浅野温子がダブル主演して、最高視聴率36.7%を記録した1991年の大ヒット恋愛ドラマ『101回目のプロポーズ』の続編。本稿では、前作『101回目~』の大ファンである筆者が、『102回目~』の「よかったところ」と「悪かったところ」を率直にあげていきたい。
■【ネタバレあり】婚約者を亡くしたヒロインは…
『102回目~』は、前作主人公である星野達郎(武田)といまは亡き妻・薫(浅野)の娘である星野光(唐田)に、不器用ながら真面目で一生懸命な非モテ男・空野太陽(せいや)が恋をする物語。
ただ、チェリストの光には、楽団で出会った人気ピアニストの婚約者・大月音(伊藤健太郎)がいた。音は誠実でやさしい好青年だったが、物語途中で膵臓がんのため余命3カ月であることが発覚。第11話のラストで亡くなってしまった。
ここからは、最終話のネタバレを含むので未視聴の方はご注意を。
光は音を失い悲しみに暮れていたが、最終話のクライマックスで、太陽は光に102回目のプロポーズをする。太陽が光に「結婚してください」と伝えるうえで、2つの重要な存在があった。
1つめは達郎から譲り受けた “ナット指輪”。前作最終話で達郎と薫が結ばれる際、工事現場にあったナットを結婚指輪代わりにして薫の左手薬指にはめたのだが、太陽は達郎からそのナットを託されていたのだ。
2つめは、音からのビデオメッセージ。生前撮影していた動画には、自分が亡きあとは太陽が光を笑顔にしてやってほしいというメッセージがおさめられていた。
この2つに背中を押され、光を呼び出した太陽はこうプロポーズ。
「光さん。音さんを想い続ける光さんごと、愛します。一生、愛し続けます。僕と、結婚してください。……いつか」
そしてラストシーンは太陽と光が和やかに笑いあって物語は幕を下ろした。
■前作を超えようとする気概が感じられなかった
まず悪かったところからあげていきたい。
最初に総括からお伝えすると、単体の恋愛ドラマとして「普通におもしろい」とは思ったが、恋愛ドラマの金字塔だった前作の続編として考えると、ストーリーも感動度も世の中の反応も、すべてが “弱い” というのが忌憚のない意見だ。
ストーリーは、前作をオマージュしつつ、差別化を図るための工夫も見られ、そこそこ感動もさせられた。
しかし、あくまで個人の感想になるが、狂おしいほどに感情を揺さぶられることもなく、前作レベルの感動を再び体験することはなかった。それは『102回目~』の肝心な要素が、前作からの “借りもの” ばかりだったことが原因なのではないか。
その象徴が “ナット指輪” だろう。“ナット指輪” は、前作の達郎と薫の激動の物語があってこそ “ガラクタだけど最高の宝物” として機能したわけであり、それをそのまま続編の最終話のキーアイテムにするのは、ちょっとモヤモヤ。
また、太陽から光へのプロポーズの言葉も、前作の達郎が薫に対して伝えた想いとほぼ一緒。好意的に解釈するなら前作へのリスペクトと言えるだろうが、オリジナリティは感じられなかった。
“ナット指輪” しかりプロポーズの言葉しかり、前作を意識するのはいいのだが、制作陣から「前作を超える感動を生み出すぞ!」という気概は感じられず。誤解を恐れず言わせてもらうが、前作を踏襲するだけなら、ただの下位互換である。
ほかにも、光と音が無難な “いい人” でしかなく、キャラクター自体の個性が薄いのであまり魅力を感じられなかった。そして、この無難な美男美女カップルを、唐田えりかと伊藤健太郎という “訳あり俳優” が演じた意味合いの薄さも残念だった。
さらに、トラックの前に飛び出して「僕は死にましぇーん!」と叫ぶ前作屈指の名シーンについても言及しておきたい。『102回目~』第5話で太陽によって再現されたのだが、ただのパロディに落とし込んだ演出になっていたので、前作ファンとしては納得がいかなかった。
■温度感が絶妙だったプロポーズ後のラストシーン
ここからはよかったところをあげていこう。
光と音とは違い、せいや演じる太陽と武田鉄矢演じる達郎は個性が立っていて、画面のなかでとても活き活きとしたキャラクターになっていた。
太陽は真面目だが突拍子もない行動を起こす非モテキャラで、せいやの “仁(にん)” にあった当たり役。達郎は、令和のこの時代に昭和脳で暴言を吐くというキャラになっていたが、コメディリリーフとして活躍した。
そして、そんな太陽と達郎の掛け合いは、まるでコントのようなテンポのよさで小気味よかった。
また、ヒロインの恋人が亡くなるというのは前作を踏襲しているものの、前作・薫の婚約者は物語スタート時点でもう亡くなっていたが、今作は光と音の恋愛関係をじっくり描いた後に音が他界したため、うまく差別化が図れていた。
それにより、光と音のラブストーリーとしても深掘りできていたし、物語後半では、同じ女性を愛する太陽と音の間に友情が芽生えるという展開になり、エモかった。最後の音からのビデオメッセージは、主役の太陽を差し置いて音が “持っていきすぎ” 感はあったが、やはり目頭が熱くなった。
最終話の “プロポーズ後” のラストシーンについても触れておきたい。
光は太陽からのプロポーズにYESともNOとも答えず、だが2人は笑顔を交わしながら、幸福感あふれるエンディングとなっていた。
光は音という最愛の人を失ったばかりだったので、この場面で太陽からのプロポーズにYESと答えていたら、興ざめしただろう。とはいえ、NOと答えたら太陽が報われないので、ドラマとして光がプロポーズに答えなかったのは正解だったと思う。
達郎から託された “ナット指輪” も、光に見せるだけで、太陽は彼女の指にはめようとしないし、光も彼から受け取ろうとしない。2人の結末は描かず、それでいて温かい空気が漂うという温度感が絶妙だった。
――比較対象が伝説級の大ヒットドラマなのでどうしても見劣りしてしまうが、『102回目~』を独立した恋愛ドラマとして考えれば、良作だったと言えるかもしれない。
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