NHK放送センター
7月19日夜に放送された50分のテレビ番組『NHKスペシャル インサイド・トヨタ』が話題になっている。
今回、NHKのカメラは、トヨタの中枢部への長期密着取材が許可され、通常は外部に公開されることのない開発会議や試作検討の現場、世界中から集まった役員や担当エンジニアらが商品の販売を決める最重要会議にまで入り、また、トヨタの豊田章男会長へのロングインタビューも流れた。
テレビライターが言う。
「トヨタの象徴とも言える『カローラ』は、12代のモデルチェンジを繰り返しながら、世界150カ国以上で世界最多の累計5700万台を販売しました。今回は新たなプラットフォームを投入する『カローラ』の次世代モデルの開発現場に深く切り込んでいます。エンジニア同士が開発期間をめぐり議論を交わすなかで、あるエンジニアが『世界で見たら、中国に負けつつあると思っている』と発言するなど、エンジニアの本音もそのまま流していました。日本の製造業を牽引してきた世界企業であるトヨタは今、変革期を迎えています。中国のBYDやテスラなどの新興メーカーが勢力を拡大させるなかで生き残りをかけ、悩み奮闘するトップメーカーの姿を伝えており、かなり内容の濃い番組だったと感じました。豊田会長が『我々は完璧なんだとかね、最高なんだって思った瞬間にもう衰退が始まるような気がします』と話したように、相当な危機感が社内に漂っているようでした」
番組を見た視聴者からはX上に
《おもしろかったなー。NHKもいろいろ問題あるけど、こういう番組作れるのはさすがだな。》
《これだけ赤裸々に開発現場、会議の内容を見せるとは…章男さんのインタビューにも引き込まれてあっという間に50分か過ぎた。NHKの報道姿勢には物言いたいころも多々あるが、この番組はNスペの取材力を見せつけられた圧巻の出来だった。》
といった、丹念な取材に好評の声が寄せられている。その一方で、元テレビ東京『ガイアの夜明け』ディレクターでPR戦略コンサルタントの下矢一良(しもやいちろう)氏はXに
《NHKの民放化が止まらない。1社の特集を公共放送として放送すべきなのか》
と投稿。ほかにも
《すごいなこの特集。密着の体を取りつつNHKなのにトヨタの大宣伝》
などと、公共放送で特定の企業だけを扱うことへの疑問の声が上がっている。
「NHKでは公共放送ということから、かつては企業の宣伝につながるような表現を排除していました。しかし、現在は『プロジェクトX』で高度成長期の日本の産業を支えてきたサラリーマンたちの物語をドキュメントとして伝えたことが大きな反響を呼び、一定の評価を受けています」
年間生産台数世界一を誇り、日本の基幹産業を象徴する一企業を取り上げることに、公共性があると局は判断したようだ。
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