これはもう、大傑作になるか大駄作になるか、どちらかだろう。
第1話が7月5日に放送されたKis-My-Ft2・玉森裕太主演のドラマ『マイ・フィクション』(テレビ朝日系)。
本作はサスペンス・ラブストーリーを謳っているが、トンデモ展開の連続で謎だらけの初回となっていた。
この散りばめられた突拍子もない謎や伏線の数々が、最終話までにすべて1つの真実に集約されてきれいにまとまるのであれば、日本ドラマ史に名を刻む名作になる可能性を大いに秘めているが、はたして……。
■謎だらけの第1話、ラストも衝撃だった
伊川正樹(玉森)は平和すぎる町に住む平凡な男。老人ホームの介護士をしながら、愛する妻・真弓(宮澤エマ)と幸せな毎日を送っていた。
そんなある日、伊川は転落事故で1週間も意識不明に。自宅に戻ると老人ホームの同僚だった多田義孝(レインボー・ジャンボたかお)が、なぜか「伊川正樹」になりすましており、真弓もそんな彼とラブラブ。
そればかりか、老人ホームのほかの同僚や入居者もみな主人公・井川のことを覚えておらず、転落事故後の町では完全に多田が「伊川正樹」として存在しているのだ。第1話は、ラストで真弓から怪訝な顔で「どちら様ですか?」と無情な言葉を浴びせられ、混乱と絶望のなかで幕を下ろした。
さらに、井川を助けてくれたシングルマザー・二宮由梨(森川葵)はなにかと協力的なのだが、彼女の亡き夫の顔が井川に瓜二つであることも判明。謎は深まるばかりだ。
■『リブート』とは逆のなり替わりSF?
このようになかなかのトンデモ展開だったのだが、おそらく本作にはSF設定がベースに敷かれている。
冒頭で意味深なシーンが挿入されていたからだ。PC画面に「Transferring」(転送中)と表示され、目元をドアップで映し出されたある男性が「これでいい、これで……」と涙を流す。そして転送の数値が100%に達する。
おそらくこれは他人の記憶を移植できることを示唆しているのだろう。人物Aの記憶を人物Bに転送すると、Bは自分をAだと思い込むようになるといった記憶移植技術なのではないか。
この仮説で考えると、転落事故前の第1話前半に描かれた幸せな夫婦生活や平穏な職場のシーンの数々は、転送された他人の記憶という可能性も。となると、転落事故後の第1話後半で、周囲のみなが玉森演じる主人公のことを知らず、ジャンボ演じる人物を「伊川正樹」と認識していたのが、もともとの正しい現実世界なのかもしれない。
今年1月期の日曜劇場『リブート』(TBS系)は、記憶は本人のまま驚異の整形技術で他人になり替わることができるという設定が、考察熱に拍車をかけて大ヒットした。
『マイ・フィクション』はその逆で、顔は本人のままだが驚異の記憶移植技術で他人になり替わるという設定だとしたら、やはり考察好きのドラマファンは食いつきそうだ。
もちろん、主人公の記憶や認識が正しい可能性もある。しかしそう仮定すると、愛する妻、職場の同僚、町のご近所さんなど、数十人の記憶を一気に書き換えていることになるため、SFはSFでもトンデモ度合いが増しすぎて、さすがに荒唐無稽である。
■多くの謎をきちんと矛盾なく整理できるか
第1話から多くの謎が散りばめられた『マイ・フィクション』。最終話までにこのすべての謎が、整合性がある形できれいに解明していくならば、大傑作になりそうだ。
だが、過去のドラマを振り返ると、こういった謎だらけの作品は最終話のあとに酷評の嵐となるケースも少なくない。
いくつもの謎の真相を明かさず、放り出すような終わり方だったり、一応の説明はあるもののとんでもなく強引かつチープな真相だったり、伏線かと思われていた意味深なシーンに最後まで説明がなかったり……。
視聴者を混乱させるだけ混乱させて、謎や伏線の数々を投げ出すようなエンディングとなったら、考察ファンは怒り心頭に発するに違いない。
はたして、こんなに多くの謎がきちんと矛盾なく整理され、きれいに着地する最終話にできるのか? 大傑作になるか、大駄作になるか――今夜放送の第2話に注目したい。
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