とろサーモン
7月11日放送の『やすとものいたって真剣です』(朝日放送)に、とろサーモン・村田秀亮さんが「劇場合間メシ」のコーナーでVTR出演。後輩芸人のダブルヒガシ・東良介さんとランチをしながら、漫才について語っていました。
村田さんの相方のボケ担当・久保田かずのぶさんは、漫才をやる前にどんなネタをやるか事前に教えてくれないという。「(舞台に)出ていく寸前に一応聞くねん。『何する?』って言ったら無視されるときがある(笑)」
村田さんは久保田さんが発するキーワードを頼りに、なんとかやっているものの、常にうまくいくわけではなく、「対応できへんときとか(久保田さんは)めちゃくちゃキレてるで。ホンマにファーストボケ。一回も聞いたことないボケで対応できへんかったら、むっちゃキレてる(笑)。それは無理やて。いま聞いたんやで」と久保田さんのスパルタぶりを嘆いていました。
そもそも漫才のツッコミ担当は、ボケ役が発したボケを瞬時にお客さんに伝わるようにツッコミでサポートする役割です。ですから、事前にネタを理解していることで、素早くツッコめ、初見のお客さんにもボケの意図を伝えることができます。
それを、村田さんはお客さんと同時にボケを聞いて即座にツッコまないといけないので、きわめて高度な対応を迫られるわけです。そんな神業を普通にやっているように見える村田さんの能力に、東さんは驚きを隠しきれない様子でした。
スタジオ出演していた後輩芸人の藤崎マーケット・トキさんも、村田さんのことを、漫才以外にも大喜利やトークもめちゃくちゃ強くて、なんでもできる実力者だと評していました。
逆に考えると、ボケの久保田さんも、村田さんがどんなリアクションを取って、どんなツッコミをしてくるかわからないわけです。そうなると、初見の村田さんのリアクションに対応しながらボケ続けないといけないため、これもまた至難の業だと言えます。
そんな実力派のとろサーモンですが、『M-1グランプリ2017』(朝日放送)で優勝するまでの道のりは大変な苦労がありました。筆者は以前、とろサーモンがM-1で優勝した直後、お2人にお話を聞いています。
とろサーモンは『M-1』で優勝するまでに10回連続で予選を敗退し、久保田さんは「どこかでずっと『M-1』を憎しみながら漫才をしていた」と言っていました。
久保田「準決勝でずっと落ちてきて、落ちてきたというよりも、『うけてるやん!』ってなると、『審査員が落としてるやん!』てなってる時期があったんですよ。だから、見返してやろうみたいな。結成15年目で(チャンピオンを)ようやく取れたので、これ読んでる読者の方で『旦那が全然だめで』と思ってる主婦の方がいると思いますけど、ちょっと長い目で見てもらいたいと思います(笑)」
一方、村田さんは『M-1』の1カ月ぐらい前に千鳥のノブさんと2人でご飯に行き、今回、もしM-1の決勝に行けなかったら芸人をやめる覚悟だと話していたそうです。
村田「ホンマにそのつもりでノブさんにしゃべってました。今年、決勝にいかれへんかったら、覚悟キメて足洗って違う仕事しますわって」
久保田「俺はそれを知らなかったんで、ちょっとイラッとしました」
村田「それは言われへんよ」
久保田「ちなみになんの仕事をしようとしたの? この年で」
村田「もうこんな年なんで雇ってくれるところもないでしょうし。宮崎に帰って親父の林業を継ごうと思ってました。それぐらいの思いがありましたよ」
大阪時代は数々の賞を取って順調でしたが、2011年に東京進出してからは仕事に恵まれず、精神的にも追い詰められる苦しい時代が続きました。
村田「東京に来てすぐぐらいのときに仕事がまったくなくて、ずっと連休でした。休みでなんもすることないし、家におらなしゃあないし、金使うから。
そんなとき、僕が家で長渕剛を聞いてたんですよ。長渕の『東京』って曲があるんですけど、それを聞いてたら、気づいたら四つん這いになってフローリングで40分泣いてたんです。そこから気づいたら8時間寝てまして、起きたら腹減ったんで三田製麺所に行って、つけ麺3玉食べて」
久保田「いや1玉にせいや!」
村田「どういうツッコミやねん!(笑)」
久保田「何にもしてないのに一丁前に3玉も食いやがって」
村田「寝たぶんの空腹があるから」
久保田「寝ただけで、つけ麺3玉って燃費が悪いな」
村田「寝ただけで腹減るねん。何もないというのが一番つらいから」
そうした「何もすることがなかった時代」を象徴する出来事がありました。
村田「僕が何もやることがなくて、自転車で朝マックに行ったんですよ。そしたら帰りにジョギングしている天津・木村(卓寛)に出くわしたんです。
それで会いたくないなと思って逃げたんですよ。そしたら木村が追いかけてきて「なんで逃げんねん?」って言われて。「いま朝マックいって来てんけど、俺の今日の予定、朝マックだけやったから。それがばれんのが嫌やったから……」って言ったら、木村が「そんなん別にええやん。俺も今日の予定、ジョギングだけや」と言ってきて。「お互いつらすぎるやろ!」って(笑)」
久保田「激弱のスライムが2匹遭遇した、みたいな話やな(笑)」
予定が「朝マックだけ」だったどん底の日々。それでも、漫才の刀を研ぎ続けたからこそ、2017年に『M-1チャンピオン』という称号を手に入れ、現在の活躍へとつながっています。
事前にネタを教えられないという久保田さんの破天荒なボケに、初見の状態でアジャストしていく村田さんのツッコミは、職人技です。
後輩や同業者たちが口を揃えてその才能を絶賛するように、筆者も何度も村田さんの例えツッコミで爆笑してきました。笑いの取れるツッコミとして、村田さんのさらなる飛躍を楽しみにしています。
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