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月9『ブラックトリック』GACKT主演というチャレンジ精神は買いたいが…“型破り” という型にハマったありきたりな主人公像

芸能 記事投稿日:2026.07.27 11:00 最終更新日:2026.07.27 11:08

月9『ブラックトリック』GACKT主演というチャレンジ精神は買いたいが…“型破り” という型にハマったありきたりな主人公像

GACKT

 

 GACKTという日本芸能界の “飛び道具” 的存在を主演に引っ張っておきながら、可もなく不可もなくという初回だった。

 

 7月20日(月)にスタートした月9ドラマ『ブラックトリック~裁きを操る弁護人~』(フジテレビ系)。GACKT演じる浦真鷲直人(うらまわしなおと)は弁護士資格と一級建築士資格を持つ二刀流。

 

 そんな異色の主人公は、「正義が嘘につぶされるなら、嘘で正義を勝たせる」という信条のもと、裁判で勝つため、依頼人を救うため、悪を懲らしめるためなら、手段を選ばない。「嘘を武器に真実を暴く」というスタンスで証拠捏造、証言誘導、検事への罠など、でっち上げで連戦連勝するというリーガルエンターテインメントだ。

 

 第1話の視聴率は世帯6.2%、個人3.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。この数字、昨今のドラマ業界で考えればコケたというほどでもないが、ヒットと言えるものでもない、微妙な船出である。

 

■いきなりのGACKT主演、そのチャレンジ精神は買いたい

 

 個性的な人間が集まる芸能界においても、突出して異端な存在であるGACKT。GACKTは映画やドラマにたびたび出演しているので演技歴は意外と長いとはいえ、いきなり月9の主演に起用するというのは、フジテレビとしてはずいぶん思い切った決断だ。

 

 オファーを受けてくれる人気俳優がなかなかいなかったため、苦肉の策としてGACKTを主演に抜擢したという見方もあるが、筆者はこの “GACKTの月9” にけっこう期待していた。

 

 昨今の地上波ゴールデン・プライム帯のドラマは、大コケすることを恐れて無難なキャスティング、無難なストーリーの “量産型ドラマ” が多く、それが日本のドラマ業界の停滞を招いていると分析している。

 

 だから、駄作になる可能性がありそうな作品でも、従来の常識にとらわれないキャスティングやストーリーならば、そのチャレンジ精神を買いたい。そういう意味で、いきなり謎のミュージシャンを看板ドラマ枠の主演に持ってくるという “非常識さ” を好意的に解釈し、初回放送をけっこう楽しみにしていたのである。

 

■物語の核である “トリック” がチープすぎ、強引すぎ

 

 しかし初回を視聴して、期待していただけにガッカリしてしまった。その理由は2つ。

 

 1つめはこのドラマの核であろう “トリック” が、チープすぎたり強引すぎたりしたこと。

 

 序盤で浦真鷲率いる仲間たちが一丸となって、スパイ映画っぽいチームプレイで悪徳芸能事務所社長を煙に巻きながら、その人物のホテルの部屋から証拠となるデータを盗み取っていた。スリリングな展開として見せていたのだろうが、仲間たちがホテルマン、清掃員、宿泊客に扮して連携していく様子がなんとも安っぽい。

 

 後半では、恋人の女性を殺していた政治家の息子の罪を暴くため、その事件現場である女性の部屋を別の場所に精密に再現して、誘い込んだ政治家息子が動揺して尻尾を出すように仕向けていた。このとんでもない作戦も、悪い意味でバラエティ番組のドッキリの仕掛けのようで、見ていて醒めてしまった。

 

 常識にとらわれない破天荒なストーリーにしようという気概は感じられたが、それを質の高いレベルに昇華するほどの脚本力や演出力がなかったのだろう。残念だ。

 

■“型破り” という型にハマったありきたりな主人公像

 

 2つめはGACKT演じる主人公が “型破り” という型にハマっていたこと。

 

 現実社会において “型破り” な人物というのはなかなかお目にかかれないが、ドラマにおいて “型破り” な主人公はごろごろ転がっている。主人公のカテゴリーとして “型破り” というのはとてもメジャーであり、ありきたりだ。

 

 もちろん “型破り” という類型のなかでも、たとえば『リーガル・ハイ』シリーズ(2012年・2013年/フジテレビ系)で堺雅人が演じたクセ強な弁護士のように、唯一無二のキャラクターに仕上がっているのであれば最高である。

 

 けれど、残念ながらGACKT演じる浦真鷲は、“型破り” という典型的なフォーマットどおりの主人公像になっていて、目新しさはなかった。

 

 さらに言うと、世間のみなさんが思い描いているGACKTのパブリックイメージどおりのキャラ造形だったことにもげんなりした。クールな振る舞いでなにをやってもスマートにこなす――。当て書きでGACKTらしさを投影したと言えば聞こえはいいが、大衆がイメージする最大公約数に当てはめただけの、“まんまGACKT” な主人公だったのだ。

 

『リーガル・ハイ』は堺雅人の新しい一面を引き出し、彼の役の幅を広げた作品だったが、『ブラックトリック』はGACKTの新しい一面を引き出してやろうという意欲がいっさい感じられず、めちゃくちゃ置きにいっていると感じた。

 

■本当の意味で “型破り” なドラマになることに期待!

 

 ネットニュースのコメント欄やSNSの投稿を読むと、『ブラックトリック』の評判はあまりかんばしくないようだが、筆者はむしろGACKTも被害者だと思っている。

 

 俳優GACKTのポテンシャルはけっこう高そうなのに、第1話のようなチープなストーリーと守りに入った主人公像では、それを引き出すことは難しいだろう。今夜放送の第2話以降で、本当の意味で “型破り” なドラマになっていくことを期待したい。

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出典元: SmartFLASH

著者: 堺屋大地

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