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『VIVANT』続編スタートで再注目「別班」は存在するのか? 元自衛隊情報保全隊員が明かす“スパイ活動の真実”

芸能 記事投稿日:2026.08.15 18:19 最終更新日:2026.08.15 18:19

『VIVANT』続編スタートで再注目「別班」は存在するのか? 元自衛隊情報保全隊員が明かす“スパイ活動の真実”

険しい表情で撮影に臨んでいた堺雅人(写真・吉田 豊)

 

「『別班』というものは『存在していない』ということになるのでしょう。現在の防衛大臣を含めて政府が公式に否定している以上、私が『存在する』と言える立場にはありません」

 

 TBS日曜劇場『VIVANT』第2シーズンの放送が7月26日から始まり、劇中で暗躍する自衛隊の秘密情報部隊「別班(べっぱん)」に再び大きな注目が集まっている。

 

「堺雅人さん演じる乃木憂助が主人公です。乃木は商社マンに扮しているものの、その実態は世界中で工作活動をおこなう自衛隊の秘密組織『別班』の工作員。第1シリーズでは、架空の国・バルカ共和国を舞台に国際テロ組織との暗闘が描かれました」(芸能担当記者)

 

 はたして、秘密組織「別班」は存在するのか。国会や閣議後会見では別班の有無を尋ねる質問があがり、小泉進次郎防衛相は、

 

「陸上自衛隊の『別班』といったような組織は、これまで存在しておらず、また現在も存在していません。ドラマは好きですけどね」

 

 と否定した。この防衛省トップの発言に対し、実際に自衛隊内で情報戦の最前線に立ってきた元自衛隊情報保全隊員の吉永ケンジ氏は、冒頭のとおりに見解を語る。

 

「そもそも、メディアの質問が悪いんですよ。『別班』はあくまで内部の通称名です。通称名だけで質問されても、国としては『ない』と回答するしかありません」(吉永氏・以下同)

 

 逆に言えば、別班にあたるような諜報組織は存在するということだ。

 

「元別班長の平城弘通氏が著書で明かしているとおり、かつて陸幕調査部特別勤務班といった組織が存在したのは否定できません。1950年代に自衛隊が発足した当時、米軍は旧ソ連や中国の情報に乏しかったのです。一方、日本には明治以来の地域研究や人的なつながりの蓄積がありました。海外での情報収集に制限があった日本と、日本のリソースを利用したい米国の利害が一致し、共同でヒューミント(人的情報収集)をおこなう仕組みとして生まれたのが、通称『別班』というわけです。正式名称は何であれ、ずっと続いている諜報活動をおこなうための組織はあるのでしょう」

 

 昭和の時代に「別班」が広く知られるようになった背景には、政界やメディアの動きがあったと吉永氏は解説する。

 

「1970年代、日本共産党の機関紙『しんぶん赤旗』が『影の軍隊』という書籍を刊行しました。自衛隊の秘密部隊を取材した内容で、6割ほどは事実に近かったものの、残りの4割は誤解や空想がまじっていました。当時の共産党は、別班を、自分たちを弾圧するための組織だと解釈して誇大に描いたわけです。その結果、皮肉にもロマンあふれる内容となり、読んだ若者が情報工作にあこがれを抱くほど、おもしろいものになりました。その後、共同通信の石井暁氏が『自衛隊の闇組織:秘密情報部隊「別班」の正体』を出し、それが種本となって『VIVANT』という作品が生み出されました」

 

 劇中では、自衛官が銃撃戦を展開したり、裏切り者を処刑したりする“超法規的”な工作組織として描かれている。こうした描写について、吉永氏は一蹴する。

 

「ドラマのような工作は絶対にあり得ません。そんな危険をおかして捕まれば、得た情報もすべて台なしになります。また、別班に入ると戸籍など個人情報が抹消されるという説も、完全なフィクションです。戸籍は法務省や自治体が管理しており、防衛省に抹消する権限はありません。実際の活動は地道な裏方仕事です」

 

 そもそも、彼らが収集する情報自体がドラマにならないような、地味なものだ。

 

「別班は、あくまで自衛隊の内部組織ですからね。国の首脳部やマスコミが求めるような、習近平とトランプが裏で何を話したか、といった政治的なものは、自衛隊がほしいものではないんです。たとえば冷戦時代は、相手国の道路の幅や橋の強度、何万人の部隊が移動できるか、といった情報を集めていました。グーグルマップなどなかった時代ですから、信頼できる商社マンなど民間の協力者に依頼し、現地で写真を撮って来てもらうといった作業です」

 

 ドラマなどで混同されやすい「カウンターインテリジェンス(防諜)」と「ヒューミント」の違いについても、吉永氏はこう指摘する。

 

「相手のスパイ活動を防ぐカウンターインテリジェンスを担っていたのは、私が所属していた情報保全隊です。別班が扱っていたのは、海外の情報を集める純粋なヒューミントです。自衛官自身が現地で銃撃戦をおこなうわけではなく、現地の協力者を指導・獲得する『ハンドラー』として動くのが、情報活動の基本です」

 

 表舞台で小泉防衛相が「存在しない」と言い切る背景には、国家の安全保障にかかわる絶対的なルールが存在する。

 

「周辺国の動きを調べることは防衛の第一歩であり、むしろ、それをやっていなければ自衛隊の存在意義が問われます。しかし一方で、非公然の情報舞台の存在を、政府自ら認める国など世界中、どこにもありません。『存在しない』と言い切ること自体が、情報機関と協力者を守るための鉄則ですよ」

 

 地味な『VIVANT』も見てみたい気もするがーー。

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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