
ロケをする仲里依紗
観ているこっちが恥ずかしくなる……。
共感性羞恥がとことん刺激されるドラマだった。仲里依紗が主演で、のんと深川麻衣が共演する恋愛ヒューマンドラマ『Tokyo middle 30』(フジテレビ系)が、7月22日(水)にスタートした。
20年ほど前、地方の小さな都市にある高校で出会い、「ズッ友」を誓い合う親友になった麻紀(仲)、遥(のん)、薫子(深川)の3人。それぞれの夢を叶えるため上京した彼女たちは、35歳になったいまも東京で暮らしているが、現状にモヤモヤした悩みを抱えている。
麻紀はバリキャリとして東京で活躍するという夢を叶えていたが、思いがけぬ妊娠が発覚して、いまは5歳児の母として専業主婦をしている。
遥はミュージシャンを目指していたが夢破れ、現在はかつての夢とはまったく異なるアパレルショップの店長として働き、恋人もいない。
薫子は大学卒業後すぐに結婚・出産したいと考えていたが、現在は小学校教師として働きながら、彼氏と4年間もだらだらと同棲している。
「ズッ友」だった3人が5年ぶりに偶然再会。久しぶりだったがすぐに昔の空気感に戻った3人が、“ミドサー” となった自分の人生に向き合っていくストーリーだ。
■冒頭シーンから演出が “平成” すぎる!
そんな『Tokyo middle 30』だが、冒頭の主人公のナレーションから恥ずかしさ全開だった。
高級タワマンの自宅で優雅にコーヒーを淹れ、カーテンを開けて窓の外に広がる景色を眺める麻紀。高層ビルが無数にそびえたつ大都市・東京の空撮映像に、こんな彼女のセリフがかぶさる。
《上京から15年以上が経ち、憧れだったこの街の風景も、いつの間にか日常になった》
開始1分でこのシーン……驚いた。演出が “平成” すぎるからだ。スタイリッシュさをはき違えているというか、センスが古臭いというか、とにかく「ダサッ!」と思わざるをえなかった。
その直後、麻紀が高校時代の3人の思い出を振り返るシーンでは、《その頃の私たちは、まるでスターを取ったマリオみたいに無敵だった》というナレーション。
ティーンエイジャー特有の万能感を表現したというのはわかるのだが、そのマリオの比喩も「ドヤッ!」感があって、サムく感じてしまった。
中盤では、再会した3人がカラオケに行き、20年前のヒット曲「A Perfect Sky」を熱唱するシーンも観ていて恥ずかしかった。遥がマイクを持ち、麻紀と薫子がペンライトとマラカスでキメッキメのポーズを取りながらはしゃいでいるのだ。ここで共感性羞恥が爆発してしまった。
ちなみに、カラオケでノリノリになってはしゃぐ行為がサムいと言いたいわけではなく、制作陣のセンスの問題。歌いながらゴリゴリにカメラへ目線を向けさせるとか、キメキメのポージングをする横並びの3人を映すアングルとか、演出が絶望的にダサいのだ。
文章だけではきっとこの感覚は伝わりきらないだろうから、未見のみなさんはぜひTVerなどで視聴してみてほしい。
■高級タワマン住まいに港区アパレル店長
さらに細かいところまで言及するとしたら、彼女たちの肩書きも鼻についた。
深川演じる薫子は公立小学校勤めで同棲している部屋も庶民的だったからいいのだが、問題はあとの2人だ。
仲演じる麻紀は、前述したとおり、高級タワマン住まいの専業主婦なのだが、夫は美容クリニックを営む開業医。子どものことで不和も描かれたが、基本的にはやさしくいい夫という感じ。
のん演じる遥が店長を務めているアパレルショップはなんと麻布台ヒルズ店。代官山店から異動してきたそうで、遥は入社以来、一度も売り上げ目標を下回ったことがないというカリスマ店員である。
もちろん、そういった裕福なセレブ暮らしだったり、素晴らしいキャリアを積んでいたりしても、理想と現実のギャップで本人は悩み苦しんでいるという描写なのは理解できる。一見すると幸せそうな人、順調そうな人たちも、裏では苦悩しているということを描きたいのはわかるのだ。
だが、それでも言いたい。「しゃらくさい」と。
この2人の境遇に深く共感する人もいるとは思うのだが、現代の日本において筆者を含むテレビドラマの視聴者の大半は、麻紀のような優雅な富裕層のライフスタイルとは縁遠いし、遥の “港区のアパレル” のような華やかな仕事もしていないだろう。
登場人物たちは当人なりに苦悩しているのはわかるが “贅沢な悩み” に思えてならない。
■世帯3.2%・個人1.5%の低調スタート
そして、やはり平成前期のトレンディドラマ感なのだと気づく。
90年代のドラマの登場人物たちは、都内一等地のやたらオシャレでやたら広い部屋に住み、時代の先端を行く業界でオシャレな仕事に就いていた。そんな劇中のキャラクターたちも恋や仕事に悩んでおり、視聴者は彼・彼女らのライフスタイルに羨望の眼差しを向けながら感情移入できていた。
ただ、それは日本がまだまだ元気で社会全体がバイタリティに満ちあふれていた時代だからこそ、憧れつつ共感できていたのだと思う。いまのような未来への希望が抱きづらい世の中で、麻紀や遥に自分を投影させられる視聴者はどれほどいるのだろうか?
第1話の視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)が世帯3.2%・個人1.5%と低調スタートとなった『Tokyo middle 30』。今夜放送の第2話以降もこんな「ダサい」「サブい」「古臭い」の三重苦を続けるとしたら、視聴率はさらに下がってしまうかもしれない。
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